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前妻に月20万円仕送りも年100万貯金のバツ夫

プレジデントオンライン / 2019年12月26日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/high-number

本当は夫婦合わせて約60万円の手取り月収があるDINKSだが、バツイチの夫が前妻に月20万円の仕送りをしており、1円も貯金ができずにいた。ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんがメスを入れたポイントとは——。

■年の差婚、子どももマンションもほしいけれど、貯金ができない

「子どもを産んだり、マンションを買ったり、老後資金を作ったり。私たち夫婦に、そういうことができるのでしょうか」

そう言って相談に来たのは、女性会社員の佐川典子さん(36歳:仮名)。会社員の夫・良英さん(47歳)と2人暮らしです。良英さんは離婚歴があり、典子さんとは再婚です。

典子さんが心配だと思っているのは、良英さんが前妻とその子どもに毎月20万円の“仕送り”をしており、自分たちの生活にはあまりお金を入れてくれていないことでした。

毎月典子さん一人の収入で生活を回しているようなものであるため、ゆとりがなく、貯金は婚前に典子さんが貯めていた500万円だけ。結婚後、貯金が増える気配はなく、何かあれば減る一方になるだろうということが不安なのだそうです。

ですから、子どもを産んでも大丈夫だろうか。小さい頃からの夢だったマンションを買うことができるのだろうか。そんなことをよく考えるようになってしまったということでした。お気持ちはよくわかります。

■夫の給料33万円のうち20万円は「前妻への仕送り」の謎

典子さんの家計相談のポイントをまとめると以下の2つ。

ひとつは、現状の収入・貯金の状態でも、マンションを買うという夢をかなえ、返済していけるのか。

もうひとつは、夫が仕送りする額をなんとか減額させ、夫婦らしい生活を送るための手だてはないのか、ということです。

良英さんの手取り収入は月約33万円ですから、月20万円の仕送りをすると、手元には13万円しか残りません。その中から7万円を自分のこづかいとして、スマホ代や生命保険料、iDeCoの掛け金、ランチ代に充てています。家計に入れているのは残り6万円。この6万円と典子さんの収入が夫婦の1カ月の生活費となります。

写真=iStock.com/Kritchanut
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kritchanut

つまり、生活の大部分は典子さんの収入に支えられているため、典子さんとしては「支出を下げられる部分もあるだろうが、仕送り額を減らしてもらえるともっと楽に暮らせるのに」という思いがある、ということであるようです。

聞けば、この仕送りは夫の本意ではなく、また慰謝料のように支払い義務もないそうですが、小さな子どもを抱えて働くことができない前妻のためにやむをえず送金しているそうです。現状、子どもに会えないので、良英さんとしても今後は減額交渉を考えているとのことです。

■夫は残った12万円から7万円を「天引き」している

ただし当面は仕送りが続きます。筋肉質な家計に変えるため、支出の状況をうかがっていきました。

正社員の典子さんはしっかりと収入があり、毎月の手取りは27万円ほど。そこに良英さんが家計に入れる6万円を合わせ、33万円ほどが毎月の生活費です。一般的に考えると、夫婦2人ならば日常の衣食住も貯金もしっかりできる収入額に思えますが、毎月ほぼ使い切ってしまうか若干赤字のやりくりです。

もうひとつ気になったのは、良英さんが管理している、こづかいの7万円です。ランチ代、スマホ代など身の回りの支出を含めたものですが、これを夫が“天引き”してしまうことで、夫婦別財布のような支出が見えにくい家計ができてしまっています。そのため、この7万円のこづかいに関しては後述するようにメスを入れました。

■家計圧迫は夫の「高級食」で高血圧、高脂血症のクスリ代も

典子さんに家計全般の支出状況を聞くと負担となっているのは、収入の約4割を占める住居費約13万円(賃貸マンションの家賃と共益費)。ただ、通勤に便利な立地などを考えると仕事を継続していくために必要な支出と判断しました。

一方、食費(7万3000円)や医療費(2万6000円)は一般のDINKS(共働きで子どもを持たない家庭)の家庭よりも高いように感じます。原因は、主に良英さんにありました。食にこだわる人で、牛肉であれば産地や等級への思い入れも強い。価格も高めのものを好みます。ところが、成人病(高血圧、高脂血症)を患っており、現在通院治療中。食事内容を制限することを勧められているそうですが、投薬料がバカになりません。

一方、典子さんはヘルシーな食生活をしていて、ジムなどに通って体力維持にも努めているそうです。健康観が夫婦で異なるようですが、夫が典子さんの暮らし方にもう少し合わせられると、健康の維持につながりつつ、食費を下げることが可能になるように思えます。

メタボ家計BEFORE→AFTER

ただ、常に厳しく管理・制限をしていると息苦しいので、食事を控える時と、好きなものを食べてよい時のメリハリをつけることにしました。週末はちょっとカロリー高めな好きなものを夕食とする代わりに、平日は典子さんと同じ食事を食べるようにし、夕食の残りなどを弁当に詰め、会社での昼食にするようにしたのです。それにより、食費は月1万5000円削減できました

夫は週末の空き時間、つい間食してしまうとのことで、典子さんと一緒にジムに通うようにもなりました。その分、支出は増えますが(+5000円)、健康の維持という目的のためには良いと思えます。費用も削減した食費の中から支払うことができます。

■家計のピンチ&妻の願望達成のため、夫は倹約を決意

そのほか、削減した費目は、サブスクの契約(2万4000円→2万1000円)や、被服費(洋服を購入する時期をボーナス時に集中、1万円→5000円)、娯楽費(主に妻の映画館消費、1万円→3000円)でした。

また、現在、夫婦別財布となっているため、夫婦の家計が1つになるように良英さんの月7万円の「こづかい」から生活費分(iDeCo掛け金、スマホ代、ランチ代など)を切り離すことにしました。純粋に自由に使える金額としていくら必要かを相談してもらうと、「3万円ほどで大丈夫です」とのこと。生活費分として使われていた4万円を家計に入れてもらうこととして夫が個人的に払っていた分を家計から支払うようにしました。

一方、弁当を手作りする機会が増えたこと、妻に連れられてスマホを格安なものに変えたことなどから家計の負担が増えましたが、額としてはさほど大きくなく、支出の削減額と相殺していくことで、最終的には全体で月に5万円ほどの余剰が出せるようになりました。それまでは1円も貯金できなかっただけに、大きな成果を得たといっていでしょう。

ボーナスも含めると、年間で100万円ほど貯蓄できる見込みができました。ボーナスのやりくり次第では、それ以上も目指せるかもしれません。これに加え、夫の元妻への仕送り額を減らせることができれば、その分も着実に自分たちの蓄えとなります。

■バツイチの伴侶との結婚は想定外のコストがある

バツイチの伴侶との結婚は、想定外の天引きコスト(養育費や仕送りなど)がかかることがあります。貯金の妨げとなることもありますが、夫婦がお金の使い方、暮らし方をよく話し合って、ムダを省くように努めることが大事です。

写真=iStock.com/Milatas
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Milatas

やりくりを夫婦2人で頑張り、子どもをもうける、マンションを買うなどの夢に向かっていただきたいと思います。

■【メタボ家計コストカット額ランキング】

1位 -4万円 夫婦のこづかい
「夫のこづかい」を「生活費」と「こづかい」に分け、「生活費」を除くことに。
2位 -1万5000円 食費
夫が通院する病院の指導内容を取り入れた食事内容に一部変更
3位 -7000円 娯楽費
妻が無計画に映画鑑賞するなど浪費気味だったため、妻のこづかい内でやりくりをすることに
4位 -5000円 被服費
洋服はボーナス時に、計画的に購入することに
5位 -3000円 その他
サブスク契約を見直し、不明金をできるだけ少なくした
■増えた費目
iDeCo掛け金:+1万円 夫のiDeCoは家計から支払う
教育費:+5000円 夫もジムを始めた
通信費:+3000円 夫のスマホ代も家計に含めた
生活日用品費:+2000円 夫が個人的に購入していた分を家計に含めた

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横山 光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万3000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は110冊、累計330万部となる。個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭)

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