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「低金利でも数百万円」3000万住宅ローン返済総額に驚愕

プレジデントオンライン / 2020年2月23日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Aramyan

■固定1%の住宅ローンの返済総額はいくらか?

私ごとで恐縮だが、6年前に家を購入した。一括払いはムリなので、35年のローンを組んだ。超低金利が続く現在、自宅購入を検討しているビジネスパーソンも多いことだろう。たとえば、いま家賃8万円の賃貸マンションに住んでいるとする。3000万円の新築マンションが月々8万円のローン(35年返済)で買えるとすれば、心が動かされるのではないか。

しかし、注意が必要だ。毎月の返済額は8万円でも、35年間払い続けたときの総額は金利分を含むと3000万円よりも多くなる。ところが案外、そうした点を気にしていない人が多いように感じる。そこで今回は、実際にいくらの負担になるのかを数学的に求める。

まず3000万円のマンションを、全額借り入れで購入するとしよう。金利は1%(固定)で、35年のローンを組む。返済方法は毎月の返済額が一定となる「元利均等返済」とする。

住宅ローンの支払総額の計算方法を説明する前に、用語の意味を確認しておこう。住宅ローンで金利と記載されている場合、これは「1年間の金利(年利)」を表している。

たとえば、30万円を銀行の定期預金に預けたとき、1カ月後の受取金利は「300,000×1%=300,000×0.01=3000円」ではなく、「300,000×1%/12=300,000×0.01/12=250円」となる。この年利(1%)を1カ月単位に直した利息(1%/12)を月利という。住宅ローンは月々の返済だから、支払月利をベースに計算する。

■1カ月後の返済残高を計算する

具体的に見ていこう。まず、1カ月後の返済残高を計算する。「(1+月利)×借入額-毎月返済分」だ。(1+月利)をr、借入額をM、毎月返済分をaと置くと、「1カ月後の返済残高=rM-a」と表すことができる。

同様に2カ月後の返済残高を計算すると、「(1+月利)×(1カ月後の返済残高)-毎月返済分」となり、「r(rM-a)-a=r²M-ra-a」(=r²M-a(r+1))と表せる。この式を言葉に置き換えると、「2カ月後の返済残高=(1+月利)²×借入額-(1+月利)×毎月返済分-毎月返済分」となる。

35年ローンは「35×12=420カ月」支払いを続けるので、420カ月後の返済残高を求めるには、この計算を繰り返せばよい。このとき等比数列の和の公式を使って計算すると簡単で早い。具体的には、「420カ月後の返済残高=r⁴²⁰M-a(r⁴¹⁹+r⁴¹⁸+……+r²+r+1)=r⁴²⁰M-a(r⁴²⁰-1)/(r-1)」となる。最後の「a(r⁴²⁰-1)/(r-1)」の部分が等比数列の和の公式を使った計算。

そして、420カ月後の返済残高はゼロになるので、「0=r⁴²⁰M-a(r⁴²⁰-1)/(r-1)」と表せる。さらに毎月返済分のaを求めるために整理すると、「a(r⁴²⁰-1)/(r-1)=r⁴²⁰M」=「a=(r-1)/(r⁴²⁰-1)×r⁴²⁰M=Mr⁴²⁰(r-1)/(r⁴²⁰-1)」となる。

この式を言葉で表したのが、図の毎月返済分の計算式だ。つまり、毎月8万4685円を420カ月(35年)支払うので、総支払額は「3556万7700円」になるというわけだ。なんと550万円以上も多く支払う計算だ。超低金利とはいえ、そんなに利子がかかるのかと驚くのではないだろうか。

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佐々木 淳 海上自衛隊数学教官
1980年、宮城県生まれ。東京理科大学理学部第一部数学科卒業後、東北大学大学院理学研究科数学専攻修了。代々木ゼミナール講師を経て現職。著書に『身近なアレを数学で説明してみる』がある。

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(海上自衛隊数学教官 佐々木 淳 構成=田之上 信)

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