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全米の高校生が必ず学ぶ「お金の3つのルール」

プレジデントオンライン / 2019年12月16日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nuthawut Somsuk

アメリカ人は学校で必ず「お金の使い方」について習う。全米の高校生が学んできたベストセラーの教科書から、そのエッセンスをご紹介しよう。今回は「お金の備え」について——。(第2回/全2回)

※本稿はアンドリュー・O・スミス『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■お金で困らないためには予算を決めるべき

予算とは、入ってくるお金の予定や、お金を使う計画のことをいう。予算を決める目的は、出ていくお金が入ってくるお金よりも少なくなるようにすることだ。そうすれば、もしものときのためのお金を確保しておくことができる。

とはいえ、すべてのことが事前にわかるわけではない。たとえば、お友達へのプレゼントの予算を25ドルと決めたとしても、完璧なプレゼントが35ドルで見つかるかもしれない。あるいは思いがけない事故にあい、保険金の他に医療費がかかるかもしれない。新しいiPhoneがどうしても欲しくなり、お金が貯まるまで待てないということもあるだろう。

予算を賢く立てていれば、そういった不意の出費にも十分に対応できる。

予算を決めることの利点は、もしものときに備えられるだけではない。予算があれば、そもそもそういった事態にはならないのだ。

お金がいくら入ってきて、いくら使うかということを事前に把握しておけば、収入と支出のちょうどいいバランスを保つことができる。そして収入と支出のバランスがとれていれば、借金をする必要もない。決めた予算を守っていれば、給料日前になってお金に困ることはない。家賃や水道光熱費が払えなくなることもない。

堅実な予算を立て、予算内で生活する習慣を若いうちに確立できた人は、この先どんなことがあっても健全な財政を保つことができる。

■まずは今までの支出を把握する

予算を立てる最初のステップは、すべての収入とすべての支出を把握してリスト化することだ。予算の区切りは1カ月ごとにするのがわかりやすくていいだろう。とはいえ、1年先のことまで見通すのが、より賢い予算の立て方だ。

最初の一歩である収入と支出の把握は過去をふり返ることだが、実際に予算を立てるときは未来を見つめることになる。道具は紙と鉛筆だけでいい。または、パソコンのソフトやスマホのアプリを使ってもいい。

予算計画は、一生続けなければいけないというものではない。専門家の間でも、継続して行うべきなのか(続けるのは難しい)、それとも同じ予算をずっと使うべきなのか(いずれ現状に合わなくなる)、意見が分かれている。いずれにせよ、予算を決める見返りは大きいという点は誰もが認めている。

■今後1年間の支出を予想する

過去の支出を把握したら、今度は向こう1年間の支出を予測してみよう。収入についても、同じように過去を参考にして未来を予測する。

ここで仮に、あなたが大学を卒業したばかりの社会人1年生だとしよう。学生の頃の収入は、親からのお小遣いかアルバイト代ぐらいで、たいした額にはならなかった。そして社会人になった今は、1カ月の収入が手取りで2650ドルになり、これが1年続くとする。お小遣いとバイト代はもう入ってこないので、この手取り月収2650ドルが、今後1年間のあなたの収入だ。

次は支出のほうを見ていこう。両親の家を出てひとり暮らしを始めるとなると、家賃や食費や水道光熱費も自分で払わなければならなくなる。これは大きな変化だ。健康保険は会社のプランに入ることになるかもしれないが、自分で追加の保険に加入する人もいるだろう。

このように、学生の頃とは違う支出の費目がたくさんできるので、予算を立てるのも一苦労だ。ガス代や携帯料金のだいたいの相場をいちいち調べるのは大変だが、それでもやらなければならない。ここで頑張ってきちんと予算を立てておけば、その後がずっと楽になる。

ファイナンシャルプランナーなどの専門家に聞くと、月収に合ったそれぞれの費目の割合を教えてもらえる。たとえば、家賃は月収の3割までとか、あるいは毎月必ず出て行くお金(家賃とローン返済)は月収の半分までといったルールだ。予算の立て方に関しては、インターネットで無料で教えてくれるサイトを活用したり、図書館で専門の本を借りたりしてもいいだろう。

■予算を立てるときの3つのポイント

家賃にお金をかけすぎない

家賃はたいていの人にとってもっとも大きな支出だ。特に若いうちは収入が少ないので、多少の住みにくさや狭さはあっても家賃を抑えたほうがいい。家賃を抑える方法は、ルームメイトと一緒に住む、駅から遠いなど条件の悪い場所に住む、狭い部屋に住む、勤め先が都会なら少し離れた郊外に住む、などがある。しかし、こういった我慢が必要なのはおそらく若いうちだけだ。年齢が上がって収入が増えれば、住環境はもっと改善するだろう。

小さな出費に気をつける

自分でも気づいていない出費で、1カ月に数百ドルぐらい使ってしまうのはよくあることだ。スターバックスに毎日通う、夕飯はコンビニ弁当を買って帰る、スポーツジムの会費、iTunesのダウンロードなどなど、小さな出費のタネはいたるところにある。コーヒーが飲みたいなら、職場のタダのコーヒーを飲もう。

夕飯はなるべく自炊する。スポーツジムも、自治体のスポーツセンターを活用すれば費用はぐっと安くなる。音楽が聴きたいなら、ラジオなら無料だ。社会人になってまとまった給料をもらうようになると、お金を使いたくてたまらなくなる。しかし、そこはぐっと我慢だ。若いうちに倹約生活を送っていれば、いずれ豊かな生活を楽しめるようになる。

もしもの備えを万全に

生きていれば、お金のかかる不測の事態にたくさん遭遇する。不測の事態なので、いつ遭遇するかを予測するのは不可能だ。交通違反で多額の罰金を払うことになるかもしれないし、パソコンが壊れて買い換えることになるかもしれない。1年を通してみれば、不意の出費の分をどこかの節約で補えるかもしれないが、お金が必要になったときにすぐに払えるだけの備えは必要だ。

■自分の支出パターンを知る

今から1カ月、毎日の出費をすべて記録してみよう。1円単位まで厳密に記録すること。

1カ月は長いと思うかもしれないが、携帯代、家賃、クレジットカードの支払いなど、決まった支払いはたいてい1カ月単位なので、短期の記録では大事な出費を見落としてしまう心配がある。1カ月以上続けてもいいが、面倒な作業なのでできる人だけでかまわない。

たとえ1カ月だけでも、自分の支出パターンがだいたい見えてくるはずだ。

親元で暮らす大学生なら、食費や住居費は親に出してもらえるが、自分のお金で払わなければならないものもある。映画、コンサート、ゲーム、パーティなどの娯楽費、友達と遊ぶときの外食費、友達への贈り物、ハロウィーンや学校のダンスパーティ用の衣装、化粧品、ガソリン代や交通費、電子機器やスマホのアプリなどだ。

その大学生が社会人になり、アパートを借りてルームメイトと一緒に住むことになったとしよう。親元で暮らしていたときに使っていた娯楽費、交際費、電子機器代は、これから10年ぐらいもずっと使うことになるだろう。しかも、大人バージョンでお金はさらにかかるようになる。

それに加えて、今度は奨学金の返済、家賃と水道光熱費、携帯代やインターネット代、食費、各種保険の支払い、車を持っているなら車関連の費用、部屋の家具、洋服、休暇の旅行や帰省などのお金もかかる。そしてもちろん、将来に備えて貯金もしなければならない。

■「貯金」は支出に含めて考える

予算を立てるときは支出のほうに「貯金」と「緊急事態」というふたつの項目を入れたほうがいい。「貯金」がなぜ「支出」になるのかと不思議に思うかもしれないが、他の支出と同じように、必要なお金をあらかじめ割り当てておいたほうが無理なく貯めることができる。

アンドリュー・O・スミス『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SBクリエイティブ)

このように貯金のお金を先取りする方法は、「pay yourself first(まず自分のためにお金を使う)」と表現されることもある。貯金は自分のためだということを思い出させてくれる言葉だ。貯金のお金は最初からないものと考えれば、使いたい誘惑に打ち勝つのも簡単になるだろう。多くの会社は、財形貯蓄など、給与天引きで貯金できる制度を社員のために用意している。

「緊急事態」は、毎月決まって出ていくお金ではなく、失業、けがや病気で働けなくなる、家族の病気や事故といった本当の緊急事態でかかるお金だ。この点について専門家にアドバイスを求めると、半年分の支出を緊急事態費として貯めておくという答えが返ってくることが多い。半年分もなんて貯められないと思う人がほとんどだろうが、少しずつでも貯めていけば、いつか必ず目標を達成できる。数年かかってしまってもかまわない。実際に緊急事態になったら、支出を減らすだけでは追いつかない。もしもの備えは絶対に必要だ。

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アンドリュー・O・スミス MBA・法務博士
メイン州バス出身。学生時代からお金、投資、資金計画に関するアドバイスを行い、ペンシルベニア投資同盟(アメリカでもっとも早い時期に設立された大学投資クラブのひとつ)の設立に関わる。受託者、ファイナンシャルアドバイザー、弁護士として、信託基金、遺産、投資パートナーシップ、有限会社、保険信託、不動産パートナーシップ、個人資産の管理の相談に乗る。現在は特殊化学品メーカーのイェルキン・マジェスティック・ペイントで最高執行責任者を務める。

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(MBA・法務博士 アンドリュー・O・スミス)

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