飯島家の秘伝!蚊を確実に殺す方法、教えます
プレジデントオンライン / 2019年12月26日 15時15分
連載「スモーカーズ・コーナー」も今年の最終回を迎えることになった。私にとって、今年もいろいろなことがあった。
まず、女房に怒られて禁煙をした。そして、ものの見事に禁煙をやめることになった。これは体調面からしてしょうがないことだった。禁煙をやめた今、ほんとうに体の調子がいい。精神面でのイライラが軽減されたせいなのだろうか。お酒もほとんど飲まない私にとって、唯一の息抜きが喫煙なのだ。
「禁煙運動」には巨大な利権が絡んでいる。医師会などいい例だろう。禁煙しようと医者に行くと、なぜか保険が適用される。喫煙はたいがい生活習慣になっているから、病院にとっていい売上になっている。まだ、健康への影響が解明されていない「加熱式タバコ」すら保険適用だけは決定するなど、なんだかとても怪しい。
科学的根拠のないものに対してまで保険適用を決めてしまうというのは、医師会の政治力の強さを感じてしまうものだ。科学が風評に負けるわけにはいかない、という政治家が多い。私もそう思う。
タバコがダメだっていうジャーナリストや識者で、お酒もダメだって言う人に出会ったことがない。社会的損失(要するに他人に迷惑をかけているということ)はお酒のほうが大きいし、健康被害だってある。DVと飲酒の関係性も指摘されているのにである。
来年もまた、タバコへの攻撃をやめないのあろうが、私は良識を信じて戦っていきたい。最終回は、プレジデントの特集でもあった「目」にまつわる、お話である。それでは読者諸賢よ、良いお年をお迎えください!
■かたつむりの目は切っても生えてくる
私が動物の「目」というと思い出すのはカタツムリである。童謡の「かたつむり」に「つの出せ、やり出せ、目玉出せ」という歌詞があるが、カタツムリの目は、ツノのように見える触角の先端部分についている。しかも、その目は切り落としてもまた生えてくるという非常に便利な機能がついている。
切っても生えるといえば、トカゲの尻尾だが、切り落とした部分が元の形に戻るには1~2年かかるといわれているうえに、トカゲ本体のダメージも大きいため、敵に襲われるなど生命の危険にさらされた場合など、一生に一度やるかやらないかの大技だという。
その点、カタツムリの目は2週間で元に戻るという。子どものころ、カタツムリの目が再生するという話を聞いて、どれくらいで戻るのか気になり、実際に切り落としてみたことがある。生えてくるところが見たかったが、さすがに2週間ずっと観察しつづけることができなかったので途中であきらめた。一度くらい再生の瞬間を見てみたいものだ。カタツムリにはかわいそうなことをしたと思うが、彼らの目は明るいか暗いかを感じることができるくらいでほとんど見えていないのだという。乾燥を避けるため、日なたを避けられるように明暗がわかれば問題ないらしい。目玉がついている大触角を動かして周囲の様子を認識しながら移動する。ヒトの目の役割に近いのは、むしろ大触角のほうかもしれない。
比較的簡単に再生するからなのか、目玉が災難に見舞われている種類のカタツムリもいる。日本にも生息するオカモノアラガイというカタツムリの触角にはロイコクロリディウムという寄生虫がつくことがある。寄生されたオカモノアラガイの触角は緑色に腫れあがってイモムシのようになり、イモムシを主食とする鳥に食べられてしまう。寄生虫は移動した鳥の体内で産卵。その卵が入った糞をオカモノアラガイが食べて、同じことが繰り返されるというわけだ。
ちなみに、カタツムリは歯も再生する。舌のようなものの周囲に生えた約2万本の歯(「歯舌」と呼ばれる器官)で、植物の実や葉を削って食べる。すり減ってもまた生えてくるので虫歯知らずだ。梅雨時に見かけることの多い動物だが、不思議な能力を秘めているものだ。
■地球上で一番視力の高い動物は鳥類
目玉の再生といえば、イモリもすごい。目だけでなく、脳や心臓の一部を切り取っても再生する。特に目玉については、18回くりぬいたら、18回とも全く同じ機能のレンズが再生したという実験結果もある。
動物の再生能力に話題が逸れてしまったが、いま私が気になっているのはあくまでも視力だ。地球上で一番視力の高い動物は鳥類なのだそうだ。子どものころから目が悪かった私はいつも鳥のようになりたいと思っていた。
ワシやタカの仲間は、1000メートル上空から、地上で動くネズミなどの小動物を見つけて捕まえることができる。ヒトの目には、光の刺激からものを認識するための視細胞が1平方ミリメートルあたり約20万個あるとされているが、イヌワシの視細胞は約150万個で人間の約7.5倍。また、ヒトの目は、赤、緑、青の3色の光を感じることで、色を認識しているが、イヌワシはこの3色に加えて紫外線の紫色の光を見ることができるらしい。どんなふうに見えているのだろう。
![](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/c/2/670/img_c21203926de04e66065b34298f45590b813220.jpg)
猛禽類の中でも目が大きいのがフクロウの仲間だ。夜行性なので、暗い中でもわずかな光があれば、遠くの獲物の存在を感知できるらしい。もし、フクロウの目が不便なことがあるとしたら、頭蓋骨にしっかり固定されているため、眼球を動かすことができないことだろう。目玉を動かせないのでその代わりに首を動かす。フクロウの首がよく回るのは、目だけを動かせないからだ。
目だけでなく、頭の良い鳥もいる。カラスだ。猛禽類並みの視力に加えて、カラスは知能も発達している。日本では公園の水飲み場で蛇口をひねって水を飲むカラスや、駅の自動券売機で遊ぶカラスが観察されているが、米国のワシントン大学の研究によると、カラスは自分に嫌なことをした人間の顔を覚えていて、嫌いな人間をピンポイントで襲うことができることがわかっている。しかも、ヒトに仕返しするときには仲間のカラスも誘って一緒に襲うことまでやってくるのだからたまらない。
■鳥は右に避ける蚊は上か下に
東京都環境局のホームページに「カラスに関するQ&A」が掲載されており、カラスの威嚇や襲撃への対処法として「カラスの攻撃を避けるためには、巣やヒナに近づかないことが一番」と書かれているが、まさに、カラスには嫌われないようにするしかない。カラスを含むすべての野生鳥獣は、鳥獣保護管理法で許可なく捕獲したり処分したりすることは禁止されている。人間の側の悪意が伝わらないようにして、カラスを刺激しないことが大切だろう。もしも本当に嫌われると東京都環境局の表現を借りれば「カラスは後ろから人の頭をめがけて飛んできます」ということになるから要注意だ。
カラスと同様に都市部の鳥であるハトも、人間の個体を識別する能力があるそうだ。カラスが嫌いな人間を見分けるのと逆に、ハトは自分にエサをくれる人間を見分けて近づいていくそうだ。ハトは首を振って歩くのが特徴だが、これも視覚に関わるものだという。人間の目は、デジカメの手ブレ防止機能のように、動くものを見るときに無意識に眼球を動かして対応しているというが、ハトが動くものを追う場合は、目だけではなく首ごと動かすことで視界を安定させるのだという。
鳥の生態で感心するのは、渡り鳥などが何千、何万羽の単位で飛んでいるときに、鳥同士が決してぶつからないことだ。オーストラリアのクイーンズランド大学の研究によると、鳥は個体同士が異なる高度で飛ぶことに加えて、正面から向かってくる鳥にたいしては、右に寄って避ける習性があることがわかったという。研究チームは短いトンネルの両端か10羽のセキセイインコを飛ばす実験を100回以上実施したが、一度も衝突は起きなかった。衝突が起きそうな場合は、必ず右側に避けるという結果になったという。これが集団で飛ぶ秘訣なのだ。
鳥同士は決してぶつからないのに、飛行機と鳥はよく衝突している。国土交通省のまとめによると、日本国内でバードストライクは年間1500~2000件発生している。これまでの研究から考えられることは、飛行機の機体が大きすぎるために、右に避けたつもりが避けきれないのだろう。
避けるといえば、蚊だ。蚊は避けるときに上か下に行く。蚊を叩くときは左右から挟み撃ちにするのではなく、上下で挟むように手のひらでパシリとやる。視力ではなく、最後は人間の知恵が勝利するのだ。
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内閣参与(特命担当)
1945年、長野県辰野町生まれ。小泉純一郎元総理首席秘書官。現在、内閣参与(特命担当)、松本歯科大学特命教授、ウガンダ共和国政府顧問、シエラレオネ共和国名誉総領事、コソボ共和国名誉総領事。
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(内閣参与(特命担当) 飯島 勲)
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