「女性とカネ」進次郎はどこまで自分に甘いのか
プレジデントオンライン / 2020年1月21日 15時15分
■小泉進次郎にあるのは「性事力」だ
小泉進次郎に政治力はない、あるのは性事力。それも抜きん出ている。
さすがに60年以上の歴史を持つ出版社系週刊誌の草分け、週刊新潮(1/23号)だけにうまいことをいう。
新潮によれば、初代の内閣総理大臣だった伊藤博文は、花街で「ほうき」と渾名されたという。
掃いて捨てるほど女性がいたからだが、昔から「英雄色を好む」といわれ、「女と遊ぶのは男の甲斐性、上半身と下半身は人格が別だ」と、スキャンダルを追及するマスコミにいい放った政治家が何人もいた。
そうした名高い性豪政治家たちに、弱冠38歳で並ぶと評されるのだから、さすが進次郎は大物だと感心せざるを得ない。
奔流のように彼の女性関係が流出したのは、タレントの滝川クリステルとの“できちゃった婚”を発表し、その後、環境大臣に抜擢された頃からである。
それまでは、「自民党の人寄せパンダ」という声は一部にあったものの、巧みな弁舌や見場の良さ、小泉純一郎元首相の息子という毛並みもあって、アンケートをとれば常にポスト安倍の第一候補に挙げられていた。
さらに、希にではあるが、安倍首相の政策や自身のスキャンダルを説明しない姿勢について批判したり、総裁選では反安倍の急先鋒である石破茂を支持して、反骨精神も幾何かは持ち合わせていることをアピールした。
その進次郎が、結婚を機に、あっという間に清廉な貴公子から、スキャンダルまみれの“堕ちた偶像”になってしまった。
■文春が「政治資金で『不倫ホテル代』」と報道
これまでも女性の噂がなかったわけではない。2015年4月にはフライデーが、メイクアップアーティストとの交際を報じた。その彼女の知人によると、
「彫の深い顔立ちで華やかな雰囲気のクォーター美女です。(中略)進次郎さんとは何回か関係を持っただけで、深い付き合いにはならなかったみたい」(新潮1/23号より)
続いて、週刊文春が同じ年の8月、元復興庁の女性職員と「ホテルで密会」していたと報じた。
文春はそれ以外にも、合コンで知り合った女子アナたちとも付きあい、その中には、進次郎と結婚したいと真剣に考えた女性もいたと報じている。
そして彼の評価を決定的にしたのは週刊文春(1/2・9号)が報じた「進次郎、政治資金で『不倫ホテル代』、幽霊企業に“ポスター代”4千万円の怪」というスクープだった。
文春は、独身時代の進次郎は、女性と泊まったホテル代まで政治資金で払っていたと報じたのだ。これが事実なら政治家失格である。
文春が進次郎の政治資金収支報告書を精査すると、2010年からの9年間で、都内でのホテル代として約180万円を計上していたという。
その中には、文春(2015年8/13・20日号)が詳しく報じた、元復興庁職員の女性と密会した「
■激怒した交際相手の夫がリークしていた
動かぬ証拠を握ったと文春は書く。一枚の領収書(特集の中に写真がある)にこうある。
「泉進会様 ¥105842 2015.6/27~6/28 宿泊代 7/30振込確認済」
支出先は軽井沢プリンスホテル。文春によれば、この日の夕方、進次郎は軽井沢で「G1新世代リーダー・サミット」に出席している。ここには件のA子も参加していた。
A子が先に出てホテルの自室へ向かい、午後10時半頃に進次郎も同じホテルの別棟(一泊10万円)に向かった。しばらくしてA子が自分の部屋から出て彼の部屋に入り、彼女が出てきたのは午前2時を回った頃だったという。
文春はA子を直撃したが、「お話しできません」というばかり。だが文春は、進次郎がA子に宛てたメッセージを入手していた。そこには「ナイトセッション終わったらプリンスに戻るけど、A子は?」、さらに2人は1週間前から「来週が楽しみだね」「待ちきれない~!」と送り合っていたというのだ。
このやりとりを見たのは、文春ではA子の友人となっている。だが、新潮(1/23号)は、このことを文春に流したのはA子の夫だったと報じている。
夫の知人はこう語っている。
「彼女と進次郎さんとの不倫関係に気づいた旦那さんが激怒して、周囲に相談を持ちかけていた。それどころか、彼女の携帯を盗み見て、進次郎さんと奥さんが会う日取りが分かると、その都度、文春に流していたのです。
文春はその情報をもとに、ふたりの姿を写真に収めるため記者やカメラマンを現地に派遣していたと聞いています」
■“電撃婚”発表後、SNSに「おめでとうございます」と投稿
しかし、幸か不幸か、A子と不倫を続けると同時に、復興庁の元部下の女性ともホテルで密会していたのだが、それを文春に報じられたため、進次郎もさすがに懲りたと見えて火遊びを自粛してしまったという。そのため、A子とのツーショットは撮影されなかったが、
「(A子と夫は=筆者注)その後も不倫騒動で生じた溝が埋まることはなく、結果的に夫婦は離婚してしまいました」(先の知人)
A子の家庭が崩壊し、離婚したことを知ると進次郎は、彼女から離れていったそうだ。
A子はそんな“不実”な進次郎の結婚を、どんな思いで見ているのだろう。その上A子は、滝クリとも親しかったそうだ。
進次郎が“電撃婚”を発表すると、数日後に、A子はSNSに「大好きなクリステルさん。おめでとうございます」と祝福のメッセージを書き込んだというのである。
このメッセージを文面通り受け取ることはできない。自分を捨てて自分の友人と結婚した進次郎への愛憎が複雑に錯綜していると読むのは、私の穿(うが)ち過ぎだろうか。
テネシーワルツを踊っていたら、古い男友達に会った。友人に紹介したら、彼を盗まれてしまったとパティ・ペイジ(日本では江利チエミ)が歌って600万枚という大ベストセラーになった『テネシーワルツ』
■強引には迫らず、結婚を望むタイプは遠ざける
新潮は別の女性とのケースを報じている。ある自民党関係者が、こう話している。
「ある自民党代議士の女性秘書が会合で進次郎さんに挨拶をして、名刺を渡したそうなんです」
その後、名刺に記載されていた携帯番号に進次郎から連絡があったという。驚いた彼女に進次郎は、食事やデートという前置きはなく、いきなり宿舎に来ないかと誘ったそうだ。
あの進次郎から直接口説かれたら、女性は嫌といえないのだろう。だが、宿舎での密会は一度だけで、それ以降は音沙汰なしだという。
滝クリとの結婚会見で進次郎は、「一度もふたりで外に出たことはないし、どこかに一緒に移動するとか、そういったこともありません」と語っていたが、それほどまでに女性と一緒の写真を撮られないよう細心の注意を払
さらに、女性と会っても強引には迫らず、相手が少しでも躊躇(ちゅうちょ)する素振りを見せるとさっと身を引く。結婚を望むようなタイプは遠ざける。
「だから、夫子のいる女性実業家が本気になって離婚を口にし始めた時はさぞ慌てたことでしょう」(自民党関係者)
■「大人の俳優」に見合う振舞いができていない
新潮は、それでも女性たちが自ら口を割らず、告発もしなかったのは、「やはり進次郎氏の、女性を見極める“性事力”とトラブルを未然に防ぐ“対応力”は際立っている」と褒め、「多くの女性を相手に寝技で“成果”を上げながら決定的な言質は取らせず、修羅場にはならない。こうして清新なイメージを保ち続けた超絶の“リスク管理能力”は政治の舞台でも大いに力を発揮するのではなかろうか」と褒め殺す。
私にいわせれば、このやり方は、ジャニーズ事務所のアイドルタレントと何ら変わるところがないと思う。
彼にとって女性は、手を叩けばはらはらと舞い落ちる木の葉のようなものかもしれない。女性蔑視とまではいわないが、女性を軽く見ているといわれても致し方ないだろう。これからは女性票が離れていくのではないか。
新潮で政治アナリストの伊藤惇夫がいうように、これまでの進次郎は周囲からちやほやされる「天才子役」だった。ようやく結婚して大臣になり、「大人の俳優」の仲間入りをしたのに、外交や安全保障といった国家的なテーマには口を濁してきたため、それに見合う振る舞いができていない。
昔から、名子役は大成しないといわれるが、進次郎も同じではないのか。しかも、女性とのホテル代まで政治資金で払うというのでは、進次郎の男が廃る。
■業務の実態がない幽霊会社に「約510万円」の謎
文春の記事通りなら、見かけによらず進次郎はカネに細かい人間のようだ。
自分の選挙区に貼るポスターや、名刺、ビラの作成などの印刷代にも、不可解な点があると文春が指摘している。
印刷しているのは千葉県野田市にある「エムズクリエ」という業者。17年の衆院選では約510万円もここに支払っていて、12年から18年までの合計で約4300万円にもなるそうだ。選挙の際のビラやポスターなどの費用は一定額まで公費(税金)で負担される。
なぜ、地元・神奈川県の業者ではないのか? 住所を辿っていくと、長年小泉家の印刷を請け負っていた印刷会社を辞めた元営業マンの家に行き着くが、そこには社名も印刷所もないというのだ。
その営業マンが印刷所に勤めているとき、進次郎に可愛がられていたという。彼は進次郎の事務所からの注文を受けると、知り合いの印刷所に丸投げし、相場より高い請求をするそうだ。そんな「幽霊会社」になぜ? という疑問が湧く。
元営業マンがいた印刷会社社長は、「小泉事務所からの受注額のうち何割かをキックバックしている可能性もあります」と話している。件の「エムズクリエ」から丸投げされている下請け会社社長も、元営業マンから仕事をもらっていることを認め、「これはエムズクリエ社に」「こっちは小泉事務所に」と二種類の請求書を書かされていると語っている。
■他人には厳しく自分には徹底的に甘い
上脇博之神戸学院大教授が、異常に高額な税金が登記もされていない幽霊会社に流れているのは、政治資金の適切な使い方ではない、キックバックなどの疑いを持たれても仕方ないから、きちんと説明責任を果たすべきだと指摘している。
しかし、進次郎は12月27日の記者会見で、独身時代に既婚女性とホテルに宿泊したと報じた文春の記事について、「個人の事柄についてお話しすることはない」と説明責任を果たさなかった。
また、ホテル代が政治資金で支払われたのではないかという指摘に対して、「事務所にも確認し、法令にのっとって適正に処理していると認識している」と述べただけだった。
森友学園問題で安倍首相の説明責任が問われていた時、当時、自民党筆頭副幹事長だった進次郎は、「平成政治史に残る大事件」とコメントして、首相の説明責任について厳しく言及していたのに。
他人には厳しく自分には徹底的に甘くというのが、永田町のセンセイ方の通り相場だが、進次郎も同様ではないか。
■父・純一郎とて評価されるべき首相ではなかった
省みれば、進次郎の父親・小泉純一郎とて、それほど評価されるべき首相ではなかった。
首相在任中、小泉は靖国神社に参拝して、「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳し、中国の反発を招いた。竹中平蔵を内閣府特命担当大臣に起用して、構造改革を進めるといいながら、企業の求めに応じて労働者派遣法を改正して、製造業にまで広げた。そのために人材派遣会社は急成長し、非正規労働者を急増させてしまったのである。
現在の超格差社会の基をつくったのは小泉と竹中である。その竹中は、彼らのおかげで大手人材派遣企業になった「パソナ」の会長に収まっているのだから、呆れるというより怒りが湧いてくる。
純一郎は国会で答弁に窮すると、「人生いろいろ」、「
9・11後、ブッシュが「イラクに大量の破壊兵器がある」という嘘をつき、イラクに派兵するとぶち上げた時、小泉は真偽を確かめもせず、ためらうことなくブッシュに賛成した。
だが、その後、大量兵器などなかったことが判明し、ブッシュでさえも謝ったのに、小泉純一郎のほうは、間違っていたと謝罪したとは聞いていない。
■政治家として耐えられない軽さが父子に付き纏(まと)っている
小泉純一郎は、元妻に対しても冷たい人間だった。離婚してから、小泉の母親が亡くなったとき、元妻と彼女が引き取った三番目の子どもが葬儀に来て、手を合わせたいと頼んだのに断った。三男が父親に会いたいと何度か訪ねて来たのに、
純一郎の祖父で進次郎の曽祖父である小泉又次郎は、横須賀市長、逓信大臣、衆議院副議長などを歴任し、義侠心のある大衆政治家として人気があったというが、入れ墨があったことから「いれずみ大臣」「いれずみの又さん」などの異名をとったという。
純一郎のいい方にどこか縁日の香具師のようなニオイがするのは、又次郎から受け継いだものなのであろうか。
純一郎は、議員を辞めてから、原発反対を声高に訴えているが、首相当時、原発立国を推進したのは彼だったではないか。「過ちては改むるに憚ることなかれ」といい逃れしているが、はっきり首相時代の過ちについて総括してから、反原発をいうべきではないのか。こうした政治家として耐えられない軽さが、小泉父子には付き纏っている。
滝クリとの結婚発表を官邸でやり、顰蹙(ひんしゅく)を買ったが、1月17日に第一子が生まれたときも、官邸で発表した。
官邸でやれば箔が付くと考え違いしているのではないか。
進次郎がこれまで隠してきた女好き、権力好き、大臣の椅子が大好きという陰の部分が、結婚、大臣拝命で全て明らかになってしまった。
環境大臣になってからも、「福島の人たちに寄り添う」とはいうが、具体的な救援策や原発廃炉については口を閉ざしたままで、福島の人たちをガッカリさせている。
■閣僚初の「育休をとった」という冠が欲しいだけ
さらに、世界的な喫緊の重要課題である地球温暖化について協議するCOP25に参加しても、進次郎は温室効果ガスの排出源となっている石炭火力発電の抑制策を示すことができず、NGOなどから批判を受けた。
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(16)も参加し、温暖化の危機を認識して取り組むよう訴えたが、議論は交わされても実効的な対策が打ち出されていないことに、「一番大きな危険は、政治家たちが実際にほとんど何もしていないのに、行動が起こされていると見せ掛けていることだ」と痛烈に批判した。
安倍首相も何かをやっているふりをするのはうまいが、進次郎も五十歩百歩である。進次郎は、この少女に恥ずかしくないのだろうか。
子どもが生まれて進次郎は、育児休暇を取るといった。だが、3カ月の間に2週間、それも、閣議などは休まず、仕事もテレワークでやるという。
そんなみみっちい取り方をせず、6
最後にこれだけはいっておきたい。悪口を書き連ねてきたのも、小泉進次郎という政治家にまだ、幾分かは期待しているからである。今こそ小泉進次郎にこういおう。「Show the flag!」。自らの旗幟を鮮明にするべきだと。(文中敬称略)
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ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)などがある。
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(ジャーナリスト 元木 昌彦)
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