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女子が"おじさんの足の臭い"に興味を持つワケ

プレジデントオンライン / 2020年1月17日 9時15分

仲間でくつろげる「illi Shimokitazawa」。(写真提供=サンフロンティア不動産)

「2020年はコレが来る!」をテーマに、高校生と大学生の計5人がそれぞれ注目しているモノやサービスを紹介。彼らはどこにひかれ、なぜ「流行る」と感じたのでしょうか。若者市場を読み解く鍵を、原田曜平さんが探り出します。

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座談会メンバー
山田 修平くん/法政大学3年生。サッカーサークルに所属。男性
赤峰 沙都さん/法政大学国際高等学校1年生。グルメ情報はSNSから。女性
赤峰 沙枝さん/法政大学1年生。沙都さんの姉。女性
福永 怜生くん/早稲田大学4年生。IT・通信系の流行に注目。男性
丹羽 明日香さん/早稲田大学3年生。趣味はベリーダンス。女性

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■「テラハごっこ」できる宿泊施設が話題に

【原田】今年は、商品以外のもの、例えばサービスや体験、エンターテインメントといった分野では何が流行(はや)るんだろう。どこが魅力で、なぜ流行ると思うのかも教えてくれるかな。

【山田くん】サービスだと、友達の間で話題になっているのは「illi Shimokitazawa(イリーシモキタザワ)」です。下北沢にオープンしたばかりの宿泊施設ですが、ホテルというよりおしゃれな部屋みたいな感じなんです。ただ泊まるだけじゃなくて、グループでホームパーティーをしたり、飲み会の後に皆でまったり過ごしたりできるところがいい。最近は「テラハごっこ」も流行っているので、その会場にもぴったりだと思います。

【原田】恋愛リアリティ番組「テラスハウス」みたいに、男子と女子がおしゃれなシェアハウスで“共同生活ごっこ”をするやつだね。最近は東京を中心に若者の間で広がりつつあるね。下北沢にも独特のカルチャーがあるから、そんな街で仲間と夜を過ごせるのが魅力なのかな。でも、「エアビー」のような民泊とはどう違うんだろう。

【山田くん】「エアビー」は人の家っていうイメージがあるけど、これは人の家でもホテルでもない「友達と過ごすための場所」っていう感覚です。部屋にコーヒーミルやレコードプレーヤーもあるので、仲間とまったりするのにちょうどいいんですよ。

■バズるエンターテインメントのキーワード2つ

【原田】エアビーには民家だけじゃなくてホテル業者も参入しているから、完全に「人の家」ってわけじゃないんだけどね。でも、おしゃれな空間で友達とまったり過ごせるのが新しいというわけか。夜をどう過ごすか考えた時、これからはクラブで遊ぶより、こうした空間でくつろぐほうが主流になるのかもね。

【赤峰沙都さん】イベントだと、私の周りでは「におい展」が話題になりました。カメムシとかおじさんの足のにおいとか香水の素とか、普段はなかなか体験できないにおいを集めた展覧会です。東京でまた開催してくれたらぜひ行きたいです。女子高生に受けると思いますよ。

【原田】女子高生がおじさんの足のにおいをかぎたいなんて意外だなぁ(笑)。いいにおいならともかく、普通は臭いにおいなんてかぎたくないでしょ。どうして惹かれたの?

【赤峰沙都さん】足のにおい、知りたいですよ。友達の中にはにおいフェチの子も結構いるし、そうでない子もこわいものみたさっていう気持ちはあると思うんです。あと、友達と一緒に罰ゲーム感覚で楽しめるところもいいですね。

「におい展」の足のにおいの展示。こわいものみたさでトライしたい女子が多いとか(写真提供=トキ・テック)。

【福永くん】最近、五感に刺激を与えるイベントは人気ですよ。一昨年、東京で開催された「ブラックボックス展」も、僕の周りではすごく話題になりました。

【赤峰沙枝さん】デザイン教育番組「デザインあ」を体感できる「デザインあ展」も人気で、私の周りでもすごくたくさんの子が行っていました。

【原田】皆が惹かれるキーワードは「五感」みたいだね。こんなにさまざまな商品があふれていても、まだ知らないものを体験したい、感じたいと思っている若者は意外に多いということなのかな。

■非オタクにも人気の末吉9太郎って?

末吉9太郎さん。5人組ボーイズグループCUBERSに所属。19年5月につんく♂作詞・作曲でキングレコードよりメジャーデビュー。SNSで「オタクあるある動画」が話題に。再生2億回突破。(写真提供=つばさプラス)

【赤峰沙枝さん】あと「共感」も大事なキーワードかも。私は、今年は末吉9太郎くんが来ると思っています。ボーイズユニット「CUBERS(キューバーズ)」の一員で、彼自身がすごいアイドルオタクなんですよ。彼が作った「アイドルオタクあるある」動画は、最初にオタクの間でバズって、今では非オタクの間でも話題になっています。

【原田】少し前だと、柳原可奈子さんのネタ「あるある女子」なども若い子の共感を呼んで受けていたね。それが今はもっと細分化してきていて、その一つがアイドルオタクということなんだね。狭い範囲で共感を呼ぶ「ピンポイント共感」が成功して、ファン層が広がっていった好例と言えそうだな。

【赤峰沙枝さん】オタクの人って、共感したがるところがあると思うんですよ。一般の人にはあまりわからない、自分たちだけの世界観を表現してくれるのが末吉9太郎くんだったんじゃないかな。非オタクの人にとっても、自分とは違う世界観や新感覚が味わえるところが楽しい。今年はネットだけじゃなくて、地上波にも進出すると予想しています。

■安くて便利だけではヒットしない

【福永くん】僕はスマホ決済アプリの「Kyash(キャッシュ)」が来ると思います。バーチャルカードとリアルカードの2つが使えて、クレジットカードからチャージできるのでポイントの2重取りが可能。周りでは、特に女子に利用する人が増えています。

「Kyash(キャッシュ)」が来ると予想する福永くん。
スマホ決済アプリ「Kyash(キャッシュ)」の画面(写真提供=株式会社Kyash)。

【原田】本来は、スマホ決済に移行しきれていない大人をターゲットにしたサービスのように思うけどね。ポイントの2重取りは主婦に刺さりそうだけど、大学生の間でも人気なんだね。それにしても、イマドキの大学生はクレジットカードも使うの? カードを使うのはもう少し上の世代かと思っていたよ。

【福永くん】スマホ決済はセキュリティー面で不安だっていう若者は、意外と多いですよ。だからクレジットカードを使うわけですが、決済金額やポイントなどのデータ確認にはスマホ決済が便利だから、どっちも捨てきれないジレンマがあったんだと思うんです。Kyashはそのジレンマを解消してくれるところが魅力ですね。

【原田】なるほど。ポイントのお得感に加えて、安心感と利便性を両立させた点も魅力になっているわけだ。確かに、ジレンマ解消というのはヒットするうえで大事な要素になりそうだね。

■人間関係の“疲れ解消アプリ”登場

【丹羽さん】私が流行ると思っている「Tossup(トスアップ)」も、その一つかもしれないです。これは、友達を誘う時のジレンマを解消してくれる“お誘いアプリ”。飲みに誘ったり断ったりする時、LINEだと文章を考えるのが面倒じゃないですか。そっけないと思われたくないから、前文とか言い訳とかいろいろ考えなきゃいけない。これだと、そんな面倒な会話を全部スキップできるんです。

【原田】イマドキの若者は人間関係が細分化していて、かつ広くなっているからね。誘い疲れ&断り疲れをなくしたいというニーズはよくわかるよ。そこに着目したアプリが出たというのは興味深いな。

【丹羽さん】誘う時は「飲みませんか」の一言程度で済むし、断る時も参加、不参加から参加希望の却下まで、ワンタップでできちゃいます。会話始めも不参加の意思表明も、「私のこの簡素な対応は機械のせいなんです」という感じになるから気楽ですね。そもそも誘いを断るってすごくハードルが高いので、行きたくないのにOKしちゃう人も多いんですよ。

いつまでも盛り上がる5人

【原田】人間関係は壊したくない、でも会話に気を使うのは面倒──。トスアップは、若者によくあるジレンマを機械が解消してくれるわけだね。これは大学生はもちろん、社会人にも受けそうだな。人間関係におけるニーズをうまく捉えた商品と言えそうだね。

イマドキの若者たちは、友達とまったり過ごす空間や新体験・新感覚を与えてくれるものに魅力を感じているようです。近年は冷めた若者が増えていると言われていますが、仲間と過ごしたいという所属意識や、新しいもの・面白いものへの好奇心はまだまだ旺盛なのではないでしょうか。その一方、セキュリティーや人間関係に対しては慎重で、それに伴う不便さや面倒くささを解消してくれるものを求めている。2020年、若者をターゲットとしたモノやサービスには、こうしたニーズに応える工夫が必要になってくると思います。

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原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。

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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 構成=辻村 洋子)

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