貯金上手な人がバターと醤油は高級品を買う訳
プレジデントオンライン / 2019年12月3日 9時15分
※本稿は、山崎俊輔『大人になったら知っておきたい マネーハック大全』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
■我慢がつきまとう「節約」を長続きさせるコツ
基本的に節約は「安値追求」です。同じものを買うなら安い値札のものを買うべきですし、満足度がたいして変わらないならより安い商品をチョイスするべきです。
もう一度書きます。
「同じ商品なら、より安く買う」
「同じ満足度なら、より安い商品を選択する」
この2点が節約のカギです。週に2回買い物する商品が50円安ければ、月400円、年4800円安上がりの生活になります。同じようなことを10種類の商品で実現できれば、生活は同じことをしていて年4万8000円浮くことになります。
■貯金上手は安値追究だけをしているわけではない
しかし安いものを買えば何でも正解かというと、世の中はそれほど単純ではありません。むしろ安値追求についてはメリハリが必要です。
まず自分にとって譲れないクオリティラインがある消費については、無理して安値にする必要はありません。第三のビールがどうしても許せないのなら、「ビール以外」の節約を徹底してビールについては不可侵領域としてもいいわけです。
なぜなら、節約はトータルで実現すればよいからです。
これをやらないと何でもかんでも安い買い物に置き換えるあまり、じきに不満足な買い物が増えていきます。節約をしていても何も楽しくありません。だから節約は続かなくなります。満足度と値札のバランスを考える、言い換えればコスパを考えることが節約のコツです。
■パンの支出は安く抑えてバターと醤油は高級品を買う
メリハリをつける買い物術で意識してみるといいのは買い物の「頻度」です。毎日買うようなものと、数カ月に一度買うもののどちらで安値にこだわるか考えてみたことはあるでしょうか。安値こだわり度を強くするべきなのは、明らかに買い物頻度が高いものです。
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あなたが毎日食べる食材、例えばパンやご飯については安値追求の効果も大きく出ます。いつもブランド牛にこだわったり、6枚切り食パンではなく個包装の菓子パンを買うことは予算を大きくふくらませます。
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例えば200円で6枚切り食パンを買えば2人家族の朝食が3日持ちます。しかし150~200円のコンビニ菓子パンやブランドパン屋を夫婦で買えば1食だけで予算が倍増、3日で6倍の予算になります。メゾンカイザーのクロワッサンは確かに美味いしいですが、毎食食べてはやりすぎです。「時々」食べるからこそ幸せ感も高まります。
しかし、買い換え頻度が低い食材については意識的にこのルールを外して、高いものをあえて選んでみるのがマネーハックの発想法です。
例えば「バター」「醤油」「マヨネーズ」のように月に一度も買い換えないような商品については無理に安値を追求する必要はありません。むしろここぞとばかりに高級品を買ってもいいのです。
■高級バターvsコンビニ菓子パン どっちが節約できる?
例えばカルピスバターという超高級バターがあります。スーパーマーケットで高嶺の花という感じで手を出すことをためらってしまいます。数百円のバターやマーガリンを買う人のほうが多いと思います。一度買ってみると分かりますが、驚きの美味さです。
あるいはサイズが小さいのに500~600円するような醤油が売られています。クオリティ重視ということで倍以上の量の醤油より値段が高かったりします。買ってみると、なるほど味の濃さというか深みがあります。
こうした食材を高いと考えて手を出さないのもかまわないのですが、あえて買ってみても実はあなたの生活にかかるコストはそれほど高くありません。
毎日朝食のときパンに塗って1カ月半で使い切ったバターや2~3カ月かけて使うような醤油があったとして、1日あたりのコストは本当に小さなものです。
1500円のバターが45日の幸せをもたらしてくれたとき、1日あたりのコストは33.3円です。しかし「満足度」はどうでしょうか。高級バターを塗った朝食、高級醤油で食べる刺身は感覚的には一歩上の味に思えるはずです。(図表1)
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実はコンビニの菓子パンに150~200円を使ってしまうほうが「高い朝食」になっています。しかし満足度はどうでしょうか。
コンビニの菓子パンの味に感動することはまずありませんよね。コスパを考える時、より重要なのは購入単価より1日あたりの単価なのです。
■パスコの食パンにカルピスバターを塗ろう
ヤマザキパンやパスコの食パンがスーパーマーケットでお値打ち価格で売られているなら、これにカルピスバターを塗って朝食にしてみましょう。1枚あたり70円くらいで満足度が相当高い朝食になるでしょう。
あなたが仕事帰りに惰性でコンビニに立ち寄り、個包装で販売されている菓子パンを無感動で手に取り、150~200円払っているよりよほどお得で幸せ度も高いはずです。
醤油もそうです。刺身を買うときは閉店前のおつとめ品を狙って半額でゲットし、醤油は添付されているものではなく高級醤油で食べる。おそらくなんとも言えない満足度に包まれるはずです。なんならワサビもちょっと高めのものを買ってもかまいやしません。
「買い物頻度」という視点を持つだけで、同じ買い物にも意味合いや奥行きが生まれます。節約にも方向感が生まれるはずです。
「醤油は高級品を買ってもかまわないと考えてぜいたくを楽しんでみよう」
「むしろ毎日買うコーヒーや食パンの値段については気にしてみよう」
そう思いながらお店を回るようにすれば、買い物をする時間はきっと有意義でかつ楽しいものとなるはずです。
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ファイナンシャルプランナー
1972年生まれ。企業年金研究所、FP総研を経て独立。執筆活動、講演を多数行っている。著書に『スマホ1台で1000万円得する! マネーアプリ超活用術』(PHP研究所)など。
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(ファイナンシャルプランナー 山崎 俊輔)
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