職場の"でしゃばり人間"を首尾よく黙らせる最強の小ワザとは
プレジデントオンライン / 2020年2月29日 11時15分
※本稿は飯塚健二『「職場のやっかいな人間関係」に負けない法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■でしゃばりなAさん、引っ込み思案なBさん
とある会議で、あなたは会議の司会進行役を務めています。
ひととおりの報告が終わり、あなたは、「何か意見はありませんか?」と会議の参加者に向けて質問を投げかけました。
すると、即座にAさんが「はい」と手を挙げ、まだあなたが当てていないにもかかわらず、自分の意見をまくし立てるように話しはじめました。
しかし、その意見は少々的外れ。その場の空気がだんだん悪くなっていき、議論の方向性がズレていきそうなことを危惧したあなたは、それを修正しようと、Aさんの話を途中でさえぎり、「ほかにはどうですか?」と参加者に意見を求めました。
しかし、誰も手を挙げません。あなたとしては、この場面では、今回の議案のキーマンであるBさんにぜひ意見を出してもらいたかった。しかしBさんは資料を見るふりをして下を向いて、周りの様子をうかがっている……。「私を当ててくれるな」という雰囲気を醸し出しています。
あなたは、困ってしまいました――。
なぜ、Aさんはいつも自分から話し出すのか?
なぜ、Bさんはなかなか発言しないのか?
■解決の糸口は口癖に!「iWAM」で分析する二人のタイプ
「iWAM」では、「主体性」と呼ばれるカテゴリがあり、Aさんのようにでしゃばるタイプを、「主体・行動型」と呼び、Bさんのように周りの様子をうかがってばかりのタイプを、「反映・分析型」と呼びます。
もちろん、人は大なり小なりどちらの傾向も持っていますし、また状況や場面によっても異なってくるところはあります。
しかし、「主体・行動型」か「反映・分析型」か、相手がどちらの傾向が強いかを知っておくことは、対人関係でうまくやるための大きなヒントになります。
相手がどちらのタイプかを見極める簡単なポイントがあります。それは、相手の「口ぐせ」をチェックしてみることです。
「さっそくやってみよう」
「とりあえずはじめてみよう」
「率先して動いてみよう」
《反映・分析型》の傾向が強い人
「周りの状況を見てからにしよう」
「よく考えてみてからはじめよう」
「もう少し調べてからにしよう」
「主体・行動型」のクセが強い人は、仕事を進めていくにあたって、
「まずやる」
「さっそく取り組む」
「主導権を握る」
ことに意識が向きます。
■でしゃばり人間のモチベーション源
《主体·行動型》の傾向が強いタイプの人にとっては、「周りと協調して動く」というより、「自分から率先して動く」ことがモチベーションの源です。そのため、こういったタイプの人には、リーダーシップの高い人が多いといえます。人よりも先に一歩を踏み出せるので、周りに影響力を発揮し、人々を引っ張っていく存在になりえます。
ところが、この傾向だけが強く出すぎてしまうと、周りのことを考えない「でしゃばり」と思われてしまったり、考えずに動いて失敗する人とレッテルを貼られる危険性もあります。
■“でしゃばり”人間に効く「お先にどうぞ作戦」
会議でなりふりかまわず自分から発言をする。
他部署の仕事にも首を突っ込んでくる。
いつも自分から手を挙げて目立とうとする。
……あなたは、そんな「主体・行動型」のクセが強い人とソリが合わない。その目立ちたがりの言動が鼻についてムカムカしてしかたない。
「なぜこの人は、こんなにでしゃばりなのか?」
そう思えば思うほど、人間関係がギクシャクしてくるものです。
こういう人とうまくつき合う、あるいはうまく動かすためにはどうするか。
それは、「お先にどうぞ戦略」です。
→「発言する機会があれば、最初に発言させてあげる」
→「立候補する機会があれば、優先して立候補させてあげる」
→「提案する機会があれば、先に提案をさせてあげる」
そうやって、まずは相手にさせてあげると、“でしゃばり”は、がぜんやる気になる可能性が高まります。
こちらが大人になって先を譲ってあげるのです。
■もしあなたも同じ「主体・行動型」のタイプだったら
でも、あなた自身も、「主体・行動型」のクセが強い場合、イライラするかもしれませんね。だってあなたも、他人より先にしたいと思うクセがありますから。
![飯塚健二『「職場のやっかいな人間関係」に負けない法』(三笠書房)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/a/6/200/img_a650a6580f7ff1845df69225137039bf61526.jpg)
でも大丈夫です。
「返報性の原理」という心理学の法則があります。これは、「相手から何かをしてもらった場合、人はなんらかの『お返し』をしなければならないという感情を抱く」という心理のことです。
まずは、相手に先にさせてあげる。いいたいことはいわせてあげる。納得がいかないなと思うことがあっても最後まで相手の話を聞いて、相手が話し終えるまで待ってあげる。
そうすると、相手はいいたいことをいえたので気持ちがスッキリしますし、自分ばかりしゃべってしまったけれど、これでいいのかな……という心理が働きます。そうすると、あなたにもチャンスが巡ってくるというわけです。
以前、米フォーブス誌に、
「相手に最初に話させて、思いのたけを発散させます。そこから交渉に有利な価値ある情報を得ることができます。それで相手より少し有利な立場に立つことができます」
という記事がありました。
つまり、相手に先に話をしてもらうことで、相手が何を考えているのかを引き出し、より多くの情報を持つことができるようになるのです。
そうすることで、提案や交渉がしやすくなり、自分に有利な方向に話を誘導することができるというわけです。
まさに「負けるが勝ち」。こういうタイプに対しては、先を譲ることが自分を有利にすることにつながるのです。
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新経営サービス人事戦略研究所マネージャーiWAMプラクティショナートレーナー
1977年生まれ。大阪大学卒業後、独立系システム開発会社にてSE・人事・経営企画等の実務を経験。その後、大手金融系シンクタンク、監査法人系コンサルティングファームにて人事コンサルタントとして従事した後、現職。中小企業から大手企業まで幅広い人事・人材育成コンサルティングの実績を持つ。経営戦略の実現に向けた人事制度改革・定着化や要員・人件費マネジメントの指導に加え、本書で紹介する「iWAM(アイワム/ベルギー生まれの総合適正検査ツール。職場における行動特性に注目し、人が職場において何に動機づけられ、どのような行動を取るのかを知るための分析手法)」の知見を活かしたコミュニケーション研修やビジネススキル研修、コーチング研修を手がける。
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(新経営サービス人事戦略研究所マネージャーiWAMプラクティショナートレーナー 飯塚 健二 写真=iStock.com)
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