サウナが苦手な人は「本物」をまだ知らないだけ
プレジデントオンライン / 2019年11月20日 15時15分
※本稿は、本田直之、松尾大『人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■日本人の7割はサウナに苦手意識を持っている
日本人の中に「サウナを知らない」「サウナに全く入ったことがない」という人はほとんどいないだろう。温泉や健康ランドにサウナがあれば、誰でも一度は入ってみた経験はあるはずだ。
にもかかわらず、サウナに対して苦手意識を持つ人たちは非常に多い。
去年、日本サウナ・温冷浴総合研究所によって発表された「日本のサウナ実態調査」によれば、サウナが「好き/やや好き」という人は全体の3割程度に留まり、サウナに対して「苦手」という印象を持っている人や「どちらともいえない」という人がほとんどであるという。
■日本にサウナができたのは1957年以降
サウナはみんなが知っている身近なものなのに、なぜ、こんなにも多くの人が苦手意識を持っているのだろうか。
実は、これまでの日本のサウナは、ずっと間違っていたのである。
そもそも日本のサウナは、どれも1957年以降にできたものだ。
日本サウナの歴史をたどると、1956年にオーストラリアで開催されたメルボルン五輪に射撃選手として出場していた許斐氏利選手がサウナの存在を知り、当時銀座で開業していた東京温泉に導入したのが初めとされている。
■日本のサウナは間違っていた?
ただし、当時のサウナはまだまだ知る人ぞ知る存在で、広く日本国民に知られるようになったのは、1964年の東京五輪開催時だった。フィンランドの選手が、選手村にサウナを持ち込んだことにメディアが注目してニュースとなり、一気に人口に膾炙、1966年には渋谷にフィンランドサウナの1号店「スカンディナビア・クラブ」が誕生し、徐々に、サウナ施設が増えていった。
しかしながら、フィンランド式サウナが日本に導入されるにあたり、ひとつの誤りがあった。「ロウリュ」をすることができず、サウナ室内の温度が90~100℃近くと熱く、湿度も極端に低いドライなサウナが、一般的な日本のサウナとして定着してしまったのである。
■サウナの魂「ロウリュ」が湿度を上げる
フィンランドのサウナの温度は75~85℃程度とそこまでに高くない。さらにそこにロウリュを行って湿度を高める。
ロウリュとは、ストーブ上のサウナストーンに水をかけ蒸気を発生させること、ならびに蒸気そのもののことである。カンカンに熱せられたサウナストーンに水をかけると「ジューッ」という音とともに瞬時に蒸気が発生する。たちまちサウナ室内には蒸気が立ち込め、天井にぶつかってサウナ室全体の空気を動かし、じわぁっと全身から汗が噴き出て、身体の芯から温まる。
フィンランドでは「ロウリュ(蒸気)にはサウナの魂あり」ということわざがあり、ほぼすべてのサウナでロウリュができるようになっている。
しかし日本ではロウリュの部分が抜け落ちてサウナが伝わってしまったのか、あるいは水をかけると壊れるタイプのサウナストーブだったのか、ロウリュすることのできるマイルドでウェットなサウナはほとんどなかった。
「とにかく熱くすればいいんでしょ?」というカラカラのオーブントースターのようなサウナが世に溢れ、サウナの中で呼吸をすれば、熱く乾いた空気がのどを傷める。
そして、直感的に身体に悪そうな感じがして「サウナ=我慢」「サウナ=苦手」「サウナ=嫌い」という印象が残り、もう二度とサウナに近寄らなくなってしまったのだ。
■良いサウナが増えてきた
間違い、誤解され続けてきたサウナが、奇しくも二度目の東京五輪の直前に再発見され、見直されている。
そしてこのサウナブームに呼応するように、サウナ施設も新しいものができたり、いまひとつだったものが改善されたりと、前向きな変化を遂げつつある。
「ロウリュ」の概念が普及し、はやってきたことで、自分でロウリュ(セルフロウリュ)ができるサウナや、定期的に自動でサウナストーンに水がかかり(オートロウリュ)サウナ室内の湿度が適切に保たれるような、本場フィンランドのものに近いサウナが、少しずつではあるが増えてきたのだ。
最近のビジネスホテルに導入されているサウナもものすごくハイレベルになってきているし、デザイン性が高くスタイリッシュでおしゃれなサウナもどんどん増えている。
■今、サウナにもう一度出会おう
前述のとおり今、良いサウナが増えているし、「サウナイキタイ」といった検索サイトでサウナの情報や口コミが簡単に手に入るようになった。改めて、サウナを経験するための環境がととのいつつあるのだ。そして、サウナには、良い効果がたくさんある。
疲労回復効果は発汗作用といった身体への効果に加えて、自律神経をととのえたり深くリラックスして自分に集中する時間をとることができたり、ストレス社会を生きる現代人に嬉しいものばかりだ。
「サウナは苦手」と敬遠していた人も、これを機にもう一度サウナに行ってみてはいかがだろうか。
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レバレッジコンサルティング代表取締役
日米のベンチャー企業への投資育成事業を行いながら、年の5カ月をハワイ、3カ月を東京、2カ月を日本の地域、2カ月をヨーロッパを中心にオセアニア・アジア等の国々で過ごし、各地で食およびサウナを巡る旅をしている。食やサウナのイベントのプロデュースも行う。
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(レバレッジコンサルティング代表取締役 本田 直之)
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