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子供の受験で"嫉妬心"を抱く高学歴の親の葛藤

プレジデントオンライン / 2019年12月8日 11時15分

■子供の人生に依存する人

長く勤めている職場では、気心の知れた同僚から、不意に「お子さん、(中学受験で)“御三家”に合格したんでしょ? すごいですねー!」などと話を振られることもあるかもしれません。

そんなとき、たまたま職場に同じ中学を受験して不合格になった子を持つ親がいて、その人が嫉妬深い人だとしたらちょっとやっかいですね。

子供の受験で嫉妬心がメラメラと燃え上がってしまうメカニズムは、2段階で説明が可能です。

まず第1段階として、嫉妬しやすい人が共通して持ち合わせているのが、常に自分を他人との比較によってしか評価できない心理的なベースです。学歴や出世、乗っている車、住居、はては時計など嗜好品まで、他人と比べずにはいられないのです。

さらに、子供についてまで嫉妬の対象とする人は、子供に自分を投影し、自分とは別人格だと認めることができないという特徴もあると考えられます。

ずっと高学歴の“勝ち組”できた親は、実は転落する不安をずっと抱えたまま生きている場合も少なくありません。それゆえ自分の恐怖心を子供に投影し、「俺のようになれ」と追い込みます。逆に「学歴がないから苦労してきた」と思い込んでいる親は、学歴に過大な妄想を抱き、あらゆる犠牲を払ってでも子供に手に入れさせようとします。いずれのタイプも、子供と自分を同一化してしまっているのです。

嫉妬じたいは自然な感情ですから仕方ありません。嫉妬を感じたとしても、いったん冷静になれば、他人の子供と自分の子供を比べたところで、何もいいことがないことがわかるはずなのに、自分を見失い、感情的な反応が先に立ってしまう。

■気を使いすぎても、ぎくしゃくする

いずれにせよ、同僚に一方的に妬まれたら、どう対処すればいいのでしょうか。基本的には、見て見ぬふりをして、嵐が過ぎ去るのを待つこと。それでもその同僚の前で、ほかの人から「合格おめでとう」などと話を振られることもあるでしょう。そんなときは普通に「ありがとう」と受けとめ、あとはさりげなく話題を変えるのが精一杯でしょう。こちらがあまり気を使いすぎてもかえってぎくしゃくしてしまいます。

まったく悪気なく、自分でも知らぬ間に傷に触れてしまっている場合もあるので、気をつけましょう。子供が合格した喜びをSNSに何度も繰り返しアップしたり、職場で受験の話題が出た際に、延々と自分の子供の話をしてしまったり……。

もし受験の話題が出ることによって傷つく人が周囲にいるのであれば、場合によっては喜びをあまり開けっぴろげに表現しないように気をつけることもデリカシーであり、ひいては自己防衛にも繋がると思います。

それでもまだ嫉妬がおさまらず、パワハラや不当な評価といった実害に繋がる場合は、一対一の人間関係を超えた問題なので、社内のしかるべき部署に訴えるなどビジネスライクに対処するしかないでしょう。

【対策】基本的には、見て見ぬふりをする

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おおた としまさ(おおた・としまさ)
教育ジャーナリスト
1973年、東京都生まれ。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退、上智大学英語学科卒業。リクルートから独立し現職。近書に『21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス』。

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(教育ジャーナリスト おおた としまさ 構成=小澤啓司)

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