ゲノム編集食品に健康リスクはどれだけあるか
プレジデントオンライン / 2019年11月24日 17時15分
■販売・流通は任意の届け出制に
ゲノム編集技術で開発した食品が波紋を呼んでいる。その販売・流通を任意の届け出とする制度が、2019年10月から始まったからだ。
ゲノムとは、細胞内にあるすべての遺伝情報のこと。ゲノム編集とは、特定の遺伝子の一部を切断してその機能を抑制したり、切断箇所に別の遺伝子を挿入して新たな特性を持たせたりする技術だ。従来の品種改良では、放射線や化学物質を用いて遺伝子を変異させていた。ただ、期待通りの変異が生じるとは限らず、ひたすら試行を繰り返すしかなかった。
一方、ゲノム編集は狙いを定めた遺伝子だけを書き換えられる。「自然界に生じる突然変異を意図的に発生させられる技術」と、北海道大学安全衛生本部の石井哲也教授は説明する。物議を醸しているのは、この届け出制度が義務ではないからだ。
しかもゲノム編集食品であることを表示しなくてもよい。「科学的に従来の品種改良と区別できず、安全面でも従来と同程度のリスク」と厚生労働省は判断し、こうした制度となった。だが、「真の安全性評価には長い年月が必要で、研究者の間でも見解が分かれている」(石井教授)のが実情。一方で、「遺伝子組み換え(本来有していない遺伝子を別の品種から組み込む)技術の登場から約20年間、重大な問題は発生していない」(同)のも確かだ。
----------
金融ジャーナリスト
出版社勤務等を経て1995年に独立し、金融経済の分野を専門に執筆活動を続ける。著書に『「株式新聞」のスゴイ読み方』(廣済堂出版)。
----------
(金融ジャーナリスト 大西 洋平 写真=Bloomberg/Getty Images)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
東北大など、雌雄同体生物の進化に関するメカニズムの一端を解明
マイナビニュース / 2024年9月19日 6時45分
-
QST、iPS細胞の「点突然変異」は細胞樹立時に発生すると全ゲノム解析で解明
マイナビニュース / 2024年9月4日 20時42分
-
「高齢でもヨボヨボにならない人」は明らかにその"数値"が低い…最新研究でわかった人間の寿命差を生む要因【2024上半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年9月1日 7時15分
-
植物も「常夜灯」に?中国の科学研究チームが植物の発光に成功
Record China / 2024年8月20日 20時30分
-
熊本大、変異する新型コロナウイルスにも対応可能な新規検査法を開発
マイナビニュース / 2024年8月20日 17時37分
ランキング
-
1お金持ち流!100円ショップで買うもの・買わないもの
オールアバウト / 2024年9月18日 21時40分
-
2日証協会長「投資者の信頼を失墜するもの」 三菱UFJ銀行とグループ内証券2社に過怠金5億円 非公開情報を無断で共有した問題受け
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月18日 21時43分
-
3代表者が高齢になるほど黒字企業率は低下、70代以上の黒字企業率はコロナ禍を下回る
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月18日 17時15分
-
4「若者のディズニー離れは“料金が高い”から」説は、本当か
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月18日 7時40分
-
5任天堂、ポケットペア社を提訴 「パルワールド」が特許侵害と主張
ロイター / 2024年9月19日 9時36分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください