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なぜ「ひとり起業」で、ご近所を幸せにするのか

プレジデントオンライン / 2020年1月24日 11時15分

高級ホテルをバックに「赤坂の街の面白さ、人の温かさ」を熱弁する小山田滝音さん。父は放送作家としてNHKなどで活躍した故・小山田満月さん。

■都会なのに人が温かい

人間関係が希薄になるにつれ、「世話を焼く」という行為が必ずしも好まれなくなった。特に都会生活では「そこまでプライベートに踏み込まないで」と考える人も多く、さじ加減が難しい。

そんななか、東京都心の港区赤坂で「なんでそこまで他人の世話を焼けるの?」(同地区で働く30代の女性経営者)と周囲を驚かせる人がいる。小山田滝音さん(34歳)だ。

小山田さんの活動は多彩である。ネット上の地域メディア「赤坂経済新聞」記者として取材・執筆する日もあれば、地方から東京にやって来た人向けの「上京ライフ」編集長も務める。後者は本人が立ち上げたWebメディアだ。

赤坂地区の清掃などボランティア活動にも積極的に参加する。アークヒルズや高級ホテルが立地し華やかなイメージが強いが、庶民的な一面もあるのが赤坂だ。前述の女性経営者とは清掃活動でも一緒だという。

「都会の真ん中なのに人が温かい。飲食店も個人経営が多く、まるで醤油を貸し借りするような関係もあります。街に入り込むほど『赤坂、面白いな』と感じ、もっと深く向き合いたいと思うようになりました」

取材中、「ぼくがビジネス誌に登場していいんですか?」と頭をかきかき、話を続ける。

■友人が設立した会社を手伝ったりしました

「神奈川県湯河原町の生まれで、神奈川大学経済学部に進学しました。起業ブームの時期でもあり、友人が設立した会社を手伝ったりしました。週1回の家庭教師や湯河原の温泉清掃なども手掛けていましたから、学生時代に月20万~30万円稼いでいました」

「上京ライフ」には地方出身者に寄り添う記事が多い。その中の「パイセンの教え」では、第一線で活躍する先輩が上京当時の自分をさらけ出す。「ホームシックになったら」ではレモンの産地・広島県出身者向けに、レモンサワー専門店も紹介。キーワードは「庶民価格でおいしい」だ。「神奈川県のはずれから上京しました」と公言する小山田さんならではの気遣いだろう。

さて、前述の清掃活動の件である。

「ご一緒するのは40代や50代も多く、区議会議員もいれば、高校生の娘さんと母子で参加している住民の方もいるなど多彩です。この活動が高じてコミュニティラジオ計画も進んでいるんですよ」と目を輝かせる。

赤坂に会社も設立したが「社員はぼく1人」。その身軽さで、ボランティアや取材活動で知り合った人と人との触媒役を務めている。小山田さんの周りでは、知り合いと知り合いをつないだ小さなプロジェクトが目白押しだ。最近、そんなプロジェクトの1つとして、予約制レストランを間借りしてランチ限定のカレー店を開いた。

取材日はそのプレオープン日。撮影直後に携帯の着信を受けた小山田さんは、「あ、すみません。想定外のことが起きたので」と、慌ただしく昼の繁華街に消えていった。

賢人8人の時間術を紹介したが、共通するのは「肩肘を張らない」、そして「まずはやってみる」姿勢だ。いつも1人ではないが四六時中は群れない。そんなバランスのいい距離感を大切にしていると感じた。読者のみなさんも、ぜひ参考にしていただきたい。

【心得】人と人とをつなげることに価値を見出す

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高井 尚之(たかい・なおゆき)
経済ジャーナリスト/経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

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(経済ジャーナリスト/経営コンサルタント 高井 尚之 撮影=永井 浩)

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