1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

メダル4個元スイマー「ツライ日は練習量10分の1」の極意

プレジデントオンライン / 2020年3月22日 11時15分

オリンピック競泳銀メダリスト 松田丈志氏

■つらいときは1つだけやる

競泳の日本代表として4回の五輪に出場し、4つのメダルを獲得した松田丈志さん。そんなスーパーアスリートにも「今日はやる気が出ない」という日があったという。

「やる気が出ない日はあって当然です。無理しない。モチベーションが低下したら、合わせて行動する。そのほうがいい結果につながりました」

アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロの五輪に出場し、4つのメダルを獲得したアスリートにも“ダメダメな日”があったとは驚きだ。

「そんなとき意識したのは、とりあえずプールに行くこと。100%やろうとは思わない。練習メニューが10個あるなら1個やればいい、とハードルを下げる。それでもゼロよりはいいからです。ところが1個やってみると、もう1個やろうかなと欲が出て、結局は予想以上に体が動くものです」

練習はサボらない。自分のなかで目標をぐっと下げ、とりあえず泳ぎ始める。ビジネスパーソンで言えば、とりあえずパソコンの前に座ってみる、といったところか。

日々の浮き沈みとは違って、不調が長期化することもある。特に世界の大舞台で好成績を出したあと、記録が伸び悩む選手は多い。いわゆる“燃え尽き症候群”だ。松田さんにはなかったのだろうか。

■試合で負ければ、やっぱり悔しい

「オリンピック・イヤーの翌年は、正直やる気が出ませんよ(笑)。1年ほど活動休止する選手もいるくらいですから。しかしこれも、言い方はわるいけど、活動しながらサボる。翌年なら60%の力で試合に出る。2年目は70%、3年目は80%と仕上げていく。試合で負ければ、やっぱり悔しいからモチベーションにつながります。“燃え尽き症候群”みたいな受け身でなく、自分でコントロールしていくものです」

24歳で出場した2008年北京オリンピックでは、200mバタフライで銅メダルを獲得。
24歳で出場した2008年北京オリンピックでは、200mバタフライで銅メダルを獲得。(Getty Images=写真)

五輪の翌年は、自分に刺激を与えるために新しいことも試す。泳ぎのフォームを改良したり、練習環境やトレーニングプランを変更したり、トライ&エラーの時期に当てる。

同じことの繰り返しやマンネリはモチベーションを下げる。松田さんがバタフライと自由形の2種目を泳ぎ、リレー種目にも積極的に参加したのはその意味もあるそうだ。自分に刺激を加えてテンションを高めるための工夫。こうした積み重ねが、30代での五輪出場に結びついたのだろう。競泳の世界ではまさに偉業だ。

また、幼少期から指導を受けた久世由美子コーチの存在も大きかったという。

「コーチには『あんたならやれる』とよく言ってもらいました。32歳でリオ五輪に挑戦するときも、決心したのはその一言。今、様々なスポーツ選手を取材する中で、選手の可能性を信じてくれる人たちの大切さがよくわかります」

仲間の存在も大きい。松田さんが経営するトレーニングジム(クロスフィット)ではグループレッスンが中心だ。

「ひとり黙々とトレーニングするのは、意志が強くないと続きません。やはり仲間と競い合ったり、情報交換するのは、楽しくてトレーニング効果も高い。環境整備もモチベーションを保つには重要です」

----------

松田丈志(まつだ・たけし)
オリンピック競泳銀メダリスト
4歳で水泳を始め、アテネ五輪、北京五輪、ロンドン五輪、リオデジャネイロ五輪の競泳日本代表。ロンドン五輪では、日本代表チームの主将を務めた。主な競技種目はバタフライと自由形。200mバタフライ、800m自由形の日本記録をもつ。

----------

----------

Top Communication(トップ・コミュニケーション)
ビジネス分野を中心に、雑誌記事の執筆や単行本編集を手がけるフリーランス集団。特に経営者の著書で多く実績が認められている。

----------

(Top Communication 撮影=松本昇大 写真=Getty Images)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください