1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

通るパワポ資料は「紙に下書き」が9割だ

プレジデントオンライン / 2020年3月2日 11時15分

ルバート代表取締役 松上純一郎氏

■資料作成のゴールは相手を動かすこと

誰でも、クオリティの高い資料を短時間で作りたいと思うものです。私の講習に参加するビジネスマンの多くの方も同じ欲求を抱えています。しかし、どこから手を付けていいかわからないという方がほとんど。そこで今回は、無駄な時間をかけず、クオリティの高い資料を作る方法を5つのポイントでご説明したいと思います。

1つ目のポイントは、資料作成に取り掛かる前に、資料を作る「目的」を明確にすることです。まずは、すぐにパソコンに向かい、パワーポイントを開く習慣をやめましょう。人はつい、「パソコンをさわっている時間=仕事をしている時間」と思ってしまいますが、資料作りの作業そのものが何か価値を生むわけではありません。パワポを開くのは、5分でいいので、ノートなどに下書きを完成させたあとにしましょう。

そもそも資料を読んでもらうということは、会話やメールと同じコミュニケーションの一種。資料を作る目的は、綺麗なグラフを作ることでも、鋭い分析をすることでもなく、「資料を読んだ相手を動かす」ということにほかなりません。最初にしておかなければならないのは、この資料を作ることで、「誰が、誰に、どういうアクションをしてほしいのか」という目的を明確にすること。「内容」に関しては、いったん脇においておきましょう。

■事前に相手とコミュニケーションをとる

目的を定めたうえで、2つ目のポイントは、ターゲットに合わせた内容を大まか考えたうえで、「事前に相手とコミュニケーションをとる」ということです。なぜなら、資料を作ってから上司や同僚と共有する場合、修正が発生したときに膨大な手直しが発生してしまうことになるからです。

たとえば資料作成の最終的な目的が、「部長の承認をもらう」ことだとしましょう。よくあるのは、いきなり分厚い資料を作って部長にドカッと渡してしまうケース。「なんだよ、これ。いま忙しいから読んでいる時間ないよ」と突き返されたら、それこそ資料作成に費やした膨大な時間がすべて無駄になってしまいます。これを防ぐためは、資料の作成に入る前に、「部長、いま私はこういうことを考えているんですけど、どう思います?」と聞いて反応を見る。職場ではもちろん、一緒に飲むとか、部長の好むコミュニケーションスタイルで様子を見ておくといいでしょう。

それから「自分がターゲットからどういうふうに見られているか」についても考慮しておきましょう。たとえば自分は部長から、「アイデアは豊富だが、実行するときに危なっかしいところがある」と思われているとします。それなら自分の強みを生かしてアイデアの斬新さを強調し、実行の方法については「こういう手を打っておきます」など不安材料をカバーしておくとよいでしょう。

3つ目のポイントは、「範囲と時間を決めて情報収集を行う」です。なぜなら「持っていたほうがいい情報」なんて、インターネットの海には無限に転がっているわけですから、どこかで制約をかけておかないとキリがない。ですから情報をインプットするときは、「ここからここまで」とあらかじめ範囲を決めておくことが大事です。

ここまで目的を定め、ターゲットのニーズを知り、情報を集めて、準備ができたところで、ようやく資料の内容の組み立てに入ります。オススメは論理的に説明できる「背景→課題→解決策→効果」という構成です。ここで重要なのは、はじめの目的で検討した、ターゲットの好みを考慮する点。

ターゲットとなる人物が、まず結論ありきで、そこから「なぜならば……」と理由を述べる話し方を好むのか、それとも、「調べたらこういうことがありまして、こういうこともありまして、そうするとこうだと思うんですよね」という時系列の説明のほうが好きなのか。数字も「ざっくりでいいよ」という人もいれば、細かい数字にこだわる人もいます。人間はつい自分を基準にしてしまいがちです。相手に合わせて構成にも変化をつけましょう。

■なぜ箇条書きは頭に入りづらいか

骨組みが固まったらそこに集めた情報を入れ込んでいくわけですが、ここが4つ目のポイント、「内容の根拠となる情報を整理する」です。たとえば骨組みが次のようなものだとしましょう。

「A社はシェアを伸ばしている。弊社はシェアを落としている。なぜなら新商品の発売が遅れているから。早急に新商品を発売してシェアを取り戻さなければならない」

この骨組みを裏付ける情報はすでに集まっていると思いますが、資料に入れるときは情報を整理する必要があります。たとえば「弊社が早急に新製品を発売すべき理由は8つあります」などと言っても、誰も聞いてくれません。余計な情報を削ぎ落とすとか、相手が大事だと思う部分をうまく打ち出して、3~4つくらいに集約しましょう。

ここまで下書きができれば、あとはパワーポイントを使って表現していきます。このとき大事なのが5つ目のポイント、「図解の『型』を活用する」です。なぜ図解にするかといえば、人間は箇条書きの文字を読むより、図を見たほうが直観的に理解できるから。しかしたいていの人が、ここでハタと手が止まってしまう。それはどんな図を描けばいいか、わからないからです。

実は図にはいくつかの基本的な「型」があります。箇条書きにした要素がそれぞれどのような関係でつながっているかによって、ふさわしい「型」を選んでいきます。

“人の心を動かす”6つの図解の見せ方

グラフを入れる際に気をつけたいのは、自分の伝えたいメッセージが明確に言葉になっているかどうか。たとえば各社の売上高を棒グラフで並べるだけでは、正直、何を言いたいかわかりません。そこでA社とB社の差分を示したり、「B社の売り上げは何億円まで迫っている」という説明の一文を入れたりと、自分が言いたいことを強調して伝える必要があります。逆にいえば、その主張がないグラフは何のためにあるのかわかりません。「自分のスタンスを明らかにしたくないから、解釈は見る人に委ねる」という方も多いですが、人を動かす資料を作りたいなら、自分の意見やメッセージを打ち出すことは不可欠です。

----------

松上 純一郎(まつがみ・じゅんいちろう)
ルバート代表取締役
企業向けのコンサルティングに加え、資料の作成法などの研修も行っている。著書に『PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則』(技術評論社)など。

----------

(ルバート代表取締役 松上 純一郎 構成=長山清子 撮影=関口達朗)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください