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「2020年に物件価値下落」なぜ湾岸地区、渋谷周辺もヤバいのか

プレジデントオンライン / 2020年3月3日 9時15分

※写真はイメージです(Getty Images=写真)

■東京五輪は不動産市場に影響するか?

2020年は東京五輪が開催されることもあり、不動産市場が変動すると思っている人も多いのではないでしょうか。実はこの2つにはあまり関連性がありません。

この傾向は特に先進国に顕著で、12年のロンドン五輪でも、開催前後で不動産市場に変化はなかったと報告されています。今回も、不動産価格に波及するのは、選手村跡地の晴海などほんの一部の地域だけでしょう。

では、20年の不動産市場はどうなるのか。現在は、アベノミクスを機に始まった「地価の3極化」がさらに進行した状態にあります。上昇を続けているのは都心一等地だけで、少し離れた地域は年々緩やかに下落、それ以外は無価値またはマイナス価値と格差が広がり続けています。

一般的に、地価変動は千代田・中央・港の都心3区と、品川・目黒などの城南エリアから始まり、そこから城西、城北、城東と時計回りに波及していきます。ピークへの到達も下落もこの順番で始まります。

この法則を念頭に置き、次は中古マンション相場に注目します。一戸建てや新築マンションの価格は、デベロッパーの販売戦略に左右される部分が大きいためです。

現在、中古マンションの価格はすでにピークを打ったと見られています。全体的に緩やかな下落傾向にあり、上昇しているのは一等地と都心駅近物件のみ。これは東京五輪後も変わらず、前述のとおり時計回りに郊外へ波及していくと思われます。

このことから、今後相場が急落しにくいのは、どの地域においても「駅近物件」と言えるでしょう。共働き世帯の増加や若年層の車保有率の低下に伴い、立地に利便性を求める人はますます増えています。駅から1分離れるごとに100万円ずつ下がると言われるほどで、今後の売買では「駅近」が大きな鍵になることは間違いありません。

もう1つ、今後の売買には「災害リスク」も大きな影響を与えそうです。19年の豪雨で浸水した地域の多くは、自治体が提供するハザードマップに合致していました。

今、住宅の売買・賃貸時にはこのマップに沿った説明は義務づけられていませんが、これが早ければ20年中に義務化される可能性が高いのです。そうなれば、湾岸地区だけでなく内陸部の低地、例えば渋谷周辺でも資産価値が下がる恐れがあります。

■「国道16号線」郊外住宅問題

さらに、20年は「国道16号線問題」にも注目したいところ。東京郊外のこの地域には、団塊世代が一気に入居したベッドタウンが広がっています。20年以降はますます高齢化し、空き家が多くなることが予想されます。

しかし、駅から遠い一戸建ての価値はゼロに近づきつつあり、今後も上昇する気配は見えません。賃貸でも利益が出るとは考えにくいため、「相続したが住む予定はない」という人は、早めに売ったほうが得策です。

最後に、新築マンションは高止まりが続いているうえ、以前と同じ価格でもグレードが低下しつつあります。選手村跡地に建設予定のマンションは、資産価値は高くてもローン金利が決定するのは3~4年後の引き渡し時。先行きが不透明な現状では、購入はリスクが高いように思います。

このように、20年の住宅売買は「駅近中古マンション」が狙い目。若者の持ち家志向も低下しているため、将来賃貸に出すとしても、駅近マンションなら経営していける可能性が高いでしょう。

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長嶋 修(ながしま・おさむ)
不動産コンサルタント
さくら事務所会長。1967年生まれ。業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」を設立し、現在に至る。著書・メディア出演多数。YouTubeでも情報発信中。

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(不動産コンサルタント 長嶋 修 構成=辻村洋子 写真=Getty Images)

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