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近視矯正レーシックに代わる手術「眼内コンタクト」とは

プレジデントオンライン / 2020年2月6日 11時15分

■10年で大きく変わった目の治療法

目の病気で、この10年間で一番大きく治療法が変わったのは、滲出型加齢黄斑変性でしょう。高齢者に多い疾患で、ものが歪んで見えたり、視野の中心が黒ずんだり、かすんだりし、放置すると発症から1年ほどで視力を失ってしまうこともある難病です。

日本ではここ10~20年で症例が増加しており、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症に続き、失明原因の第4位となっています。

滲出型の加齢性黄斑変性症は、手術で原因となる新生血管を取り除いても予後が悪く、かつては不治の病と見られていました。しかし10年ほど前から、抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬を目の中に注射することで、新生血管を退縮させ、網膜の変形を回復させる治療法が登場しました。

注射ははじめは月に1本、3カ月後からは定期的な診察を続けながら状態に応じて注射を追加する方法でよく、患者さんは軽くチクッとする程度です。この治療法で多くの患者さんが失明を免れるようになりました。

■角膜を切開して眼内レンズを挿入するICL手術

加齢に伴う病気で代表的な白内障の治療にも変化が起きています。白内障は一種の老化現象で、70~80代になると誰にでも症状が出てきます。治療は手術を行い、濁ってしまった水晶体を取り除きます。かつては水晶体の代わりに入れるレンズがなかったため、手術で視野は明るくなっても、ピントは合わないままでした。その後人工のレンズが開発されましたが、水晶体と違って伸縮できないため、一般的な単焦点眼内レンズは一定の距離にしか焦点が合いません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Nastasic)

ただ、10年ほど前からは、近くも遠くも比較的バランスよく見える遠近両用の多焦点レンズが使われるようになっています。単焦点レンズの場合は保険が適用され、3割負担の場合、片目で4万~5万円。多焦点レンズの場合は保険が適用されないため、片目で40万~50万円程度の費用が必要になります。

若い人の治療で変化が起こっているのは近視の矯正です。手術による近視の矯正は、かつては角膜をレーザーで削るレーシック手術が主流でしたが、ここ数年は角膜を切開して眼内レンズを挿入するICL(眼内コンタクトレンズ:Implantable Contact Lens)手術が普及してきました。

■保険が利かないので、両眼で40万~50万円程度の費用

ICLはレーシックに比べ、強度の近視でも対応でき、視力が安定するなどレーシックよりも術後の問題が起きにくいのが特徴です。また、一旦入れたレンズを取り出したり変更したりできる点もレーシックにはないメリットです。ただ保険が利かないので、両眼で40万~50万円程度の費用がかかります。

目の病気はいずれも早期発見、早期治療が大事です。ただ人間は普段、両目で見ているので、どちらか片方の目に問題が起きても異常に気がつきにくいという問題があります。50歳を超えたら、毎年の健康診断に眼底検査を取り入れるなどして、早期の発見に努めましょう。

視野に異常を感じたら、眼科を受診するほか、医師へのチャットやテレビ電話による医療相談サービスなどを使って相談することもおすすめします。

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眞鍋 歩 1984年、東京都生まれ。日本大学医学部卒。現在は臨床医として働きながら、Mediplatが運営するオンライン医療相談サービス「first call」の企画やサービス開発に携わっている。

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(眞鍋 歩 構成=久保田正志 写真=iStock.com)

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