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2040年、日本に押し寄せる「半数が単身」の衝撃

プレジデントオンライン / 2019年12月15日 11時15分

独身研究家 荒川和久氏

■ソロ客に支持されない商売は、立ち行かなくなる

「独身者に対する世間の風当たりは、今なお強いし、家庭持ちの人との間には根深い対立構造があるのを感じます」

独身研究の第一人者として博報堂ソロもんラボを率いる荒川和久氏はこう切り出す。

「既婚者の言い分は、独身者が自由な生活を謳歌するのは自由だけど、彼らの老後を支えるのが自分たちの子供世代というのが許せないということ」

独身者を快く思わない人がどれだけいようとも、社会の「ソロ化」は加速する一方だ。総人口に対する独身者率は、1980年の34%から2015年には41%まで上昇。40年には47%、つまり人口の約半分に達する見込みだ。日本社会で進んでいるのは高齢化ばかりではない。

この流れを受け、市場は確実にソロ仕様にシフトしつつある。コンビニはもちろんのこと、本来は「ファミリー」向けだったファミリーレストランでさえ、ソロ客需要に対応するために、仕切り付きのボックス席を用意するところも出てきた。

「今まで大切に扱われていなかったと感じるソロ客も、そういう店ならリピートするようになる。店の稼働率も上がり、ブランディングにも貢献します。ソロ客に支持されない商売は、近い将来、立ち行かなくなるでしょう」(荒川氏)

■江戸時代の日本は「ソロ社会」だった

「実は歴史を振り返ると、江戸時代の日本はある意味ソロ社会でした」と荒川氏は解説する。

「江戸時代には生涯未婚者は、都市にも農村にも多かったし、明治維新から高度経済成長期の皆婚時代のほうがむしろ異常です。でもファミリー層は、自分たちこそが標準だと思っているため、自分の領域が侵食されていると恐れているんです」

荒川和久『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックス)

だがソロ化の波は、実はファミリー層の生活にも押し寄せている。「今、一家揃って夕食を食べる家庭がどれほどあるでしょう。望むと望まざるとにかかわらず、みんな意外と『ソロ飯』していませんか」と荒川氏は問いかける。

さらには、今は家庭を築いている人も、子供が巣立ったり配偶者と離死別したりすれば、誰もが本格的にソロに戻る可能性がある。「健康不安が出てくる50~60代の既婚男性は、奥さんがいなくなったら生きていけるのかと怯えている。介護問題にしても、頼りになるのが家族だけでは心もとないはずです」。

家庭を築けば安心だとする人を、荒川氏は「タイタニック号」の乗客に喩える。

「沈没することをまったく想定していないので、泳ぐ練習もせず、外に出ようともしない。社会のソロ化という『波』が迫っているわけですから、そうした未来に適応していったほうがいいのです」

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荒川和久
独身研究家
博報堂ソロもんラボ・リーダー。早稲田大学法学部卒業。独身生活者研究の第一人者として幅広いメディアで活動中。

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(小島 和子 撮影=榊 智朗)

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