上司の嫉妬に「ごますり」が効くこれだけの理由
プレジデントオンライン / 2019年11月17日 11時15分
■上司の上司から目をかけられた
職場での嫉妬に悩むビジネスパーソンが多いそうですが、嫉妬はどの人間社会にも付き物のようで、落語界だって同じです。いつも嫉妬が渦巻いていて、そりゃ、酷いもんですよ。ほとんどの落語家が「嫉妬の塊」といってもいいでしょう。
でも、もの凄い負のエネルギーである嫉妬をプラスに転化できれば、「芸の肥やし」になります。その見本が、私の師匠である立川談志です。若い頃は実力に見合った評価をされていなかったんです。しかし、その鬱憤をバネに、誰にもできなかった「落語の理論化」を成し遂げたからこそ、落語界で不朽の名声を残せました。嫉妬をするにしても、されるにしても、それを上手にコントロールしていくことが必要なんでしょうね。
ところで、上司の上司から目をかけられたのはいいけれど、直属の上司から嫉妬されているんですってね。そりゃ、きっとお困りでしょう。目をかけられるのは、たぶん仕事ができて気が合うからなんでしょうね。それはそれで、とてもいいことです。嫉妬してくる直属の上司を疎ましく思うのも、仕方がないことなのかもしれません。でも、それで終わりにしたら何の解決にもなりませんから、少し落ち着いて考えてみましょう。
たとえば、優秀な若手社員のあなたが部長から目をかけられ、課長をスルーして直接、部長と得意先を訪問したり、一緒に飲みに出かけたりしているとします。当然、カヤの外に置かれた課長は、面白くないでしょう。「手塩にかけて育てたのは誰だと思っているんだ」と反感を覚え、仕事のノルマなどで厳しい要求をしてくることもあるでしょう。それもこれも疎外感からくる嫉妬や反発なんですね。
■するほど効くごますり
そんなときにお勧めなのが、積極的な「ごますり」です。「明日の晩、部長に飲みに誘われているんですが、課長も一緒にいかがですか」といったら、「えっ、俺もいいの」といいつつ課長は嫌な気はしませんよ。そうやって課長を自分たちのサークルに取り込んじゃうんです。幸せは独り占めしたらいけません。幸せを“シェア”して、みんなでハッピーになることを心がければ、嫉妬されることもなくなるわけです。
せっかくですから、もう一押し「ごますり」をしておきましょうね。「僕の仕事がうまくいっているのは、課長の適切な指導やフォローのおかげなんです」と部長にさりげなくいって、課長のことをPRするんです。課長がいる前で部長にいってもいいんですが、いかにも「ヨイショ」しているみたいなので、できれば課長のいないところで、部長にそっと耳打ちすると効果的だと思いますよ。
部長は「そうか、課長に心から感謝しているんだな」と頭の片隅にインプットしておくでしょう。そのことを会議の場などでふいに思い出した部長が、「彼のような優秀な部下が育ってきているじゃないか。それも日ごろからの君の指導力の賜物なんだな」と褒められでもしたら、課長は嫉妬する気なんか完全に失せてしまうでしょうね。
【対策】幸せの輪に直属の上司も巻き込む
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立川流真打・落語家
1965年、長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ワコール勤務を経て、91年立川談志に入門。2000年二つ目昇進。05年真打昇進。著書に『大事なことはすべて立川談志に教わった』など。
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(立川流真打・落語家 立川 談慶 構成=野澤正毅)
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