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少額の「ほったらかし投資」に勝る投資はない

プレジデントオンライン / 2020年2月9日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JGalione

■少額でお金を殖やす感覚を養う

人生100年時代に、老後資金として必要なのは夫婦で2000万円――。そんな金融庁の試算を待つまでもなく、先行きに不安を抱く日本人は多い。そして、国も国民に資産形成を促す時代になった。

「低金利の時代、貯蓄だけでは限度があり、節約ばかりしていると生活がむなしい。一般人も怖がらずに投資をしてみるべきです」

そう語る家計再生コンサルタントの横山光昭氏が、入り口として推奨するのが少額投資だ。月に2000~3000円、飲み会やコンビニ散財で気がつくと消えている額を投資に回してみると、莫大なリターンを得ることはなくても、「お金を殖やす」感覚が身についてくるという。

「投資はギャンブルではありません。初心者が何もわからない状態で、大金をつぎ込むのは、ただのお金を粗末にする行為です。まずはローリスク・ローリターンの投資に少額を投じて、そこで感覚を養ってから次のステップに進めばいい」(横山氏)

横山氏は最初に買うべき金融商品として、投資家から集めたお金をプロのファンドマネジャーが運用する「投資信託」を推奨する。その大きな理由は、手間暇がかからないこと。初心者が個別株で儲けるのは難しいし、動向に一喜一憂するのは精神的にも負担がかかる。それよりプロに任せて一定期間はほったらかしにし、投資に費やす時間を仕事や趣味に回したほうが有意義だという考えだ。

「投資信託の中でも、複数の株式や債券などをバランスよくパッケージして詰め合わせてくれる『バランス型投資信託』は初心者向け。もう一歩踏み込んだ投資をしたいのであれば、市場の指標や指数に連動する投資信託の『インデックスファンド』がお勧めです」(横山氏)

これから投資を始めるのであれば、手数料が安く、商品が豊富なネット証券に口座を開設することを横山氏は推奨。インデックスファンドには手数料がかからない「ノーロード」という商品もある。また、投資信託には管理・運用にかかる手数料「信託報酬」が別途かかるので、なるべく低いものを探すとよい。

そして少額投資をするのなら、購入は毎月の積み立てを選びたい。バランス型投資信託やインデックスファンドを一括購入する場合、1万円前後かかる商品が多いのに対し、積み立てであれば100~1000円でも可能。また、価格が変わる金融商品を一定額ずつ分けて購入するのは「ドル・コスト平均法」と呼ばれ(表)、購入タイミングを迷うことなく、高値づかみするリスクの軽減効果も期待できる。

「気をつけたいのは、短期の市場変動に影響されて売り買いを繰り返さないことです。投資は貯蓄の進化系と捉えるべきで、長く熟成させてこそリターンを得られます。仮に世界恐慌や株価暴落が起きても、長い目で見れば経済は持ち直すケースが多い。あわてず堅実に育てていきましょう」(横山氏)

■ほったらかしでも着実に稼ぐ

投資ブロガーとして活躍するタクスズキ氏も「少額のほったらかし投資」派だ。「投資していることすら忘れる投資で、リターンを細かく稼ぐのが一番。着実に資産は殖えています」という。

スズキ氏は、超少額投資ともいえる「ポイント投資」「おつり投資」などを幅広く運用。カードポイントやおつりなど、「本来あってないようなもの」を投資に回せるサービスであるため、もし失っても生活に大きなダメージを与えない。

「たとえばPayPayとヤフーカードを連携させると、買い物した額に1%のTポイントがつくので、僕はそのポイントを投資に回すようにしています。また注目してほしいのが、証券会社に口座を開設したり投資信託を保有したりした際、提携のポイントが付与されるキャンペーンやサービスです。保有残高に1%のポイントがつくのであれば、実質的に1%のリターンがあるということ。低金利時代ではバカにできません」

スズキ氏が投資で主に活用するのは、スマホアプリだ。様々な金融商品のサービスでアプリを提供しており、近年、使い勝手も向上した。

「アプリはどれぐらい投資し、どれぐらいお金が殖えているか、資産管理が一目でわかるものが多い。いくつかの質問に回答すると、どんなタイプの投資が最適かを教えてくれる診断アプリもあります。初心者は楽しみながらできるのでは」(スズキ氏)

横山氏によれば、「たとえ少額の投資でも、『このお金があれば投資に回せる』という意識が生まれ、浪費体質の改善につながることが多いんです」とも。お金への意識を変えるかもしれない、少額投資。どのような商品があるのか、紹介しよう。

■小さく始めて大きく資産を形成! お勧めの少額投資

①ポイント投資
ポイントをためて不動産投資も
日常生活でたまるポイントを投資に回せる。「ポイントをそのまま運用する」タイプと、「ポイントを現金化し投資信託など金融商品と交換する」タイプの2種類があり、前者は疑似投資体験であり、証券口座開設も不要で手数料もかからない。クレディセゾンの「永久不滅ポイント運用サービス」や、NTTドコモの「dポイント投資」などがある。

現金化するタイプであるSBIネオモバイル証券「ネオモバ」では、Tポイントカード1ポイントを1円に換算。100円から投資信託が購入できる。楽天証券では、楽天ポイントでETF(上場投資信託)も選べるのが特徴。ポイントで不動産投資ができるともいえる。

「ほかにも、インヴァスト証券が運用しているクレジットカードで買い物をすると、還元されるポイントが自動的に投資に回る『マネーハッチ』、ビットコインなどの仮想通貨にも変換可能なマネックス証券の『マネックスポイント』などもあります」(スズキ氏)。


②バランス型投資信託
リスク分散もできる「幕の内弁当」
国内外の債券や株式など、異なる市場銘柄がバランスよく組み合わされた幕の内弁当のような商品。複雑な知識が不要なため、初心者向けだ。別々の値動きをする銘柄がセットなのでリスク分散も可能。当初設定した配分が市場変化や運用過程でバランスを欠いてきた際は、リバランスしてくれるのも心強い。証券会社によっては100円からでも購入できる。ただし、全体的に手数料は高めだ。

「『世界経済インデックスファンド』、株式や債券のほか、不動産投資信託(REIT)も含まれる「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」などがお勧めです」(横山氏)。


③おつり投資
買い物の端数でコツコツと投資
クレジットカードや電子マネーで買い物をした際、おつりを自動的に投資に回せるサービス。「100円」「500円」「1000円」など金額は自分の好みで設定でき、たとえば「500円」設定なら、350円の買い物の端数である150円分が投資に回される仕組みだ。

「『トラノコ』はリスク許容度に応じて投資対象を3つのファンドから選ぶなど、わかりやすさが支持されています。運営手数料や月額利用料がかかりますが、初心者は授業料として考えてもよいでしょう。『マメタス』はおつりをロボットアドバイザーが資産運用してくれます」(スズキ氏)。


④インデックスファンド
市場価格と連動自分で配分決定も
「バランス型投資信託」より手数料が安く、より自分で配分を考えて投資したい人向け。市場価格の動きと連動しているので手間がかからず、リスクも少ない。

一般的には「国内株式」「海外株式」「国内債券」「海外債券」などの比率を25%ずつにするのがバランスがよいとされているが、「最初は株式だけ購入して、現状であれば海外株式の割合を高めにしてもよいかもしれません」(横山氏)というように、個々の判断で工夫をこらせる。

横山氏が注目するのは、世界最強の運用会社と呼ばれるバンガード社と楽天投信投資顧問の提携によって2017年に発売がスタートした「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」。全世界の株式のみで構成された指標に連動する投資成果を目指しているため、「信頼性が高くて、現時点ではベスト」(横山氏)と太鼓判を押す。


⑤ロボットアドバイザー
質問に答えると資産運用を実行!
ロボットアドバイザーは、コンピューターのアルゴリズムに基づき、全自動で資産投資を行ってくれるサービス。年齢や年収、貯蓄額やリスク許容度など、いくつかの質問に答えていくことで、その人にあった資産運用を提案・実行してくれる。また、市場の変化に対して資産分配を調整するリバランスも行ってくれる。

LINEが提供する「LINEワンコイン投資」は、低リスク志向で海外上場投資信託(ETF)に分散投資。週1回500円から投資可能で、500円玉貯金の進化版と捉えることもできる。

「投資額の2~0.5%がLINEポイントとして還元されるだけでなく、さらに2020年4月までは運用にかかわる手数料が無料。要注目です」(スズキ氏)。


⑥少額FX
試してみたいなら4円からスタート
最近は少額で試せるFXも登場。最小取引が1000通貨単位が多い中で、「SBIFXトレード」は1通貨単位だ。米ドル/円では、約4円(1ドル100円の場合)の証拠金で口座取引ができる。

「FXでは買った通貨の金利から売った通貨の金利を引いたスワップポイントが日々発生します。それを目当てに保有するという方法も」(スズキ氏)。


⑦ソーシャルレンディング
事業者が淘汰され手堅いサービス増加
「お金を借りたい会社」と「お金を貸して運用したい人」のマッチングサービス。融資型クラウドファンディングとも呼ばれる。

「サービス自体は10年ほど前から存在していましたが、10%以上の高い利回りを喧伝する事業者が淘汰され、行政の審査もきびしくなった結果、最近は手堅いサービスのみ残った印象です」(スズキ氏)

スズキ氏が注目するのが、1円単位で投資ができる「Funds(ファンズ)」。最近では大阪王将の会計が10%割引になるなど、優待券付きファンドでも人気を集めている。なおソーシャルレンディングは1度投資を行うと、満期を迎えるまで資金を引き出せない。期間が長い場合は、市況が悪化するリスクも考えたほうがよい。


⑧1株購入
株主優待や配当で楽しさを実感
株式は基本的に100株を1単元として売買される。だが証券会社が単元株を購入し、1株単位に小分けする「単元未満株制度」を利用すれば、少額投資が可能だ。大手企業でも数百円から買える銘柄もある。ただしSBI証券、マネックス証券など、扱う証券会社は少なく、一日に売買できる回数も限られている。

「大きなリターンは期待できませんが、1株から株主優待をもらえる銘柄もあり、配当をもらう楽しさも実感できます」(スズキ氏)。


⑨純金積立
無価値にはならない「実物資産」
貨幣と違ってそのものに価値があり、「安全資産」としてシニア層にも人気がある金。貴金属・地金の販売会社や証券会社で、積み立てによる購入を扱っている。最低積立価格が1000~3000円程度に設定されているところが多く、自分のほしいタイミングで追加できる「スポット購入」も。

買付時にかかる手数料の相場は約2%。売却益のみが利益になるが、2019年の下半期のように相場が値上がりした場合は、リターンが期待できる。

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横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント
マイエフピー代表取締役。これまで2万3000件以上の家計の相談にのってきた。
 

タクスズキ
1989年生まれ。会社員を経て、2014年からプロブロガーとして活動。「インターネットを利用して収入を得る方法」を発信する。
 

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三浦 愛美(みうら・まなみ)
フリーランスライター
1977年、埼玉県生まれ。武蔵大学大学院人文科学研究科欧米文化専攻修士課程修了。構成を手がけた本に『まっくらな中での対話』(茂木健一郎ほか著)などがある。

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(フリーランスライター 三浦 愛美)

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