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大反対"6000円のカプセルホテル"を造ったワケ

プレジデントオンライン / 2020年1月16日 9時15分

メモ:困っている人こそ、ビジネスチャンス。それを念頭に頭で整理したことをメモに書き出す。書いたメモはぐちゃぐちゃに破り捨てる。

■メモは1年間で400枚以上作る

メモの仕方がどうだろうが、喋り方がどうだろうが、話の上手い下手というのは結局内容です。相手が何を欲しているのか。そこを考え抜くことがすべてです。鉄道オタクに筋トレの話をしても仕方がないということです。

新入社員の3人に1人が悩んでいることって何だと思いますか。それは借金です。奨学金です。これ、給料が低い人にとっては地獄。そこで、彼らに奨学金の実態を話したうえで、「弊社の伊豆のリゾートホテルに勤務しませんか。ここなら寮費も安く、伊豆ならお金も使わない」と言ってみると、3人に1人は目を輝かせて、「伊豆に行きます」と名乗り出るわけです。ここに、話の上手い下手は関係ないのです。

私の場合、とにかく相手が何を悩んでいるのかを念頭に置きながらメモをしています。自分はアナログな人間なので鉛筆でメモをするのですが、このメモを作る前にもう1段階あるんです。

思い付いたことを紙にバーッと書き出して、そこに赤ペンや青ペンで自分の意見を書き込んでいく。もう自分でも読めなくなっていますし、汚すぎて誰にも見せられないので、その場で破り捨てます。それを繰り返していくうちに、考えが固まってきて、最後に鉛筆でまとめるんです。ここでは書き直しはほとんどありません。それだけ頭の中で整理が済んでいるということです。この最終段階のメモは1年間で400枚以上は作っていると思います。

相手にこびへつらって喜びそうなことをするのではなく、相手が困っていることを見つけ出してその問題を解決してあげる。そうやって相手の立場になることが僕ら経営者には必要。そんなことを考えながら、日々ぐちゃぐちゃなメモを大量に殴り書きしては破り捨てています。

■正しいことをしているのに困っている人

『豪華カプセルホテル 安心お宿』はカプセルホテルでありながら5000~6000円の宿泊料金を頂いています。カプセルホテルというものは、ホテル業界では「貧者の宿」とも呼ばれていました。そんななか、私が6000円のカプセルホテルを造ると言い出したわけですから、社員は全員反対でした。2017年の宿泊出張の宿泊料の平均支給額は、部長クラスで9870円、一般社員で8723円。東京でそれなりのホテルに泊まろうと思ったら、この料金では泊まれません。この安心お宿は、もちろん酔客に泊まってもらってもいいのですが、そういった出張のたびに困っているサラリーマンのために造った宿なのです。

ただ、豪華で安いホテルっていうのは誰でも造れますが、大赤字になって倒産します。だから、大浴場があって、サウナもあって、休憩室に行けばワインが飲み放題だけど、寝るところだけはカプセルですよという。隣のいびきが気になるという人がいれば無料で耳栓を配る。どこかひとつ落としどころをつくって、困っている人を助けてあげるわけです。

毎日真面目に働いているんだけど、残念ながら、30歳を過ぎてもいまだに平社員のままだと。そうすると自動的にこの人の泊まれるホテルは8500円までだと。東京まで会社のためにやってきて、それで泊まるところがどこにもない。そうしたらこの人の何が悪いかって、何も悪くないです。では、公園のベンチで寝るのかという話です。

正しいことをしているのに困っている人、という層がいないかなっていうのを常に考えています。

■困っている人こそビジネスチャンス

赤ちゃんをいちばん嫌う業界ってどんなものがあると思いますか。まず、高級レストランは嫌いますよね。店内で泣き始めたら売り上げは下がりますし、レストランで赤ちゃんはお金を払いません。同じ理由で、小さい子を持っているママたちというのはホテルのランチに行きたいけど気軽に行くことができない。そういったママたちはいままでどこに行っていたのかというと、ファミレスです。4時間も5時間もいられたら、自分がファミレスの経営者でも頭を抱えます。

そこで、ママ会に特化したパセラリビングというホテルを造ったわけです。ここはワンフロアに個室が1つしかありません。ドアノブを高い位置に設置しているので、小さい子が勝手に開けることはできません。いまの時代、誘拐っていう物騒なこともありますから、その悩みも同時に解決しているのです。

いまや、「ホテル女子会」というのは各地で人気のあるサービスですが、これをつくったのはバリアンリゾートだと思っています。ホテルでパーティーというと、高級5つ星ホテルのスイートルームで富裕層がするもので、普通の若者たちには縁がなかった。バリアンリゾートはその隙間を突いたエンタメホテルとして普通の若者たちに楽しんでもらう場所なのです。

メモをしているときもしていないときも、常に顧客目線で考えるのです。お客様は神様とはよく言いますが、社員には「お客様の神様になるように」と常々唱え続けています。

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荻野 勝朗 ニュートン・サンザグループ社長
スキー専門店ヴィクトリア創業者。その後、ニュートン・サンザグループ設立。主な事業に、カラオケパセラ、ホテルバリアンリゾート、豪華カプセルホテル 安心お宿。「へんな戦い方」でレジャー業界の活性化を目指す。

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(ニュートン・サンザグループ社長 荻野 勝朗 構成=プレジデント編集部 撮影=藤中一平)

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