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「嫌味を言ってくる同僚」にキレないための訓練

プレジデントオンライン / 2019年11月11日 15時15分

■理性のブレーキが利かない状態

心理学的にいうと、嫉妬には2つのタイプがあります。「jealousy(ジェラシー)」と「envy(エンヴィー)」です。ジェラシーは、自分が所有するものを誰かに奪われるかもしれないという不安な感情です。一方、エンヴィーは、自分が持っていないものを持つ者に対する羨望や嫉みです。つまり、同僚の営業成績に対する嫉妬は後者のエンヴィーということでしょう。

そのエンヴィーの嫉みを感じているときの脳の働きを見ると、心の痛みを感じている状態と同じで、「帯状回」という場所の前部の活動が高まっています。このようなときに表れるのが、「シャーデンフロイデ」という状態です。これは心理学用語で「不道徳な喜び」を表し、自分が手を下すことなく、相手が失敗したり不幸になったりすることに喜びを感じる状態です。このとき、脳では報酬系の神経ネットワークの一部の「側坐核」の活動が活発化していて、嫉みで帯状回の活動性が高ければ高いほど、シャーデンフロイデが生じたときの側坐核の活動性も高まります。

一方、嫉まれている状況に正面から対処しようとすると防衛反応が生じるため、脳では激しい感情にかかわる扁桃体などの活動性が高まります。そこで「今回は好条件が重なったから」など理性的に対話をすれば、脳の前頭前野が感情をコントロールして、高ぶった気持ちが抑えられます。しかし、この理性のブレーキが利かないと、扁桃体などの活動性が高まったまま、激しい言動に出てしまいます。

嫉妬して暴言を吐く相手に理性的に対処するには、前頭前野の働きを意識的に高めるのが効果的で、「瞑想」や「マインドフルネス」が有効です。熟達者になると前頭前野の一部の活動が高まっていて、感情をコントロールしやすいことがわかっています。

【対策】瞑想で脳を鍛え、挑発には乗らない

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枝川 義邦 早稲田大学リサーチイノベーションセンター教授
脳神経科学者。1998年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了。2007年早稲田大学ビジネススクール修了。著書に『「脳が若い人」と「脳が老ける人」の習慣』など。

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(早稲田大学リサーチイノベーションセンター教授 枝川 義邦 構成=田之上 信 撮影=柳井一隆 図版作成=大橋昭一)

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