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定年後も働く人の厚生年金を減らす制度の是非

プレジデントオンライン / 2019年12月15日 11時15分

2019年10月9日、在職老齢年金制度の見直しを議論した社会保障審議会年金部会。(時事通信フォト=写真)

■在職老齢年金62万円案

定年後も働くシニアが増える中で、厚生労働省は在職老齢年金制度の見直し案を公開した。在職老齢年金とは、定年後の給与(労働所得)と年金受取額の合計が一定基準を上回ると、厚生年金の一部もしくは全額の支給が停止され、その分が繰り下げ(支給の先延ばし)になる制度。60歳以上65歳未満の場合は合計が月28万円、65歳以降は月47万円を超えると減額されていく。

厚生労働省は、65歳以降の基準額を62万円に引き上げて対象者を減らすか、制度自体を完全撤廃する案を示した。一方、60歳以上65歳未満については、やはり62万円に引き上げるか、現行どおりとするという。ただ、そもそも60歳以上65歳未満の年金は、男性が2025年度、女性が2030年度に支給が終了することがすでに決定済みとなっている。

「現状、在職老齢年金の対象者は約41万人で、全体の約17%に相当」と指摘するのは法政大学の小黒一正教授。減額を止めれば、おのずと支給のための負担は増す。その結果、「同制度の廃止には約1.1兆円の財源が必要で、将来的に所得代替率(現役男性の平均月収に対する、モデル世帯年金額の割合)を0.2%ポイント程度引き下げる」(小黒教授)。だが、減額を続ければシニアの労働意欲を削ぐのは明らかで、時代の変化が求めている見直しとも言える。

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大西 洋平(おおにし・ようへい)
金融ジャーナリスト
出版社勤務等を経て1995年に独立し、金融経済の分野を専門に執筆活動を続ける。著書に『「株式新聞」のスゴイ読み方』(廣済堂出版)。

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(金融ジャーナリスト 大西 洋平)

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