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タワマン住人が人間関係に悶え苦しむワケ

プレジデントオンライン / 2020年1月1日 11時15分

■いざこざの原因は、住人の均質性

タワーマンションを舞台にしたドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』の脚本を執筆した際、実際に住んでいる方に、いろいろと取材をしました。

高級ホテルのようなエントランスにはコンシェルジェが常駐し、セキュリティーも万全、ジムやバー、スパなどの施設も備えたタワマンは、まさに成功者の集う夢の世界。でも、住む方々に話をうかがうと、人間関係に苦しんでいる人が少なくないようです。

下層階の人から上層階に住む人への「嫉妬」も、あると思いました。上にいくほど眺めがよく、その分価格が高いこともみんなわかっています。そうすると子ども同士のつきあいでも、上の子が下の子に対して偉そうな態度をとるというようなことが起こります。

ドラマの中に「ウチは主人が高所恐怖症で仕方なく2階に住んでいるの」と聞かれてもいないのに強調する住人が出てきますが、あれは実際にある話です。「上層階が買えなかったわけじゃない」と言いたいのでしょう。でも上の方からは劣等感の裏返しだと、失笑を買っています。

中下層階同士でも、隣はうちより日当たりがいいとか、あそこは同じフロアなのにうちよりいい車に乗っているとか、嫉妬の種はいくらでもあります。そして、やっかいなことに、いったん標的にされると、子どもが誕生会に呼ばれない、タバコの吸い殻をうっかりそのままにしたら写真を撮られて掲示板に貼られる、などの嫌がらせが起きます。全戸に配布される広報紙に掲載されることを狙って、「子どもの声がうるさい」「洗濯物がベランダからはみ出している」といった無記名の投書が寄せられたりします。

いざこざの原因は、タワマン住人の均質性にあると思います。世帯主は押しなべて高学歴、高収入、それなりの企業に勤めていて、地方出身。住まいの間取りも一緒。そういう共通項の多い人たちが同一の空間で生活を営んでいるため、ほんのわずかな差が気になって、嫉妬が生まれるのです。都内の一等地で皇后として暮らす雅子さまには、誰も嫉妬なんてしないですよね。

■ほどほどの距離感の近所づきあいが大切

その中で、心安らかに暮らすには、どうしたらいいか。とにかく、目立ちすぎないこと。かといって「人づきあいが悪い」と孤立しないようにしていかなければなりません。そのためには、ほどほどの距離感の近所づきあいが大切だと思います。

例えば、ママ友のLINE仲間には入るけれど、ランチ会は4回に1回は理由をつけて欠席するとか。その代わり、その日は一日中部屋に引きこもりです。絶対にさぼったのがバレてはいけません。

それでも仲間はずれにされたときは、どうするか? ドラマの中でも書きましたけれど、お父さん、お母さんが胸を張って元気に生きていけば、それでいいじゃないかと。誕生会に呼ばれなくても、ランチ会に誘われなくても、そんなサークルには無理矢理入らなくてもいい。ほかのサークルに入ればいいと思うんです。

それなりにコミュニケーション能力が高い人にとっては、タワマンは最高に快適な住空間だといえます。もっとも、私のようにメンタルに自信がない人には、あまり向いていないかもしれませんが。

【対策】ランチ会は4回に1回は欠席する

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池田 奈津子 脚本家
神奈川県生まれ。早稲田大学商学部卒。作品に『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS)、『東野圭吾 手紙』(テレビ東京)、『真犯人』『絶叫』(ともにWOWOW)など。『Wの悲劇』(NHK BSプレミアム)2019年11月23日放送予定。

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(脚本家 池田 奈津子 構成=山口雅之)

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