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膝関節・頸椎・腰痛の手術で痛み除去は2割未満

プレジデントオンライン / 2019年12月15日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wavebreakmedia

■頼れる整形外科はどうやって探すか

「整形外科に通って電気治療を続けているけれど、なかなか治らない」――そんな不満を耳にすることがあります。私からすれば、それはある意味、当たり前。他の医科と違って、整形外科は通えば必ずしも治るものではないのです。

たとえば消化器だったら痛みの原因を特定して、それを除去すれば大体は治ります。しかし整形外科は、画像診断で飛び出した椎間板(ヘルニア)が痛みの原因ではないかと特定して、手術で切除しても、「まだ痛い」「しびれが残る」と患者が感じることはしょっちゅう。再発することも少なくない。股関節の手術だけは比較的成功しますが、膝関節、頸椎、腰痛の手術になるとあまりうまくいきません。総合的に見て、整形外科の手術で痛みがなくなるのは2割にも満たないのではないでしょうか。

なぜそうなるかというと、整形外科が扱う症状は膝関節炎など、加齢による痛みが多いからです。そうした痛みを全部なくすことは難しい。医師もそのことはわかっていますが、「年をとって痛いのは当然」と言っていたら、商売として成り立たない。診察したりリハビリをしたりして、患者をつなぎとめておくのです。

では、いい整形外科をどう見つけるのか。他の医師の選び方が整形外科にはそのまま通用しないのが、難しいところです。私には「外科医は肩書よりも手術実績を参考にすべき」「空いている病院には行かないほうがいい」という持論があります。外科医は経験豊かで手先が器用な医師が名医であって、手術数の多さと腕のよさは関連しやすい。しかし、整形外科医は数多く手術をこなしていても、その成功率はなかなか見えてこない。病院が繁盛しているからといって、腕がいいとはかぎらないのです。

アドバイスとしては、「慎重な整形外科医を選んだほうがいい」ということ。整形外科の手術はリスクが高い。特に年をとったら、全身麻酔で体にかかる負担も大きい。車椅子になるリスクだってあります。靴をはくときに痛みを感じる程度なら、加齢の痛みと折り合いをつけて、だましだましやっていくのもひとつの手段です。

■医師に「私だったらやりません」と言われて回避

私自身、ヘルニアや脊柱管狭窄症に悩まされました。後者は30人ぐらいに相談して、手術寸前までいったけれど、ある医師に「私だったらやりません」と言われて回避しました。今も痛みますが、後悔していません。すぐに手術をしようとしない医師は、ひとつの目安になるでしょう。

もしあなたが腰痛や関節痛に悩んでいるなら、必ずしも整形外科を選ぶ必要はないと思います。整形外科は医療行為だから信用できるというのは勝手な考え。指圧や整骨で治ることもあるし、民間療法も試す価値は大いにあります。視野を広げて、選択肢の範囲を広げたほうが賢明です。

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富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト
東京慈恵会医科大学卒業。開業医、病院経営、早稲田大学講師、日本女子体育大学助教授などを経て、医療コンサルタントに。慈恵医大相撲部総監督。著書は『不要なクスリ 無用な手術』など、65冊以上。

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(医師、ジャーナリスト 富家 孝 構成=鈴木 工)

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