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「膝の痛みは筋力をつけて治しなさい」は大ウソ

プレジデントオンライン / 2019年12月6日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gilaxia

「痛みに効果がある」と続けている習慣や運動が、症状を悪化させているかもしれない。腰痛や関節痛について、10のテーマに応じて専門家に聞いた。第4回は「階段とエスカレーター」――。(全10回)

■エスカレーターの有効な使い方

「痛みを改善するために階段を使いましょう」というアドバイスをすることは、診療の場面ではほとんどありません。

運動不足を解消するために、エスカレーターやエレベーターではなくあえて階段を使っている人もいるでしょう。健康な方が体を動かそうとして階段を上り下りすることは、決して悪いことではありません。軽く心拍数が上がるくらいの運動を日常的に取り入れることは、全身的な代謝を考えると好ましいことです。

しかし、それはあくまでも痛みがない範囲での話。膝を悪くした方のなかには、「膝の痛みを軽減するには、筋力をつければいい」と勘違いしている人が多いのですが、痛いのに無理に階段を上り下りして、かえって軟骨がすり減って痛みが強くなっている人も多いのです。そのような場合は、むしろ「階段よりも、エレベーターやエスカレーターを使うようにしましょう」とアドバイスします。

■下りのほうが、関節への負担が大きい

膝の痛みが心配な人の場合は、階段の上り下りでもとくに下りのほうが、関節への負担が大きいことに注意してください。一方で、筋肉に対しての負荷は、上りのほうが大きい。膝が痛むわけではないけれど少し筋力の衰えが心配だな、と思う場合は、「上りだけ階段を使って、下りは階段を使わない」というように日常生活で工夫するといいでしょう。

もう1つ、エスカレーターやエレベーターの有効な活用法があります。エスカレーターやエレベーターを使うタイミングは、普段と違う姿勢をとるチャンスだということ。椎間板の髄核のズレを戻すきっかけにするのです。デスクワークが多くて猫背の人は、エスカレーターに乗るときには、背筋をピンと伸ばしてみる。販売職でいい姿勢ばかりしている人は、エレベーターでは猫背ぎみにしてみる。

膝に痛みがある人は、無理に歩いたり階段を上ろうとするよりも、その人に合った、適切な体操を行うこと。膝を伸ばす体操が合っている人もいれば、曲げる体操が必要な人もいます。膝を伸ばしたときに楽になる「伸展改善型」では、痛みの原因はデスクワークなどで常に膝を曲げている姿勢です。

膝を曲げると痛みがとれるのは「屈曲改善型」で、原因は伸展改善型と反対に、立ち仕事などで膝を伸ばした姿勢を長くとっているから。伸展改善型であれば座りっぱなしにならず意識的に立って歩いたり、座ったままでもたまに膝を伸ばしたりすることが大事です。屈曲改善型であれば、1時間に1回は屈伸運動をして、膝を曲げることが効果的です。

また、膝の痛みの原因が膝関節そのものにあるのではなく、腰椎からの坐骨神経痛の影響で痛む場合や、膝のお皿(膝蓋骨(しつがいこつ))の動きが悪くなることで痛む場合、あるいは太ももやふくらはぎの筋肉が緊張して痛む場合など、人それぞれです。足腰の痛みに対して、一概にこれをやれば治りますという特効薬はありません。痛みを我慢して鍛えるのではなく、痛みの出ない範囲での行動にしておくようにすることも大事です。

【結論】「膝の痛みを軽減するには筋力をつければいい」は間違い

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銅冶 英雄(どうや・ひでお)
1994年日本医科大学卒業後、千葉大学医学部附属病院などで勤務。米国ウィスコンシン医科大学留学などを経て、2010年お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニックを開設。

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(銅冶 英雄 構成=伊藤達也)

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