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新年会の顔ぶれでバレる「いい幹事・ダメ幹事」

プレジデントオンライン / 2020年1月20日 11時15分

総理大臣主催の「桜を見る会」。その招待者名簿に注目が集まっている。(つのだよしお/AFLO=写真)

■もしも桜を見る会が「ファンタジー・パーティー」だったら

首相主催の「桜を見る会」の招待客のことが話題だ。いろいろな問題が指摘されているけれども、桜を親しい人たちと見たいという気持ちは理解できる。もちろん、趣旨やルールは守らなくてはならないけれども。

このような国として開催する会は別として、私的に行われる花見や、さまざまなパーティー、会合でも、誰を招き、誰を招かないのかということは案外大切な問題である。

年末年始のような特別な時期には、クリスマス会や忘年会、新年会など、人を招いて楽しむ機会が増えてくる。そんなときに「招待客リスト」を作るのは1つの芸術だ。

あまり同じような分野の人ばかり集めても、気が合うようで発展性がない。だからといって異分野交流のアウェー感ばかりのパーティーだと気疲れする。

いい具合に親しみが持て、また適度の発見、刺激があるような組み合わせにするのは、難しくて、そして楽しい。

パーティーや会合の招待客のリストを考え、着席の場合にはその席順を考える幹事さんの役割をするのは、今の時代に必要な能力を鍛えるうえで役に立つ。

■「多様性」のあるチームづくり

さまざまな個性が集まった「多様性」のあるチームづくりをして、その中で個性を響き合わせることでお互いを刺激し、ユニークな資質を補い合ったり高め合ったりして、結果を出すということが求められている。そのようなチーム構築の1つのモデルケースとして、パーティーの招待客リストを考えることは有効だ。

実際に幹事さんをやる機会がないという人でも、頭の中で、「このような招待客でパーティーをやったら面白い」というリストを作ってみるのもいい。いわば、「ファンタジー・パーティー」の構成メンバーを考えることで、個性を活かしたチーム構築のシミュレーションができるのだ。

ところで、これは見落とされがちなことだけれども、1つの大学が入学者を選抜するときにも、実は似たようなセンスが求められている。

アメリカのハーバード大学などの入学者選抜のポイントの1つは、「多様性」にある。似たような資質の学生ばかり集めるのではなく、さまざまな個性を持った新入生を選ぶことで、大学としての付加価値、シナジーを演出する。

大学とは、いわば、「4年間続くパーティー」のようなものである。どのような構成メンバーにしたら、異なる個性の間でケミストリーが生じて、学びが起こり、人間関係が発展するか。チームとしての一体感と、彩りのあるダイナミクスが生まれるか。そのあたりのことをアメリカの一流大学は目指している。

アメリカでは、たとえば2020年に卒業する学生たちをまとめて「クラス・オブ・2020」と呼ぶ。つまりは「クラス・オブ・4年後」をどのようなかたちにするかをイメージして、入学者選抜をしていくのである。

ペーパーテストの点数が重視されてきた従来の日本の大学の選抜では、大学を「4年間続くパーティー」と見るような発想が希薄だった。入学者選抜の基準が多様化する今後においては、学生のシナジーを積極的に考える大学が評価されると予想される。

大学だけでなく、会社、オンラインサロン、同好会、勉強会など、さまざまな場で、メンバーを選ぶうえでのセンスが問われている。いいチームを組める人は、ビジネスや人生の達人となるのだ。

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茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者
1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科修了。『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞受賞。『幸せとは、気づくことである』(プレジデント社)など著書多数。

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(脳科学者 茂木 健一郎 写真=つのだよしお/AFLO)

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