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ゴルフをする人に多く見られる「腰痛」の正体

プレジデントオンライン / 2019年12月25日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=Igor Vershinsky

腰が痛い。でも医者に行っても治らない。どうしたらいいのだろうか。「プレジデント」(2019年11月15日号)では、全国から悩める患者が集まる福島県立医科大学の医師たちに対処法を聞いた。第5回は「椎間関節障害」について――。(第5回/全6回)

■予防するには腹筋をトレーニング

椎間関節性腰痛は、ぎっくり腰や一般的な腰痛症に含まれている腰痛で、椎間関節という腰に存在する小さな関節に由来する痛みです。

椎間関節は背骨の骨をつなぐ左右一対の関節です。椎間関節は、腰を反らしたときに負担がかかるため、腰を反らしたときに痛みが生じる腰痛は、椎間関節性の可能性が高いと考えられています。また、腰の椎間関節は腰を前に屈めたり後ろに反らしたりする動きには有利ですが、腰を回す動きを制限するような形をしています。従って、腰を反らして回すような動きは、椎間関節に大きな負担がかかります。例えば、ゴルフのスイングや野球のバッティングなどです。そうした腰を回すスポーツをしている人に、椎間関節性腰痛は多く見られます。

■椎間関節性腰痛だと診断するのは難しい

とはいえ、椎間関節そのものが痛みを感じることもありますし、椎間関節の炎症が波及して神経痛を起こす場合もあります。椎間関節の炎症が筋肉に広がって筋肉痛をきたすこともあります。ですから、椎間関節に原因があるけれども、時に坐骨神経痛や筋肉痛なども混在するので、これが椎間関節性腰痛だと診断するのは難しいのが実状です。独立した病態ではなく、常にいくつかの病態が併発した状態になっているととらえるのが実際的です。

診断法の1つとしては、椎間関節性腰痛では、棘(きょく)突起と呼ばれる腰の真ん中の骨のあたりから、指一本ぐらい脇にずれた部分が痛む場合が多いです。逆に、棘突起の真上、ちょうど腰の正中部分が痛む場合は椎間関節性腰痛ではないと判断することが多いです。また、腰を反らして左右にひねったときに痛む場合には、椎間関節性腰痛が疑われます。逆に、そのような動作で痛くなければ、椎間関節性腰痛ではないと判断できます。このような特徴をもとに、最終的には、椎間関節に局所麻酔をして、痛みが消えることを根拠に診断します。

椎間関節は年齢とともに少しずつ変形してくるので、高齢になるほど椎間関節性腰痛の頻度は増えます。

椎間関節性腰痛の予防としては、腰をあまり反らしすぎないようにするほか、腹筋を鍛えるのも効果的です。腹筋は腹横筋などのインナーマッスルだけでなく、腹直筋や腹斜筋などのアウターマッスルも含めて鍛えます。これらの腹筋群で腰が反りすぎないようにして椎間関節への負担を軽減します。

治療法はリハビリと薬が基本になります。多くの場合、それで痛みは改善します。あまりにも痛みが強く、緩和したければ、椎間関節ブロックで局所麻酔薬と抗炎症薬を注射すると痛みは改善します。これらの治療法の選択は重症度で判断します。痛みが軽い場合はリハビリだけでも十分な効果が得られますが、痛みが強い場合は薬による治療を追加します。薬に関しては、特に高齢者は副作用が心配されますので、年齢やほかの病気の薬との飲み合わせなどを考慮する必要があります。

薬を服用すると、いったん痛みは改善しますが、椎間関節に負担のかかる動作を繰り返していると、再発する可能性が高いです。私が診ているプロスポーツ選手でも、約3割の選手は強い負荷のかかる動作を繰り返さざるをえず、再発しています。リハビリの費用は薬より少し安く、自己負担は1回600円程度(3割負担の場合)です。

金属で固定する手術という選択肢もありますが、別の箇所が痛むことがあることを認識したうえでの判断が必要です。

(福島県立医科大学医学部整形外科学講座講師 加藤 欽志 構成=田之上信)

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