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空き家の収益化「売却VS貸し出す」の最終結論

プレジデントオンライン / 2019年11月18日 9時15分

Getty Images=写真

リッチな老後を迎えるにはどうすればいいのか。家計をV字回復させる方法について「実物家計簿」を通して解説しよう。第5回は「空き家を収益化」――。(全7回)

※本稿は、「プレジデント」(2019年10月18日号)の掲載記事を再編集したものです。

■空き家をどう活用するのが一番トクか

母は10年前に購入した埼玉県さいたま市にある一軒家でひとり暮らし。父とは早くに離婚した後、ふたりの子どもと同居していたが、数年前に独立して家を出た。母は節約した生活を送っているものの、収入に対する住宅ローンの負担が大きく毎月の貯金はできていない状況だ。2階建ての一軒家の間取りは4LDKで、ひとり身には広すぎる。長年、女手ひとつで子どものために生きてきた母にとって、今の状況は寂しさ極まりない。

そんな中、都内でひとり暮らしをしている息子が最近婚約をした。妻の仕事の関係で1年間は別居婚となるが、結婚を機に母を都内に呼んで同居しようと息子は考えている。さいたま市の一軒家は2500万円で購入。ローンはあと1500万円ほど残っている。

■地価が上がっている今、売るのがベスト

大沢家は息子だけでなく母にも、生活できるだけの収入はあり、数年後に迎え入れる予定の婚約者も仕事をしている。そのため、経済面では今のところ悩む必要はなさそうだが、親と同居する場合に空き家となる実家をどうするかというのは悩みどころだ。

息子夫婦の仕事の関係で都内に住むことが条件なので、さいたま市にある実家は売るか貸すかになる。では、どちらを選択するのが賢明なのか考えてみよう。

実家のある土地は、現在人気となっている大宮エリア。地価も購入した時点より上がっているようだ。この場合、単刀直入に申し上げると貸しに出すよりも思い切って売ってしまうことをお勧めする。

不動産の値段というものは、リーマンショックで下がり、アベノミクスで上がるなど上下変動を繰り返している。今後の日本を考えてみると、土地の値段が下がる大きな要因が2つ考えられる。それは東京オリンピックの終了と人口減少だ。2022年頃からは世帯数も減少していくと見られ、今は人気の大宮エリアの地価も下がる可能性は大いにある。それならば、地価が上がっている今の時期に売っておくのがベストだ。

しかし、大宮エリアの人気が下がったとしても、この条件の家ならば借り手はすぐに見つかるだろう。しかし、家を貸すというのは想像以上に大変なこと。そこをわかっていないと痛い目を見ることになる。その理由を見ていこう。

まず1つ目の理由は、家を貸す際にはある程度のリフォームが必要となり、その修繕費を回収するだけで結構な期間がかかるということだ。

2つ目は借家権というものだ。借家権には普通借家権と定期借家権というものがあるが、借りる側の権利を定めたものなので、基本的に借り主に有利な内容になっている。そのため、土地の値段が上がったときに家を売りたくても簡単に売ることができないのだ。さらに、人に貸した状態で家を売るとなれば、投資用の物件として扱われることになる。つまり買い手は投資家なので、買値は必然的に低くなってしまう傾向にあるのだ。借り主が家を自発的に出るまでは、自由に売ることはできないということになる。

これから先、20年以上経ってしまえば、いざ売っても土地値しか付かない場合もある。築10年の現段階であれば家の価値もまだ見てもらえる。実家をどうするかで悩んでいるなら、今のうちに現金化して母の老後の資金に使えばいい。息子の妻が同居を始める前に、3人で暮らせる態勢を整えておこう。

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藤川 太(ふじかわ・ふとし)
ファイナンシャルプランナー
生活デザイン代表取締役。2001年に家計の見直し相談センターを設立以来、2万世帯を超える家計診断を行ってきた。『やっぱりサラリーマンは2度破産する』など著書多数。

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(プレジデント編集部 撮影=加藤ゆき 写真=Getty Images)

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