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カリスマ添乗員「失礼と笑いのギリが勝負所だ」

プレジデントオンライン / 2020年1月13日 11時15分

カリスマ添乗員 平田 進也氏

■熟年の女性客にきれいな蓮の花

僕がツアーでやることはひとつ。お客様を笑わせるだけ。ツアーの始めには「よく、こんなしょうもないツアーに来ましたなあ」とお客様に言うんです。「あんたが『来い』ってゆうたやないの」とお客様が反応してくれたら、「忘れてました」とボケる。そしたら、大体のお客様は笑ってくれますわ。会って最初の1分が勝負。ここで笑わせられるかどうかです。

大阪では「商売」を、「笑いを売る」で「笑売」と書くんです。笑いの中に商談は成立する。笑っていれば、気持ちよく印鑑を押す。会っていきなり本題に入ろうとしてもうまくいかないんです。初めて会うときには、誰にでもバリアがあるもの。それをね、最初の1分の笑いで崩すんです。

私が大切にしているのは、面白くて声を出して笑うのと、褒められたときに嬉しくて笑顔を見せる笑いのふたつ。それを「ユーモア→くさび→ユーモア→くさび」の順でテンポよく話す。ユーモアのミルフィーユですわ。例えば、私のツアーには熟年層の女性が多いので、こんなふうに言います。「わー、今日は美人さんばかりですね。この間の婦人会はブサイクばかりやったわ。今日みたいな、こんなきれいなお花畑は初めてですよ。きれいな蓮の花ですなぁ」。

最後の蓮の花のオチで、お客さんはどっと笑います。いきなり「あんたたちは蓮の花ですわ」と言っても、ただ失礼なだけで、面白くもなんともない。ユーモアでくさびを挟むから、相手も納得して笑ってくれるんですね。

■売らない、売りつけない、売り急がない

狙いは失礼と笑いのギリギリのところ。はずしたら相手を怒らせる可能性も高いぶん、利益率も高い。相手が笑わなくてもひるんではいけません。機関銃のようにダーッと話し続ければ、どこかで相手はふっと笑います。

京都の「冷奴姐さん」とタイ・チェンマイの「カオソイちゃん」。言うまでもないが、平田さんである。

相手を褒めるのもいいですよ。

取引先を訪問する際は、本人がわざわざ飾っているものがヒントになりますね。山の写真があるなら登山好きかもしれない、動物のツノが飾ってあれば「何のツノですか?」と聞くだけでもいい。いずれにしても、商談で最初から売りにいったらアカン。私はね「売らない、売りつけない、売り急がない」をモットーにしてるんです。

それから、おもてなしの心を表す、「施(ほどこ)す」という言葉がありますね。これはね「程を越す」ともいうんです。何かと言うと、相手の期待の程を越す、ということ。例えばね、京都のツアーで料亭体験を組んでいたけれど、芸妓さんが体調不良でお休みになってしまったんですね。これではお客様ががっかりしてしまう。だから、私が芸妓になったんです。化粧も着付けもしてもらって、「冷奴ですー」と言ってお座敷に出れば、お客様は笑ってくれますよ。これが「施す」ということ。期待を上回った分だけ、お客様はまた私のツアーに来たくなる。喜んでもらってなんぼですわ。

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平田 進也(ひらた・しんや)
カリスマ添乗員
日本旅行西日本営業本部担当部長兼添乗員、同社『おもしろ旅企画 ヒラタ屋』代表。京都外国語大学卒業後、1980年に同社入社。テレビ・雑誌にも多数出演。

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(カリスマ添乗員 平田 進也 構成=吉田彩乃 撮影=福森クニヒロ)

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