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妻子を捨てて不倫に走った夫が「一転して改心」した納得の理由

プレジデントオンライン / 2020年2月27日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/skynesher

浮気調査の最前線に立つ探偵がいる。総合探偵社MR代表の岡田真弓氏は「依頼の77%は不倫調査です。探偵は毎日思いがけないドラマに遭遇します。ある男性は不倫相手から多額の保険金をかけられていました」という――。

※本稿は、岡田真弓『探偵の現場』(角川新書)の一部を再編集したものです。

■急浮上した「夫の不倫疑惑」

依頼者は女性お笑いタレントに似た、40代のふくよかな人妻・セツコさん。夫と結婚して10年あまり、可愛い子供に恵まれて絵に描いたような幸せな家庭を築くことができ、自分でも良妻賢母と言われるように努めてきたという。

これ以上望むものはもう何もないと思っていた矢先、思いがけず、夫の不倫疑惑が浮上した。夫がお風呂に入っている間に何気なく携帯を見たところ、LINEで女性からのラブラブなメッセージが届いていたのである。

「ホテルのレストランで食事し、部屋で激しく愛し合ってとても満足した……というメッセージが送られていました。私は信じられず、ただただショックで、その夜は気分が悪いと言って、寝込んでしまいました。私は毎日、一円でも節約して家計も切り詰めていて、豪華な食事など夫が連れて行ってくれたこともありません。それなのに夫は……。これまで築き上げた幸せが音を立てて崩れ落ちていきました」

と、セツコさんは目を伏せた。優しい夫と結婚して、子育てにまい進する毎日は、依頼者が憧れてきた理想の家庭像だったのであろう。不倫調査を行うことに、当初、セツコさんは「妻としてふさわしい行動か否か」とかなり躊躇していたという。

■LINEの文面からにおう、不倫相手のヤバさ

しかし、このまま夫の行動を見過ごしていれば、家庭崩壊の危険にさらされるかもしれない。セツコさんは、夫に送られたLINEメッセージをスマホのカメラで撮影していたため、その文面を私も見ることができた。そこには、こちらが恥ずかしくなってしまうほど、赤裸々な表現でなまめかしいやり取りが残されていた。

それを読んだ私は、「この女性は危険ではないか」とピンとくるものがあった。夫の不倫が一時のお遊びならさほど深刻にとらえる必要はないが、相手が悪質な場合は特に早目に処置するに限る。それは探偵社を開業してから数々の案件に接することで、身にしみて感じてきたことだった。

「まずは数日だけでも調査してみましょう」

という提案に、セツコさんも賛同してくれたので、早速、調査を開始することになった。すると、私の予感通り、そこには思いもよらなかった壮絶な展開が待っていた。

■調査に半年、女は結婚・離婚を7回も繰り返していた

夫と不倫相手との接触は、すぐに現場を押さえることができた。相手も妻のセツコさんと同じ40代で、見た目は髪が長くミニスカートでお色気ムンムンという感じだった。不倫相手の女は、夫と一緒にいる時は、やけに甲斐甲斐しく接していた。

その時の映像を撮影することができたが、女の様子からこれは危険な人物ではないかと探偵たちもすぐに感じたという。

不倫相手の女は、一体どんな人物なのか。まずはそこから明らかにしようと、探偵たちが聞き込み調査を行ったところ、なんと結婚・離婚を7回も繰り返していることが判明。しかも、いずれの結婚相手でもない、別の男性との子供がいることも分かった。

その経歴からしても尋常な女ではない。調査を進めていく中で、この女と過去に結婚していた元夫の一人を探し出し、話を聞くことができた。すると、彼もまた散々な目に遭っていたというのだ。

■元夫に直撃、男を籠絡させる「テクニック」

知り合ったきっかけはお見合いサイト。最初のドライブデートの時、いきなり車の中で女性から迫られて体の関係を持ち、天にも昇る気持ちになって言われるがままに結婚したという。それほど夜のテクニックはすさまじく、毎日こんないい気持ちになれるならと結婚したらしいのだ。

しかし、結婚した途端、女は豹変した。一緒に暮らす元夫の母に納屋で暮らすよう命じ、一家のお金はすべて女が牛耳るようになった。日に日に憔悴していく母に、元夫が耐えられなくなり離婚して欲しいと切り出すと、女はヒステリックに暴れまくったという。毎日狂暴で自分勝手な女に振り回され、元夫は精神的に限界まで追い詰められてしまった。

再び恐る恐る離婚を切り出すと、女は待ってましたとばかりに、離婚する条件として5千万円を要求。元夫は先祖代々の土地を売り払い、要求されるまま現金5千万円を女に渡し離婚できたという。

「常識なんか通用しないとんでもない女です。あの女は金だけが目的なんですよ。関わりを持っただけで、私は人生をめちゃくちゃにされました」

私の直感通り、不倫相手の女は、問題だらけの要注意人物だったのだ。

■要注意の不倫相手を擁護する夫

数日の調査で女の悪行を裏付ける証拠を、かなり多数入手することができた。しかも、一般的な不倫でなく、相手はかなりのいわくつきである。

私は、結果報告の際には、依頼者のセツコさんだけでなく夫も呼んで真実をつきつけた方がいいのではないかと提案。セツコさんも賛同し、勇気を出して、「ちょっと、ある人と相談したいことがある」と言ってもらい、夫も一緒にやってくることになった。もちろん、何の相談なのかは詳しく話さずに、子どもの進学のことだとごまかしていたようだった。

しかし、真実を知って夫が目を覚ませばよいのだが、不倫相手の女に完全に入れあげている場合は、何を言っても聞く余地はないであろう。今回は女がかなりの曲者だけに、そのあたりも十分見極める必要があった。弊社へやってきた夫は、探偵社の看板を見て訝しげな表情であったが、ここまでくればこっちのものである。相談室に通し、「実は……」と切り出した。

セツコさんも、すでに腹をくくっているらしく、私の説明に対して堂々と言葉を補足してくれた。私と探偵たちは、夫が付き合っている不倫相手が、驚くべき人物であることを元夫の証言も交え、さらに裏付けとなる客観的証拠も見せて報告していった。

しかし、夫の反応は頑なだった。

■真実と女への未練の間で揺れる夫、最後まで戦う覚悟の妻

「彼女はそんな女じゃない! 何かの間違いだ!」と、夫から出てきた言葉は、不倫相手の擁護だった。元夫の証言についても、頑として信じようとしなかったが、さすがに7回の結婚・離婚はまったく知らされておらず、その証拠を見る手は小刻みに震えていた。

「……すぐには受け止められない。私が直接聞いて、それから妻とのことを話し合いたいと思います。離婚するにしても責任はちゃんととりますから」

夫は実に理性的だった。客観的な証拠から見えてくる確かな真実と、女への断ち切れない未練の狭間で揺れ動く心の葛藤が、その顔にはっきりと浮かんでいた。セツコさんは、夫の態度に動揺していたようだったが、ここまできたら最後まで戦う覚悟も同時に感じられた。

夫は女と直接会って話すというので、隠しマイクを取り付けさせて欲しいと頼んだところ、快くOKしてくれた。事態は、いよいよ最終章を迎えつつあった。その日の内に女に連絡をとり、二人がよく知るファミリーレストランで落ち合うことになった。

探偵たちも夫から離れた場所に散らばって待機し、様子を見守ることになった。妻のセツコさんは、私と一緒に駐車場の車の中で、隠しマイクの音声を聞きながら待っていた。

■隠しマイクから聞こえた不倫相手の生声

約束の時間、女が店内に現れ、さも久し振りの逢瀬だと言わんばかりの態度で、夫の向かい側の席ではなく、ピッタリとくっついて耳元で何やらささやきだしたのである。

「もうあなたが欲しくって1分も我慢できない」
「今夜は帰さないわ」
「いつものように好きにしていいのよ、今夜も……」

聞くに堪えない言葉が次々に飛び出す。私とセツコさんは、車の中で女の言葉を聞きながら、呆れてため息ばかりついていた。それにしても男を骨抜きにするテクニックの巧みさは、どこで覚えたのだろう。それとも天性のものなのだろうか。

ともあれ女は、しばらく挨拶代わりの卑猥な言葉を夫に投げかけていたが、彼は少しも動じず、いきなりこう切り出した。

「7回も結婚・離婚しているというのはホントなのか?」

突然の思いがけない問いかけである。女は一瞬驚いたようだったが、夫のただならぬ様子を感じ取ったのか、手を引っ張って店を飛び出していった。2人の様子を注視していた探偵たちも後に続き追いかけた。2人の姿を発見したのは、なんと、なぜか無人の交番だった。

それほど明るくはない蛍光灯の下で、やおら女は洋服を脱ぎ捨て全裸になり、夫にSEXを求めていたのである。何を意図して、こんな行動に出たのか誰も理解できなかった。

もしこの瞬間に警官がやってきたとしたら、いろいろ事情を聞かれるだけならまだしも、何らかの罪に問われる可能性すらある。さすがにこの行動に夫もドン引きし、絡みつく裸の女の腕をむしりとって、無言で交番を後にするのだった。追いすがる女は絶叫し夫を引き留めようとするのだか、夫は振り向きもせず急ぎ足で夜陰に紛れていった。

■愛人から多額の生命保険がかけられた夫

その夜遅く、妻のセツコさんと夫の話し合いの場が設けられた。夫は女の本性が分かったらしく、交番での出来事をこう話してくれた。

「彼女は交番で裸になって、私に抱き着いてきました。あれは行為の最中、警官に目撃させレイプされたと訴えようとしているんだとピンときました。これまでにもおかしいと思うことは沢山ありましたけど、欲望に負け、ずるずると関係していたんです。でもはっきり分かりました。この女といたら殺されるかもしれないと」

その後、夫には愛人が受取人となる多額の生命保険がかけられていたことも判明した。

不倫調査を行っていると、時折あくどい手口で男を籠絡し、金を要求する女性にハマっている事例を目撃することがある。このような時は依頼者と夫が気の毒でならないが、深みにはまって大怪我をする前に早く気づかせてあげることが大切だと痛感している。

■頭が上がらない、妻の“賢い”選択

今回はその最たる例だった。幸せな家庭を突然襲った、根っからの悪女。運が悪かっただけなのか、それとも引っ掛かった夫が悪いのか。

岡田真弓『探偵の現場』(角川新書)
岡田真弓『探偵の現場』(角川新書)

今回の案件では、弁護士を通じて愛人に、不貞行為への損害請求はしないかわりに、今後一切会わないことを誓約させた。すべてが落着した後、セツコさんから夫が改心し謝罪した旨の連絡を受け取ったのである。

「すべて僕が悪かったので、許してほしい。お前と子どもたちともう一度、一から出直して裏切っていた分、もっと幸せにしたい」と、頭を下げてくれたという。

セツコさんは裏切られた経験をしても、安易に離婚を選択せずに夫を信じ続けた結果、幸せを掴んだのだ。これでもう夫は一生、セツコさんに頭が上がらないだろう。それもまた妻の賢い戦略なのかもしれない。

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岡田 真弓(おかだ・まゆみ)
総合探偵社MRグループ創業者
東京都出身。2003年、総合探偵社・株式会社MRを設立。浮気調査や人探し、信用調査、企業調査、裁判証拠収集などの基本的な探偵業務に加えて、夫婦のカウンセリングを行う。2008年、MR探偵学校を開校し、学長に就任。著書に『夫を夢中にさせる“いい妻”の愛されルール』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

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(総合探偵社MRグループ創業者 岡田 真弓)

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