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SNSで「ほんまに真剣に考えた」がバズった理由

プレジデントオンライン / 2019年11月14日 9時15分

「バチェラー・ジャパン」公式ツイッターより

今秋、アマゾンプライム・ビデオで配信された婚活リアリティーショー『バチェラー・ジャパン』のシーズン3が話題だ。才色兼備の独身男性(バチェラー)のパートナーの座を20人の女性が競い合う。イラストレーターの辛酸なめ子さんは「バチェラーの口癖を真似(まね)た“友永構文”がSNS上ではやるなど、番組の余波が続いています」という——。

■衝撃の結末でバチェラーに敵意むき出しの女性視聴者

「『バチェラー3』を見たらすごいショック。男は結局、顔なんですね」
「もう男性不信になりそうです」
「バチェラーの友永さんは『強い女性がいい』とか言ってましたが、彼が最後の最後に選んだ岩間さんの強さって(ライバルの女子同士の)マウンティングでも決して負けないという類いの強さなのでは……」

最近、知人の女性たちに、アマゾンプライム・ビデオで配信された婚活リアリティーショー『バチェラー・ジャパン』のシーズン3(2019年9~10月に本編全10話を配信)についての思いを吐露されることが多くなりました。特に後述する衝撃の結末で、“主人公”のバチェラーである男性に対する敵意をむき出しにする女性が多いのが特徴です。

このシリーズは、「バチェラー」と呼ばれる1人のハイスペックな男性に20人の美女がアプローチし、パートナーの座を得ようとする様子を観察する内容。その“選抜レース”で、誰が残り誰が脱落するのかが毎回の見どころで(毎話の最後に、バチェラーが赤いバラを渡して残す女性を決める)、最後に運命の相手がひとりだけ残る、という構成です。

■バチェラー友永真也氏は最初、小室圭さん級の好印象だった

3代目バチェラー・友永真也氏は貿易会社を経営し、フランス語が堪能で、フェラーリやポルシェなどを乗りこなすイケメン。「運命の相手を探しに来ました」「求めているのは心が強い女性」というのが口癖です。

フランス育ちで家も資産家(父と兄は医師)という素晴らしいスペックの持ち主で、不肖私も最初の3話まで見た時点では好印象しかありませんでした。自分にアプローチしてくる女性たちの思いを真摯(しんし)に受け止め、優しい笑顔で女性を見つめる姿に博愛精神すら感じたのです(ちなみに、あの小室圭さんもメディアで紹介された当初はすごく好印象だったので、自分の見る目には自信がありません……)。

さわやかな好青年だと思っていた友永氏ですが、あの衝撃のラストで、印象が変わってしまいました。

イラスト=辛酸なめ子

■最後に選ばれたのは、ぶどう農家の娘か北新地の元ホステスか

バチェラーのパートナー候補に名乗りをあげた20人の女性たち。みな個性豊かで、デートの初対面でいきなりキスをする女性や、水着姿で足を絡ませる女性、またがって背中をマッサージする女性、純朴そうで拗(す)ねて泣いた看護師さん、最後にビンタをかましたトラック運転手、テンションが不思議なDJなどがいましたが、“最終選考”に残ったのは結局、この3人でした。

・ぶどう農家の娘で清楚系美人の岩間恵さん。
・笑顔がかわいい北新地の元ホステス・水田あゆみさん。
・ミス・ユニバースのファイナリストで現在、PR関係の仕事をしている野原遥さん。

友永氏はずっと岩間恵さんに心惹(ひ)かれていましたが、岩間さんが一時友永氏への恋愛感情に迷いをみせたことが影響し、友永氏は、自分を癒やしてくれた水田さんを選びました。

友永氏は「ラストローズ」を渡す時、なぜか「はぁ~」とため息をついていてテンションが低め。それでも「私はこの先何がおきても真也の味方やし」という水田さんの優しさに鼓舞されバラを渡します。これで水田さんとハッピーエンドと思われましたが……。

ここでとんでもない事態が発生します。

■厳選した女性とたった1カ月で別れていた番狂わせ

最終選考で敗れ、その場から去っていく岩間さんの後ろ姿に友永氏が「恵~! 恵~!」と未練をにじませた声で呼びかけたのです。映像では、幸せのヒロインのはずの水田さんが背後にピンボケで泣いている姿が映し出されている、という異様な雰囲気に。

そして本来、番組はこのエピソード10で最後の1人が選ばれ完結したはずでしたが、特別編の「エピローグ バチェラーが明かす本当の結末」では、スタジオ収録でゲストMCや過去に脱落した女性たちを前に、友永氏から衝撃の後日談が語られたのです。。

その内容は、友永氏は厳選したはずの水田さんとたった1カ月で別れて、今は岩間さんと交際しているという驚くべきものでした。友永氏はこう話しました。

「あの時(最終決断)は本当にめちゃくちゃ考えて、真剣に考えて水田あゆみさんに渡したからこそ、そこに関しては自分の嘘(うそ)はないです」
「僕が他の女性を思っているのに(水田)あゆみさんと付き合い続けるのはあまりにも不誠実だと思った」

■“博愛精神”の小室圭さんから“誠意大将軍”羽賀研二へ転落

言い訳しているようで、水田さんにとってはさらに酷な発言です。。また、友永氏は「覚悟を持って、この場所で誠心誠意隠すことなく話しにきました」とも言いました。こうなるともう何が誠実で何が不誠実かわからなくなってきます。

ふと脳裏をよぎったのは、「誠意大将軍」の異名を持った元タレント羽賀研二氏。誠実とか誠心誠意とかいうワードをやたら話す男性ほど信用できない気もします。

この衝撃の展開で水田さんに同情票が集まる一方、岩間さんはエピローグの前に神戸(友永氏の住んでいる場所)にいる写真などをSNSにアップした“匂わせ行為”が発覚し、炎上してしまいました。少し前、人気男性アイドルと交際していた女子アナも似たような匂わせ行為でネット民の顰蹙(ひんしゅく)を買いましたが、美女のマウンティング目的の匂わせ行為は同性に嫌われてしまうようです。

私の周囲にも「今まで人生の節目で、岩間さんみたいな女性がいた気がします」とトラウマ感を漂わせる知人女性がいました。

世間のバッシングを浴びることになってしまった2人はこれからどうすればよいのでしょう。今後、バチェラー友永氏が、仮に水田さんに続いて岩間さんとも短期間で別れ、次は野原さん(友永氏は番組中で「理想の女性だ」とさんざん言っていました)と付き合ったら、この男性ヤバイ……と世間の反応も怒りを通り越しそうです。。

セレブ育ちの博愛とチャレンジ精神を発揮し、逆回転のように落とした女性含めて20人全員と付き合っていくようなことになれば、これはもう本格的にヤバい人だったと笑いのネタになることでしょう。

■「ほんまに真剣に」ほか「友永構文」を真似る人の感覚

笑いといえば、友永氏のしゃべり方を真似して文章を書く「#友永構文」がツイッターでブームにもなりました。その代表的なしゃべり方を改めて見返してみると……。

「オレのことほんまに成長させてくれました。本当にありがとう」
「適当な偶然が重なって今ここにいるとかじゃないよ。あゆみだから今ここにいてくれる。ほんまにそれがずっとオレが思ってたこと」

「ほんまに(ありがとう、うれしい)」「めっちゃくちゃ(考えました)」「真剣に(考えました)」「感動(感謝)しかないですね」「正直(に言います)」「改めて~だと思いましたね」などを多用した独特なセリフ回しを繰り返し聞いていたことで、いつの間にかそれがうつってしまう人や意図的にその表現スタイルを真似する人も続出しているようなのです。

■シャープの公式ツイッターも友永構文で新商品紹介

また、シャープの公式ツイッター「シャープさん(@SHARP_JP)」も、10月31日に「炊飯器発売のお知らせ」を友永構文で投稿し、話題になりました。

「正直、めちゃくちゃ悩みました。そしてほんまに真剣に、真剣に考えて気づいたんです。なんの変哲もない炊飯器が、強い意思で、きょう発売される。感動しましたね。がんばってくれたんやって。みんな真剣に炊飯器と向きあってるんやって。ほんまに、ありがとう(バラの絵文字)」

「#友永構文」「#友永真也」などで検索するとたくさん出てきます。ポジティブシンキングと自己肯定感が漂う文体で、私も友永風に書いてツイッターに投稿したりしてみましたが、何気ない日常のひとコマが、自分の成長を促してくれる要素のひとつに思えてきます。

視聴者がもやもやした思いを昇華したくて、友永氏の口調を笑いに変えているのかもしれません。どんなに笑われても、バッシングされても、友永氏自身はラブラブで幸せのさなかなのでしょう……その強さ、ほんまに尊敬します。

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辛酸 なめ子(しんさん・なめこ)
漫画家/コラムニスト
武蔵野美術大学短期大学部デザイン学科卒。雑誌連載、執筆活動の合間を縫ってテレビ出演も。

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(漫画家/コラムニスト 辛酸 なめ子)

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