「人は見た目じゃない」と主張する人はなぜ大損するのか
プレジデントオンライン / 2020年2月19日 11時15分
※本稿は、木暮桂子『印象はしゃべらなくても操作できる』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■見た目を変えるのは簡単で効果的
心の持ちようは顔に表れるといわれることがありますが、私は逆もあるのではないかと思っています。
嫌なことがあったとき、嫌な気分を変えることはなかなかできませんが、無理矢理にでも笑ってみる。そうすることで、意外に心を変えるきっかけになったりする。
同じように、幸せになりなさい、自信をつけなさい、と言われてもなかなかできることではありませんが、まずは行動や見た目を変えてみることは、気持ちを変化させる上で大きな効果を持つと思います。
行動や見た目など、人から見えやすいところを変えていくのは、手っ取り早く取り組めます。周りにも、変化が一目でわかります。周りからの見る目が変わったと感じると、それがまた本人を変えていく。だんだん自信が持てるようになっていったりする。
ファッションを変える。髪型を変える。表情を変える……。たったこれだけで、人間は変われる可能性があるのです。簡単に変えられるわけですから、やってみない手はありません。
■内面の変化はなかなか人には伝わりにくい
人には内面と外面があるわけですが、多くの人が一生懸命に勉強したり、知識を身につけたりして内面を磨こうとしています。それはとても大事で意味のあることですが、実は内面というのは、言葉を尽くしたとしても、そう簡単には人にはわからないのです。
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しかし、外面は誰にでもわかる。外面の変化には、周りは必ず気付くのです。
変化によって自分を理解してもらいやすくなる。興味を持ってもらえる。あらゆる方面から声がかかり、チャンスも拡がる。成果も出るようになるかもしれない。それが評価されて、新たな活躍の揚へと拡がっていくかもしれない……。
同時に内面も充実させていけば、内面が外面にもにじみ出てきます。こうして、いいスパイラルが生まれていきます。しかし、中身だけ磨いていても、こういうスパイラルのきっかけにはなかなかならないのです。だったら、外面から入ってみればいいと思うのです。
内面、中身で結果を出すには時間がかかります。その結果を知ってもらうことにも時間がかかる。しかし、外面を変えることはすぐにできます。自分を変える近道になるということです。
■ラベルがイマイチだとワインも飲んでもらえない
私がこれまで感じてきたことを一言でいえば、「良い中身は、良い外見があってこそ伝わる」ということです。せっかく良い中身があるのに、見た目でまず選んでもらえないと、中身を出すチャンスすらなくなってしまう。
わかりやすい例として、ワインの話をよくしています。例えば、高級ワインのシャトー・ラトゥールは、たとえどんなラベルが貼られていてもシャトー・ラトゥールですから、誰でも安心して飲むことができます。
しかし、そこまで有名ではないワインを買うことになったときは、ブランドだけでは選べない。そうなると、何で購入を判断するか。もちろん金額も含め、ぶどうの品種や生産地も大事になるわけですが、それらがまったく同じ二種類のワインがあったら、どちらを選ぶでしょうか。つくり手は、どちらも聞いたことがありません。
そうなったらもう、「雰囲気」で選ぶでしょう。もっといってしまえば、「見た目」であり、ワインでいえばラベルです。もしかしたらおいしかったのかもしれないけれど、ラベルがイマイチだったら、一生味わってもらえるチャンスすらないかもしれない。
どちらかを選ばないといけないとなったとき、迷ったら、どこで選ぶのか――。それは雰囲気であり、見た目でしかないのです。ここで選んでもらえなかったら、中身を知ってもらう機会は永遠にやってこないということなのです。
■中身を見てもらうために外側を変えていく
ときどき、「あいつは見た目はいいけど、中身がない」などと揶揄の声が聞こえてくることがありますが、私にいわせると、「中身がない」と判断してもらえる機会があるだけマシだと思います。
見た目が良くなければ、中身を判断してもらえる機会すら与えられないかもしれないのです。おかしな装いや振る舞いをしていたら、どんなに中身がすぐれていたとしても、見てもらえるチャンスも得られない。
そして、自分でも知らないうちに、見た目がいろいろなメッセージを発信してしまっていることに気付くこと。ダダ漏れしている危険なメッセージを排除していくこと。そして自在に印象を操作していくこと。それが大事になるのです。
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ビジネスアピアランスコンサルタント/ディグニータ代表取締役
大学卒業後、シンガポール航空に入社し、キャビン・アテンダントとしてシンガポールに駐在。在職中にhigh achiever of compliments(年間を通じてお客さまからの感謝状が多かったクルーに対して授与)のトップ10として表彰される。その後帰国し、グロービスの創業期から現在のグロービス・マネジメント・スクール、グロービス経営大学院の立ち上げに関わり、東京校のスチューデント・オフィスの責任者として戦略立案、マーケティング、営業全般に広く携わる。また法人向け研修としてビジネスアピアランス・スキルトレーニングプログラムを開発、自ら講師を務める。現在はディグニータにて多くの経営者、政治家、コンサルタント等をクライアントに持ち、パーソナルブランディングやスピーチトレーニング、非言語コミュニケーションのコンサルティングを行う。これまでにのべ数万人以上の「ビジネスアピアランス強化」を実施。「見た目」を整えることで「印象が大きく変わった」「評価されることが増えた」という声が多数寄せられている。著書に『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』(ダイヤモンド社)がある。
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(ビジネスアピアランスコンサルタント/ディグニータ代表取締役 木暮 桂子)
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