ネットバンクの残高は"PC上"で書き換えが可能
プレジデントオンライン / 2020年1月17日 15時15分
■PC上で“年末ジャンボ当選者”になる方法
突然ですが、パソコンを立ち上げてください。そしてブラウザ・グーグルクロームを使い、プレジデントオンラインを開いてください。
F12キーを押すと(一部端末ではFnキーとの同時押し)、画面が分割され何やら難しい表示が出ると思いますが、その表示左上にある矢印のついたボタンをクリック後、適当な記事タイトルをクリックしてください。右側の難しい画面に、選んだ記事タイトルがハイライトされていると思います。
右側の画面でハイライトされた記事タイトルをダブルクリックし、適当な文字列を打ち込むと……。なんと、自分の打ち込んだ文字が記事タイトルに変わりました!
これは「開発者ツール」と呼ばれるもので、その名の通りWeb開発者がサイトの仕様や動作をチェックするために使うツールです。もちろん書き換えられたのはあなたの画面上だけで、サイト自体に変化はありません。
この開発者ツールで「イタズラ」をする場合、どんなことが考えられるでしょうか。私なら、年末ジャンボの当選番号発表通知のページを自分の持っているクジの番号に書き換え、画面を撮影して誰かに見せびらかします。ネットバンキングの残高を書き換え、億万長者気分になるのもいいかもしれません。
■知らない人はまず騙せる
仕掛けを知っている人からはくだらないイタズラだと一蹴されますが、知らない人はまず騙せるでしょう。
そして残念ながら、この手のトリックを使った詐欺が、SNS上では蔓延しています。
ツイッターでは「私は年末ジャンボ宝くじの当選者です。このアカウントをフォローし、投稿にいいねとリツイート(RT)をした方から抽選で100万円を100名の方にプレゼントします」といった旨の投稿を、宝くじの当選写真やネットバンキングの写真などをつけて行い、投稿の露出やフォロワーの増加を狙う人がいます。中には「リツイートした人全員に100万円をプレゼント」などという、お粗末極まりない投稿もありますが、こういった投稿に数万件のいいねやRTがつくことも珍しくありません。
当然ながら、こういった“懸賞”の当選者は存在しません。
アカウントの露出を増やし、情報商材を購入させたり「おめでとうございます。あなたは当選しました。受け取りのためにこのアプリをインストールしてください」などと持ち掛け、アプリの報酬を得ることが狙いの詐欺行為です。
信ぴょう性を高めるため、“当選者”の投稿をRTする人もいますが、APIというシステムを使って当選者の情報を調べてみると、そもそも応募を行っていない、ということも多々あります。
こういった投稿が大量のRTを呼ぶのは、前ZOZO社長の前澤友作氏がこの手の企画を行った実績があることと、RTとフォローだけでは実害が発生しないからです。
実害は発生していなくとも、こういった投稿をRTすることは、カラクリを知らない人が金銭をだまし取られる手伝いをすることになります。
近年ではSNS上で企業が懸賞を行うことも珍しくありませんが、それらの懸賞は無償の行為に見えて、新製品の宣伝やブランドの露出という見返りが存在しています。
そういった見返りを得るメリットのない個人が行う懸賞には、必ず裏があると疑ってかかり、その行為に加担しない賢さが、SNS時代では必要になるでしょう。
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行動するお金博士
マネー事情に詳しいライターとして本誌でもおなじみのFP。クレジットカードやポイントにも詳しい資金運用のプロフェッショナル。複数の雑誌でマネー連載を抱え、お得な情報の受発信を精力的にこなす。2020年は「LINE Pay」クレジットに注目している。
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(行動するお金博士 山野 祐介)
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