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なぜ願いを100個書くと自己肯定感が高まるか

プレジデントオンライン / 2020年1月9日 7時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ChristianChan)

大きな失敗をして自信をなくしたり、いろいろなことが空回りしてもんもんとしている……。心理カウンセラーの中島輝さんが、そんな人にすすめているメソッドの一つが「Wishリスト」というワークです。ここでは実際の相談者佐藤さんのケースをもとに、メソッドの概要と驚きの効果を紹介します。

※本稿は、中島輝『書くだけで人生が変わる 自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■過去の失敗が頭から離れないときは

過去の失敗体験によって自尊感情を傷つけ、「できる自分」のイメージを見失ってしまうのは仕事でも勉強でも恋愛でも人間関係でも起きることです。

客観的に見れば、過去の失敗そのものを変えることはできません。

ところが、自尊感情にトラブルを抱え、自己肯定感が低下していると、振り返っても仕方のない過去の失敗体験を何度も思い出し、そのたびに「自分はダメだった」「もっとこうするべきだった」と思い悩んでしまいます。そんなとき必要なのは、視点を変えることです。

看護師として10年近くキャリアを積んだ佐藤さんの悩みは、仕事が完璧にこなせなければ自分に価値がないとの思い込みから、転職を繰り返してしまうことでした。佐藤さんには、改めて「人の役に立ちたい」という原点を思い出してもらうことが大事でした。ただし、それを自分へのプレッシャーとするのではなく、人生を楽しむためのエネルギーに変えていけるよう働きかけていきました。

そこで使ったワークが、「Wishリスト」です。

■20分以内にできるだけたくさん書き出す!

「Wishリスト」は、自分のもつ願い(Wish)をノートに箇条書きで書き出していくワークです。自分のやりたいこと、興味のあること、実現したいこと、楽しみたいこと、望んでいることなど、思いつくままにどんどん書き出していきます。

「Wishリスト」は夢や願いを3つ4つ書くノートではありません。100個書くことを1つの目標に書き出していきましょう。

20分以内に、できるだけたくさん! と時間制限を設け、ある意味、無理やり書き出すことで、大人になって忘れてしまっていた昔の夢や子どものころの願望もよみがえってきます。ふだんは考えもしないような潜在意識からの願いも表出します。

佐藤さんにも「どんどん書いてね」「仕事を離れてやりたいことも含めてね」と「Wishリスト」にチャレンジしてもらいました。仕事からプライベートまで思いつくままに書き出してもらった一部分を抜粋すると、こんなWishが並んでいます。

「海外で看護師として働いてみたい」
「子どものころから一度行ってみたいと思っていたニュージランドを旅したい」
「一緒にいるとくつろげる彼氏が欲しい」
「日当たりのいい部屋に引っ越したい」
「焼き物に興味があるから、陶芸教室に通ってみたい」
「マスクメロンをまるまる1個食べてみたい」
「患者さんからの“ありがとう”を素直に受け止められる自分でいたい」
「同僚に愚痴をこぼせるようになりたい」

自分のやりたいこと、興味のあること、実現したいこと、楽しみたいこと、望んでいることなど、思いつくままに100個書き出していきます。できるだけ20分以内に書き終えましょう。タイマーで時間を測るのもおすすめです。

■イメージするとドーパミンが分泌される

専門的な用語になりますが、私たちの心には機能的自律性という機能があります。これは自分のもっている興味や関心を自覚すると、それを実現したいというモチベーションが高まる心理的効果です。

つまり、人間はやりたいこと、興味のあること、実現したいこと、楽しみたいこと、望んでいることを自覚すると、ワクワクし、行動に移したくなってくるのです。

イメージが大事というのは、よく聞く話ですよね。スポーツ選手もイメトレをしますし、願いも写真や絵を掲げることで叶いやすくなると言います。

このことは科学的にも証明されています。ワクワクする楽しいイメージを思い浮かべると、脳からドーパミンという脳内物質が分泌されます。イメージには力があり現実化するといわれるのは、ドーパミンが出るからなのです。

ドーパミンは、「快楽のホルモン」とも言われます。脳からドーパミンが分泌されると、そんなに楽しいなら現実にしてしまおう! と判断し、やる気や意欲が出てくるのです。

付け加えると、脳は映像化イメージのほうが、ドーパミンがたくさん分泌されます。そして、ドーパミンはたくさん出たほうが夢や願いが叶いやすくなります。

■書くだけではなく、読み返すことが大事

「Wishリスト」をつくることで、あなたは自分のほんとうの願いに気づくことができます。そして、書き出したやりたいこと、興味のあること、実現したいこと、楽しみたいこと、望んでいることを目で見て、読み返すことで人生へのモチベーションが高まっていくことが感じられるはずです。

ちなみに、佐藤さんはノートに「Wishリスト」をつくる過程で、自分の望んでいることをはっきり自覚できるようになったと笑顔を見せてくれました。

これは自尊感情が低い状態が続くことで起きていた「自分の思考の整理がうまくできず、感情のコントロールが覚束ない状況」から脱することができたからです。

佐藤さんの場合、「Wishリスト」によって「書くことの3つの効果」のうち、「アウトプット効果」と「見える化効果」がよく働き、自己認知が深まっていきました。自己認知が深まると、「自分の価値を認めてもらいたい」という承認欲求のバランスが整います。承認欲求とは誰しももっている欲求ですが、じつは自己承認と他者承認の2段階に分かれています。他者承認とは他人からの承認、自己承認とは自分で自分を承認することです。

■強い承認欲求には要注意

自己承認と他者承認の双方がバランスよく満たされる状態が理想的ですが、自尊感情が低下しているとき、私たちは自己承認がうまくできず、その代わりに他者承認を強く求めるようになります。つまり、「他人から認められたい」思いが強くなるのです。

佐藤さんの場合、それが「(価値のない私は)仕事くらい完璧にできないとここにいる意味がない」「良好な人間関係の中で完璧な仕事をする自分=価値がある」という思い込みにつながっていました。

それが「Wishリスト」を書くことによって自己認知が進み、自分自身の存在価値や仕事以外で得られる楽しみ、仕事そのものの喜びを再認識でき、他者承認が強くなりすぎていたこと、自己承認できる価値が自分にあることに気づくことができたのです。

■忙しい人ほど自尊感情が下がりやすい

仕事に家事に忙殺されている人は、自尊感情が下がりやすい状況にいると言えます。忙しく日々を過ごすうち、自分を大切にすることを忘れてしまうからです。そんな人こそ、「Wishリスト」を試してみてください。

何の制限もかけず、思いつくままに書き進めていくうち、「自分はこんなこともしたかったんだ」「こういう場面で喜びを感じるんだ」「楽しみなことたくさんあるな」と、さまざまな感情が湧き出て、気持ちが解放されます。

中島輝『書くだけで人生が変わる 自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)

そして、リスト化されたWishを眺める時間が自分を大切にするひと時となり、自尊感情を高めてくれるのです。ですから、書き記した「Wishリスト」は書いて終わりではなく、毎日、ページを開いて見返すようにしましょう。

なんども見ることで、脳が重要なことだと認識し、「Wishリスト」に書かれているように行動しようと、勝手に動いてくれるようになるのです。

ある男性のクライアントさんは「Wishリスト」を大きな紙に拡大コピーして、毎日もち歩く手帳の間に挟み、ふとしたときに開いて眺めるようにしていました。

とくに出勤するのがしんどいと感じる月曜日の朝、リストを眺めるようにしたらメンタルが安定するようになったと言います。しかも、この習慣を始めるようになってから10ヵ月後に昇進、収入も増えるという副次効果もありました。

「Wishリスト」が効果的なのは、書き出したリストが本人の過去と未来をつなげ、見える化したTo Doリストになっていくからです。

「何のためにこんなに仕事が忙しいんだろう」「このままで大丈夫かな」と不安になったときも、リストを見ることで理想の未来に向かっていく自分をイメージすることができます。

「叶えたいことのために今、忙しく仕事をしている」「このままで大丈夫」と、そう思えたとき、あなたは自分に価値があると感じ、自尊感情が高まります。

■Wishリスト作成の3つのポイント

①なるべく20分以内で100個書き出すこと

時間制限内に100個書くと設定することで、こうあるべき、これは無理という、ブロックがなくなり、思ってもみなかった「やりたいこと」が出てきます。あなたの潜在意識からの、ワクワクするような願いや夢が出てくるのです。

②リストを書き終えたら、全体を見直すこと

一気に出してみると同じような項目があるのを発見できます。じつは、それがあなたのやりたい傾向であり、今必要なことなのです。たとえば、温泉、海、海外旅行が多ければレジャー。検定合格、資格取得が多ければ勉強など。

③リストに優先順位をつけること

ワクワクする項目を○で囲んだり、星マークを付けたり、ワクワクする順に数字を振ったりして、優先順位をつけましょう。さらに叶った願いにマークを付けたり、シールを貼っていきましょう。すると、達成感が高まります。こうすることでノートをみるだけで自己肯定感が高まっていくのです。

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中島 輝 心理カウンセラー
作家。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる 自己肯定感の教科書』など多数。

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(心理カウンセラー 中島 輝 写真=iStock.com)

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