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「東京電力のラストマン」川村会長が引退を宣言

プレジデントオンライン / 2019年12月12日 9時15分

東京電力ホールディングス会長の川村隆氏 - 撮影=横溝浩孝

■大規模停電の長期化、原発作業にミス相次ぐ東電

2011年に福島第一原子力発電所で事故が起きた、東京電力ホールディングス。19年は、9月の台風15号で千葉県を中心に大規模停電が長期化し、問題となった。

報道によると、99%の復旧までに約12日間を要したという。復旧の見通しが何度も変更されたことも、大きな混乱を呼んだ。東京電力が公表した検証によると、台風15号での巡視は事前に1500人体制で準備したが、900人程度不足していた。また、被害の全容を把握しないまま、過去の経験則をもとにして復旧見通しを出していた。

福島第一原発をめぐっても、保管されている処理水を巡って議論が活発になっているだけでなく、廃炉作業中のミスが相次いだ。

11月11日に1、2号機排気筒の解体作業中、解体装置をクレーンのフックに取り付ける際にワイヤー8本のうちの1本が装置の一部に引っかかり、ワイヤーと装置の一部が損傷した。同15日には同じ作業で、解体装置の補修やワイヤーを交換して再開したが、装置を排気筒に取り付けるときに装置の先端に付く4本の樹脂製の挿入ガイドの1本が強風で筒と接触し、ガイド先端のボール部が筒内に落下した。25日には6号機で、敷地外搬出に向けて作業中だった未使用燃料棒1本が機器に挟まり、2カ所がV字形に曲がった。

朝日新聞などによると、今年度の人身災害は10月末時点で24件と、すでに前年度(22件)を上回っている。7月末に飲食が禁止されている複数の管理対象区域内で警備員が水を飲んでいたことなども判明している。

■経産省が社長を呼び出し注意

この事態に梶山弘志経済産業大臣は12月5日、東京電力社長の小早川智明氏と面談。福島第一原発の作業現場でトラブルが相次いでいることについて「緊張感を持って臨んでもらいたい」と述べ、安全確認を徹底するよう求めた。原子力規制委員会も人手不足がミス連発の背景にあるのではないかとして、検証を進めるとしている。

小早川氏は面談後「バランスがとれた人材の配置になっているか、人手不足のセクションがないかなど、トラブルの原因をしっかり分析し、体制強化に努めたい」と述べていた。

さて、そんな東京電力にとあるニュースが飛び込んでいた。元日立の会長で、同社をV字回復させた立役者であり、現在は東京電力会長の川村隆氏が引退を宣言したのだ。川村氏は胸の内をプレジデント誌に語った。

■「80歳になったら、引退する」

東京電力会長の川村隆氏が自身の進退について、80歳で引退する方針であることがプレジデント編集部のインタビュー取材でわかった。川村氏は1939年生まれで、今年の12月19日に80歳の誕生日を迎えることになる。

川村氏は北海道函館市出身。東京大学を卒業後、62年に日立製作所に技術者として入社した。子会社である日立マクセルの会長を経て、09年に日立製作所の会長兼社長に就任した。

当時の日立はリーマンショックの煽りを受け、経営危機に陥っていた。川村氏はテレビや液晶パネルなど不採算部門から撤退し、成長分野とされた社会インフラに経営資源を注入。厳しい「選択と集中」の改革を断行し、日立をV字回復させた。

■日立のV字回復の立役者。原発は必要

名経営者として知られるようになり、一部からは経団連会長への就任も嘱望されたが、17年に福島第一原子力発電所の爆発事故後の東京電力HDの会長に就いた。政府側からの要請を受けたとされる。

一緒に就任した東京電力の生え抜きで、異例の営業畑出身の社長となった小早川智明氏と一緒に、これまでは地域独占企業だった東京電力に「稼ぐ力」を促した。また、東京電力にトヨタ式のカイゼンを導入し、これまでのムダをなくすよう努めた。今年度は再建計画「新々・総合特別事業計画」の3年目でだ。

原子力発電に関しては「原子力を捨てれば日本が衰退する」と述べており、資源に乏しい日本では原発が重要という考えを持つ。柏崎刈羽原子力発電所(新潟)再稼働にも前向きだった。

■東電のラストマン「最後に伝えたかったこと」

ベストセラー『ザ・ラストマン 日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」』(角川書店)の著者としても知られる。ラストマンとは、川村氏が日立時代の上司から聞いた言葉で、沈没寸前の船において、船長はすべての乗客や船員が下船したのを見届けてから船を下りることに由来する。川村氏は組織の最終意思決定者の覚悟を示すためにこの言葉を使う。

川村氏は日立製作所の副社長時代に搭乗した羽田発・新千歳行きの飛行機がハイジャックされた際(全日空61便ハイジャック事件)に「犯人の言うことを聞く」というマニュアルに従い黙って見守るスタッフたちを一喝。コックピットに突入した非番のパイロットの姿に「ラストマン」を見たといい、自身も周囲に「晩節を汚す必要はない」と止められながらも、経営危機に陥った日立の社長に就いた。東京電力会長の就任の際も、事故後に同社が世間から大バッシングを受けるなか重職を引き受けた。

川村氏が引退を決意した理由、引退後にしたいこととは。なぜこのタイミングなのか。東京電力は川村氏の発言をどう受け止めているのか。12月13日発売の「プレジデント」(2020年1月3日号)で詳細を報じる。

(プレジデント編集部)

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