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直感を儲かるビジネスに変える3つのステップ

プレジデントオンライン / 2020年1月2日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/fcscafeine)

「やりたいことがわからない!」状況に陥っているなら、それは危険信号。直感を駆動力にする思考法を学び、「これがやりたい!」という思いから価値あるアイデアを生み出しましょう。

■「他人モード」を抜け出して自分にアクセスすると価値あるアイデアを見つけることができる

あなたは自分自身の脳で物事を考えられているだろうか? 僕は、ほとんどの人の答えが「ノー」なのではないかと思う。なぜなら、日本語のコミュニケーションは強い自己主張をせず、空気を読んで相手の会話に乗るスタイルだから。加えてSNSの出現で、僕たちの脳は「自分がどう感じるか」よりも、「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考える「他人モード」になっているからだ。

毎朝決まった時間に出勤して会議やアポに臨み、その空き時間で書類を作成したり、部下のマネジメントに気を配ったりするのは、すべて他人モードの行動である。一方、自分自身にアクセスする、「自分モード」の時間はかなり少ないのではないだろうか。長時間、他人モードでいると、人間独自の能力である何か新しいことを発想したり、根気よく考えたりする力が失われていってしまう。このままではAI(人工知能)に負ける日が来るのも、そう遠くない。

実はビジネスの場でも同じことが起きていて、戦略に長(た)けた企業でも本来の目的や原点を見失い、最終的には経営困難に陥ってしまうことがある。逆に、圧倒的な結果を出し続けている会社やチームには、「これがやりたい!」という強い思いを持っている人がいる。ここで重要なのは、彼らを動かしているのは論理やデータではなく、直感や妄想だということ。彼らは直感を駆動力にした「ビジョン思考」の持ち主なのだ。


イラスト=上坂じゅりこさん。

図はビジョン思考の基本サイクルである。サイクル内の4つのステップは、僕たちが自分モードの思考を取り戻すうえでは欠かせないミッションだ。そして、このビジョン思考を身につけるには、五感を使って脳を刺激するメソッドと「余白」が必要になる。この余白とは、まっさらなノートを用意するといった「空間的余白」だけでなく、それに向き合って空白を埋めるための「時間的余白」も意味する。

メソッドに合わせて余白のつくり方を紹介していく。覚えておいてほしいのは、すべてのアイデアは余白の創造なしには生まれないし、余白は必ず自分の手でつくり出さなくてはならないということ。メソッドの中には「こんな簡単なことで本当に妄想を形にできるの?」と驚くものもあるかと思うが、まずは余白をつくってトライし続けてみてほしい。きっとあなたもビジョン思考を身につけ、自分モードを取り戻せるはずだ。


Step1 妄想する

「やりたいこと」「やりたくないこと」を整理して、自分の「好きなこと」「やってみたいこと」だけに意識をフォーカスし、自由な発想をどんどん促してみよう。

■自分が好きなものから妄想の種を探す

偏愛コラージュ

日本ではある程度の年齢になってから実現しそうもないアイデア、いわば妄想を口にすると、周囲の人に眉をひそめられることがある。しかし、世界のエリートたちはとっぴな発想を口にすることをまったく恥じていない。それは彼らが妄想を明確にすることで、前に進もうとする力が生まれることを知っているからだ。

とはいえ、他人モードに染まりきっている思考では、なかなか妄想を引き出すことができない。そこで、具体的にどのようにして妄想をふくらませればよいかを紹介したい。

妄想の種は好きなもの、興味があるものから探す。このとき、ただ頭の中で思い浮かべるのではなく、それに近い画像を見つけプリントアウトすることが大事だ。画像はスマホにある写真でもいいし、InstagramやPhotoPinで見つけたもの、インターネットで画像検索してピンときたものでもいい。画像を集めて、それらの中から特に引かれるものを10枚ほど選んで机の上に並べてみよう。

次に、それらをスケッチブックなどに貼ってコラージュをつくる。それができたら、言葉に落とし込む作業も忘れてはいけない。それぞれの画像の下に好きな理由、好きな要素などを短いキーワードで記す。

完成したら、部屋の目立つ場所に張り出す。すると、今の自分を形づくる好き&関心を一覧化することができ、この「偏愛コラージュ」がビジョン思考をつなぎとめる柱となる。

人の脳は視覚タイプ、聴覚タイプ、体感覚タイプの3つに分かれるといわれている。同じものを知覚しても、脳のタイプによって処理の仕方や表現が異なるのだ。しかし、僕は新しいものを生むには、どれかひとつを使った処理・表現ではなく、体感覚→視覚→聴覚の順序で考えることが望ましいと思っている。「なんとなく気になる」という直感的な体感覚からスタートし、アイデアを具体的な絵にして考え、最後に名前をつけるという流れで妄想をふくらませてみよう。

Point
●A3のスケッチブックまたは大きめのコルクボードを用意する
●好きな画像をプリントアウトし、スケッチブックに貼っていく
●画像の下に好きな理由・要素を短いキーワードで書く
●常に見えるところに張る

■「紙×手書き」で自分の感情を引き出す

妄想クエスチョン

自らの感情にアクセスするために、まずは他人モードの思考がまったく書き込まれていない、まっさらな状態のノートを1冊用意してほしい。これが空間的余白だ。PCやタブレットなどのデジタルデバイスに慣れ親しんでいる人にとっては、紙のノートに手書きするのは非効率で面倒に感じるだろう。しかし、デバイスの画面に向き合っているとメールが届いたり、SNSのプッシュ通知が目に入ったりと、他人モードに引き戻されてしまう。自分モードを取り戻すには、紙×手書きが1番だ。

いよいよ感情をアウトプットする練習「ジャーナリング」をしていくわけだが、毎日決まった時間に書くようにする。これが時間的余白だ。ノートには過去のことではなく、今感じていることを記述しよう。他人に見せるものではないので、心の奥底にある感情をありのままに吐き出してほしい。ただし、最後は必ずポジティブな言葉で締めくくること。これを1カ月も続けていると、次第にむき出しの自分が見えてくる。

ジャーナリングの1つの方法として、「妄想クエスチョン」を紹介しよう。妄想クエスチョンでは「もし3年間自由な時間ができたら、何をしたい?」などといった妄想を触発するクエスチョンを自分に対して設定する。僕らは大人になる過程で実現可能性の壁を学び、発想にストップをかけるように習慣づけられているので、その制約を外すためにも途方もない設定を質問に組み込むといい。

ノートに大きく横書きで質問を書いたら、左端に箇条書きで使う記号「・(ビュレット)」や数字を振ってみてほしい。すると、単なる白紙が妄想を書き出すためのキャンバスになるので、手を使って考えてみよう。

Point
●持ち運びしやすいコンパクトなノートを用意する
●お気に入りのペンで手書きする
●人には見せない
●毎日決まった時間に書く(できれば朝)
●うまく書こうとせず、心のままに書く
●2ページを埋めきる
●最低でも1カ月続ける

Step2 知覚する

知覚とは、対象の意味を理解するということ。五感全体を使って物事をよく感じ、ありのままに見たら、自分視点で考えてイメージしたものを手で描いてみよう。

■思いのままに理想の世界を1枚の絵にまとめよう

ビジョンスケッチ

このステップでは、偏愛コラージュや妄想クエスチョンをヒントに、理想の世界を描いてみよう。いきなり完成品をつくろうとせず、何度もつくり直す作業が重要になる。最低でも下書き→清書を2回繰り返すことで、モヤモヤとしていた発想がはっきりしてくるはずだ。

そこで、まずはA4の紙を1枚用意してラフなスケッチをしていく。あくまでも下書きなので、10分くらいの短い時間で鉛筆を使って思いつくままにおおまかに描いていこう。うまく描こうとせずに最初に頭に浮かんだもの、重要なものは紙の中央に大きく描く。そして、いくつかシーンが浮かんだ場合はそれらを周囲に描いておくといい。ラフを描き終えたら、次はスケッチブックに清書する。こちらも鉛筆描きで問題ないが、メインの部分はサインペンで輪郭をなぞると、メリハリがつく。

完成したら、信頼できる友人などに、この「ビジョンスケッチ」を見せて意見を聞いてみよう。第三者からのフィードバックは否定的だったり、見当違いだったりするかもしれないが、他者からのツッコミは妄想を磨き上げてくれるので、ぜひ試してほしい。

妄想を加速させる魔法の問いかけ「もしも実現したら何が起こる?」
理想とする状態が見えただけでは、創造のテンションは上がらない。理想と現実との間にあるギャップを認知することで初めて、思考を加速させることができる。そのために必要なのが「魔法の問いかけ」だ。妄想を引き出せたなら、「もしも……ならどうなるか?」というWHAT‐IF型の問いかけをして、未来に目を向けてみよう。この段階でどれくらいワクワク感を持てるかで、最終到達点が大きく変わる。
Point
●A4用紙、スケッチブック、鉛筆、サインペンを用意する
●下書きはうまく描こうとせず、10分くらいでラフに描く
●必ず「下書き→清書」を2回行う
●完成後、第三者に意見をもらう

Step3 組替する

「組替」とは、分解+再構築を意味する。生まれたばかりの妄想に独自の視点で加工を加えたら、オリジナリティーあふれる唯一無二のアイデアに組み立て直そう。

■「あたりまえ」を洗い出し、アイデアの独創性を高める

あまのじゃくキャンバス

ステップ2までは、妄想をアウトプットし、その解像度を上げることをやってきた。しかし、ビジョンスケッチで理想の世界を描いてみても、「こんなアイデア、新しさも独創性もない。他の人がもう考えていそうだし……」と不安に感じる人が多いのではないだろうか。現段階のアイデアに自信が持てなくても、気にする必要はない。最初から斬新なアイデアを出せる人なんて世の中にほとんどいないからだ。重要なのは出したアイデアをどう磨いていくか。ただの妄想をまったく新しい切り口のアイデアに変化させるには、妄想が持っている要素を組み替えるといい。

どのようにして組み替えるのかというと、妄想をできる限り細かく分解する。このとき、既存のアイデアに隠れている「あたりまえ」つまり常識をしっかりと洗い出すことが大事。パーツはバラバラにしたままでは意味がないので、もとの姿とは別の形に再構築すると、個人レベルの妄想に客観性が付与されてアイデアらしくなる。では、具体的な実践方法をお伝えしよう。

まずスケッチブックを用意し、中央に分解したいテーマを書く。テーマの周囲には、テーマに付属しているあたりまえを付箋に書き出して貼っていく。あまり深く考えずに、テーマから連想して出てきたキーワードをテンポ良く書いていくといい。

次にそれらを見返しながら、違和感を探す。このとき、内容が関連しそうな付箋は近くに貼り直したり、重複しているものは省いたりしよう。さらに、違和感がある付箋には、☆などの目印をつけておくことをおすすめする。

最後は「あまのじゃく」になって、あたりまえの逆を書いた付箋を外側に貼っていき、あたりまえとの関係がわかるように線でつなぐ。あたりまえの逆を書き出す付箋は色を変えておくと、視覚的に違いがわかりやすくなる。このあたりまえの逆が、アイデアの突破口になるのだ。

Point
●スケッチブック、ペン、2色の付箋を用意する
●テーマから連想する「あたりまえ」のキーワードを付箋に書き出す
●キーワードを見ながら違和感を探す
●「あたりまえ」のキーワードの「あたりまえの逆」を書き出す

■パッと見てアイデアを理解できるビジュアルに

ビジョンポスター

妄想に磨きがかかってきたら、アイデアをポスターにまとめよう。その前に「アナロジー」を使ってアイデアを組み替える方法を伝えておく。

アナロジーとは「類推」「類比」を意味し、情報を理解しやすくするために他の物事になぞらえることを指す。例えば、「買い物ができるカフェ」がアイデアだった場合、その構成要素である「めずらしい食材が買える」「ナチュラル」などを手掛かりにほかの物事に例えてみる。その結果、「市場」という例えが見つかったとしよう。次は、この例えを起点にして「市場のようなカフェとは?」という具合に考えてみる。こうすることで、アイデアに幅や奥行きが生まれ、より具体的で独創的になる。

あとはもう、アイデアをビジュアルに落とし込むだけ。妄想を1度で伝えるには、3つの要素が必須となる。それは、本質を端的に表すネーミング、魅力が伝わる短いフレーズ、そして受け手の理解を引き上げる例を含んだ視覚的要素だ。実際にこの「ビジョンポスター」を人に見せるときには、「これは◯◯のような××です」と説明すると、受け手側に伝わりやすい。

Point
●A3の紙を用意する(PCなどのデバイスの力を借りてもよい)
●アナロジーを入れて考えてみる
●ネーミング、キャッチコピー、キービジュアルを盛り込む

Step4 表現する

アイデアをアウトプットする場を意識的に設け、外部と情報を共有することで独自の視点に磨きをかけよう。

■作品を発表する場を決めてモチベーションをアップ

「表現する」をビジョン思考の最終ステップとしているが、妄想・知覚・組替・表現はあくまでもサイクルであり、終点であると同時に起点でもある。だから、自分のアイデアをビジョンポスターに落とし込むことができたら、まずは信頼できる友人などにそれを見せてみよう。このとき大事なのは、ポジティブな意見をもらうこと。ここで全否定されてしまうと、せっかくのエネルギーがそがれかねない。アイデアの個性を理解し、いいところを認めてもらったうえで、もっと良くなる、よく見えるための助言を求めよう。

そして最後に表現の仕方を決める。発表方法は展示会でもFacebookでもなんでもOK。アイデアの規模に応じて最善と思える手段を選択すればいい。だれに、いつ、どこで発表するか、表現の場を決めるとモチベーションもアップ。アイデアをさらに磨き上げるきっかけになるので、ある程度ビジョンが形になったら臆することなく発表してほしい。

Point
●考えたアイデアを第三者に見せ、ポジティブな意見をもらう
●「だれに」「いつ」「どこで」発表するかを決める

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佐宗 邦威 BIOTOPE代表/チーフ・ストラテジック・デザイナー
P&Gでヒット商品のマーケティングを手掛けた後ソニークリエイティブセンターで全社の新規事業創出プログラム立ち上げなどに携わる。独立し、共創型戦略デザインファームBIOTOPEを設立。近著に『直感と論理をつなぐ思考法』(ダイヤモンド社)。

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(BIOTOPE代表/チーフ・ストラテジック・デザイナー 佐宗 邦威 構成=福田彩 撮影=平松唯加子 イラスト=上坂じゅりこ)

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