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なぜ、デキる課長ほど本当に暇なのか

プレジデントオンライン / 2020年3月3日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/THEPALMER

■あれこれ口出ししていませんか?

私は東レの課長時代、社内のエレベーターで同僚に「最近、忙しい?」と尋ねられると、いつも「暇だ」と答えていました。すると、周囲の人までびっくりして私の顔を見るのがおかしかったことを覚えています。

管理職は忙しいのが当たり前、日本の会社では昔もいまも、皆そう思っています。忙しいというのはつまるところ、マネジャーなのにプレーヤーの仕事まで抱え込んでいるからにほかなりません。私は「管理職はプレイングマネジャーになるな」と提唱していますけれど、それは、自分に対しての戒めでもあります。管理職を任される人は、一プレーヤーとしても優秀だったはずです。なまじ仕事ができるものだから、未熟な部下がもたもたしていると、ついあれこれ口を出したくなり、揚げ句の果てに自分でやってしまう。自分で仕事量を増やしているのです。

部長や課長というのは本来、部下とは次元の違う付加価値の高い事案に集中すべきだし、そうでないと組織として成果を出せないからです。実際、東レでは、いつも余裕をもって働いている私の率いる部署が、どこよりも好成績を上げていました。

しかし、それには「おい、これをやっておいてくれ」だけで用が足りる部下を育てる必要があります。部下も、人によって皆、特性やレベルが違います。ここまでは任せていい、ここからは任せてはいけないと、それぞれの力に見合った仕事を適正に振ることが大切です。俺の背中を見て学べとか、仕事をやりながら覚えろではダメ。ちゃんと正しいやり方を教えるのです。

■部下のスキルを上げなければなりません

部下に仕事を任せようと思ったら、部下のスキルを上げなければなりません。特定の人に仕事を偏ってやらせたり、仕事ができる人にきちんと仕事を任せなかったり、できない人に過度な要求をしたりということがないように、きちんと整理する。

タイムマネジメントというのは要するに段取りです。重要なことに時間を割き、そうでない仕事は拙速を旨とする。これができるようになると、その人の生産性は確実に上がります。

「プアなイノベーションより優れたイミテーション」。私はかつて会長から国際会議の挨拶を考えるように命じられた際、過去の議事録を調べて、いいと思った原稿の日時と場所と出席者の名前だけを変更して提出し、たいへんほめられたことがありました。数年前の挨拶なんて誰も覚えていないのですから、まったく問題ないのです。逆に、一から自分の頭で考えていたら、何日もかかったうえにいい文章にはならなかったでしょう。

会社には過去の優れた資料やレポートなどがたくさん残っている。そういうものは遠慮なく利用させてもらえばいいのです。

「仕事は発生したその場で片付ける」。東京から大阪に出張に行ったら、帰りの新幹線で缶ビールを開けたいのをちょっと我慢して、出張レポートを書いてしまう。記憶が鮮明な分、翌日会社でやるよりよっぽど速く正確にまとめられます。会議の議事録も会議中から書き始めて、会議終了後もそこに残って仕上げればあっという間です。

こうして部下が正しい仕事のやり方を身につけてくれれば、もう管理職としての時間まで奪われることはありません。

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佐々木 常夫(ささき・つねお)
佐々木マネージメント・リサーチ代表
1966年東京大学経済学部卒業、東レ入社。2001年、東レ同期トップで取締役。03年より東レ経営研究所社長。10年より佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表。

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(佐々木マネージメント・リサーチ代表 佐々木 常夫 構成=山口雅之)

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