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現役外科医が伝える「死ぬ時に後悔しない人生」

プレジデントオンライン / 2020年2月1日 11時15分

郡山市総合南東北病院外科医長 中山祐次郎氏

■命と向き合いながら前へ進む研修医の物語

著者の中山祐次郎氏は、現役外科医。過去2000件以上の手術に参加してきた。一方で、旺盛な執筆活動を続けている。2018年上梓した『医者の本音』は14万部のベストセラーとなった。そんな中山氏の小説デビュー作が本書だ。

医療現場で日々起きていることを、できるだけ鮮度が高いまま切り取りたかった。とはいえ本書は暴露小説ではない。現実に打ちのめされながらも、一歩ずつ懸命に前へ進んでゆく新米研修医の物語だ。

「今まで私は、数多くの死を見てきました。30代、40代の若さで『自分はこの人生で何もできなかった』と後悔しながら亡くなっていった人もたくさん見てきた」

そんな患者たちの想いを伝えたくて書いたのが、最初の著書『幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと』(幻冬舎新書)だった。同書では、普段は自覚しづらい命の価値を訴えた。

「自分は来年死ぬ。そう想像してみて、今あなたが本当にしたいことをしてください。そうすれば後悔のない人生になるのではないですか」と。

その後、ウェブや医師向けの専門誌などで執筆を続けてきた。だが、どんなに書いても、伝わらない層があることに気づいた。そういう層に、小説に乗せるかたちで問題提起をしたかったという。

■舞台は、東京の「下町の総合病院」

本書の舞台は、東京の「下町の総合病院」だが、自身は若い頃、東京都文京区の駒込病院に研修医として勤めた。

中山祐次郎『泣くな研修医』(幻冬舎)

「癌の専門病院だったので、患者さんが亡くなるのは日常的なことでした。人って、こんなにすぐ死んじゃうのかと。死の間際に精神的な苦痛をもって亡くなる人も数多く見ました。それって何とかならないのかという思いはずっと持っていた。そういう思いを、今は癌でもないし、死に直面しているわけでもない人たちに伝える方法はないのかと」

患者の「生きる」「死ぬ」の線引きをしなければならない側面が医師にはある。

「この人に『手術をする』と決めたら少し長く生きられるかもしれない。でも『しない』と決めたら3カ月で必ず死ぬ。その意思決定を、会議をしてみんなで決めるということが日常茶飯事です。でも、それって答えをはっきりと出せるものではないと思う。神様にしかわからない領域もたくさんある。そういう混沌とした現場だということは、お伝えしたかったんです」

同業の医師からは「苦情に近い感想」が時に寄せられるという。「途中から読めなくなった。吐きそうになった。これが二大感想です。あまりにリアルで、自分の話かと思ったと。でもそれは、私には最高の褒め言葉です」。

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中山祐次郎
1980年生まれ、神奈川県出身。鹿児島大学医学部卒。2017年、福島県広野町の高野病院院長を経て、郡山市総合南東北病院外科医長。

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(布川 剛 撮影=増田岳二)

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