アラフォー世代が知らない、イマドキ若者の恐るべきSNS情報収集術
プレジデントオンライン / 2020年3月3日 9時15分
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宮本 恵理子さん/早稲田大学3年生。女性
丹羽 明日香さん/早稲田大学3年生。女性
須藤 志央里さん/立教大学4年生。女性
長谷川 優真さん/早稲田大学3年生。女性
赤峰 沙枝さん/法政大学1年生。沙都さんの姉。女性
赤峰 沙都さん/法政大学国際高等学校1年生。女性
八巻 彼方くん/日本体育大学4年生。男性
森 孝史くん/埼玉大学2年生。男性
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■憧れの対象や最新情報を見つけたい
【原田】今日のメンバーは全員インスタとTwitterを使っているね。普段どう使っているのか、何に役立てているのか教えてくれるかな。
【宮本さん】気になる人をフォローして発信を追っています。見ていて面白いのは、自分の整形を包み隠さずぶっちゃけている女子。美容・メイク情報もSNSで集めることが多いですね。
![「元から可愛い人より、努力で可愛くなった人のほうが参考にしやすい」と話す宮本さん。](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/3/9/250/img_39e67068c02fbd5e97c413d95c9414b6314848.jpg)
【丹羽さん】Twitterにはコスメや美容に特化したアカウントがたくさんあるから、私も自分の趣味に合った人を選んでフォローしています。グルメやデートスポット情報はTwitterか、インスタのトレンドまとめアカウントを見ることが多いかな。
【須藤さん】私は、広く浅く情報収集したい時はSNSのおすすめ欄をチェックします。インスタでは「憧れる!」と思える人や商品を探して、Twitterでは最新の話題やTwitter民(愛用者)の反応を見て楽しむ感じですね。知りたい情報が決まっている時は絶対Twitter。有名人の発信も一般人の発信も平等に拾ってくれるから。その点、インスタは宣伝感があってあまり信頼できません。
【長谷川さん】私はグルメ系、美容・コスメ系、音楽系と、ジャンル別に気になるアカウントをフォローして情報収集に使っています。あと、単純に「面白いな」と思える人もチェックして楽しんでいます。
■広告やSNS外のネット情報は「リアル感がない」
【赤峰沙枝さん】インスタって情報があふれていて目的のものを探すのが大変なので、情報収集の時はそれを整理して伝えてくれるアカウントを活用しています。自分の発信では、リア垢(リアルアカウント=現実の友達との交流用)と、趣味垢(趣味アカウント=趣味の話題のみで交流)とを使い分けています。周りにもそうした使い分けをしている人は多いですよ。
![リアルアカウントと趣味アカウントを使い分ける赤峰さん。](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/250/img_cd0b486a86a132ba4ec9e3875a654291360654.jpg)
【赤峰沙都さん】私が一番よく使っているのは、インスタの「ストーリー」です。投稿してから24時間で消えるのであまり悩まずにアップできるし、公開範囲を同学年の人だけ、クラスの人だけというように限定できるところもいいですね。
【八巻くん】僕はTwitterをよく使います。地震が起きた時も、何かを買う時もまずここで検索をかけますね。インスタは、どこかに出かけたい時にハッシュタグで検索することが多いです。僕らの世代は、情報収集にSNSを使う人がほとんど。Googleなどのネット検索はビジネスライクな情報が出てくることも多いけど、SNSは一般人が発信しているからリアル感があって信用できます。
【森くん】僕はTwitterのリスト機能をよく使っています。見たいアカウントをグループ別に管理できるので、自分が学んでいる分野、社会問題関連、ノウハウなど、目的別にリストにまとめています。それと、フォローしなくてもつぶやきがタイムラインに表示されるところも便利。僕はフォロー数を増やさずに情報収集したいんですよ。フォロー数とフォロワー数のバランスが悪い人って、ちょっとどうかなと思うので。
【原田】人からどう見えるかも気にしているんだね。皆の話を聞いて、若者の情報収集はもうSNSがメインになっているんだなとあらためて実感したよ。それに、SNS外のネット情報や広告は「リアル感がない」という声も。本当に役立つ情報かどうか、皆自分なりに見極める工夫をしているんだね。そんな若者たちの情報ソースとしては、今どんなアカウントが人気なんだろう。具体的に教えてくれるかな。
■整形は努力のうち。SNSで公表し女子人気がアップ
【宮本さん】Twitterでは「5しゃい」ちゃんが人気です。整形やメイク、ダイエット情報が中心で、以前彼女がYouTubeで紹介したコスメは、数年前の商品だったのにすごい勢いでバズりました。あとは芸能人の「有村藍里」ちゃんも人気。整形を公表したこと、実際に可愛(かわい)くなったことから女子ファンが一気に増えました。元から可愛い人より、努力で可愛くなった人のほうがメイクの参考にもしやすいんですよ。
![今回の座談会メンバー/後列左から赤峰沙枝さん、赤峰沙都さん、丹羽明日香さん、長谷川優真さん、須藤志央里さん、宮本恵理子さん、前列左から八巻彼方くん、森孝史くん](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/e/300/img_5ed017994d82798d48b5dfa6db805f3d188901.jpg)
【原田】藍里ちゃんはもともと親しみやすいキャラだから、女子からの評価も高いよね。それにしても、整形も努力のうちなの? 努力ってダイエットやメイクの工夫を指すものだと思っていたよ。
【宮本さん】整形も努力ですよ。お金もかかるし痛い思いをしているから。藍里ちゃんは整形のビフォーアフターやメイク方法も載せてくれているので、そうした情報を知りたい時も参考になります。
■女子に人気の美容系アカウント
【丹羽さん】メイクや美容のアカウントは人気ですね。私の周りでは、美容系YouTuberの「みきぽん」さんや「てんちむ」さんが人気。いいところも悪いところもぶっちゃけてくれるので信頼できます。グルメ系では「りょうくんグルメ」、トレンド情報や話題のスポットならインスタの「Petrel」が有用な情報が多いと感じています。
【長谷川さん】グルメ系では「唯一無二の絶品グルメ(むにぐるめ)」も流行(はや)っています。1000円前後の料理を紹介してくれるので、私たちの世代にちょうどいいんですよ。美容・コスメでは「COSME ME」。デパートコスメに勝てるプチプラコスメとか、実用的な情報を発信してくれています。
【赤峰沙枝さん】私はよく「MERY」を見ます。女子向けの情報を発信しているんですが、お出かけスポット、美容など項目ごとにアカウントが分かれているのでほしい情報を探しやすいですね。
【赤峰沙都さん】私はインスタでの情報収集には「ストーリーズ広告」を使っています。流れてくるのは全部広告ですが、興味を持ったら公式アカウントやサイトに飛んで詳しく見られるし、興味がなければスキップすればいいだけなので便利ですね。基本的に、自分の趣味や年代に合った広告が出てくるので、興味をそそられることも多いです。
■知らない人とは交流しない若者が多数派
【原田】ストーリーズ広告は大人はあまり見ないと思うんだけど、女子高生の間では情報ソースにもなっているんだね。それと、整形が美容情報の一つとして受け入れられているのも驚きだったよ。じゃあ次は、面識のない人との交流について。SNSで知らない人とやりとりすることはあるのかな。
【八巻くん】SNSで知らない人とやりとりすることはほとんどありませんが、スマホゲームアプリの「荒野行動」ではあります。知らない人と喋りながらプレーできるので、時々オフ会も開かれたりしているみたいです。
【森くん】僕みたいな地方大生だと、例えば映画を創りたい時に人が集まらないことも多いんですよ。そんな時、SNS上でその分野の有名人にDMを送って、共同制作の相談をしたりアドバイスを求めたりしています。以前は趣味のグッズを売買したり、マイナー映画を一緒に見に行ってくれる人を募集したりもしていました。
![森くんはSNSで一緒に映画を観に行ってくれる人を募ったことも。](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/d/e/250/img_de6caa85996f2a81aefe07437371a63f305924.jpg)
【宮本さん】私は、基本的に知らない人とはやりとりしません。インスタでは美容師さんから売り込みのDMが来ることも多いけど、返信することはないですね。
【丹羽さん】私も基本的にはしませんが、マッチングアプリ「Tinder」は使ったことがあります。リアルのコミュニティー内だと恋愛するにも周囲に気を使うけど、Tinderで会う人とはそういうしがらみがないから。あと、Twitterでは「#春から早稲田」のハッシュタグをきっかけに、面識のない早稲田大生と交流するようになりました。
【須藤さん】私も、面識のない人とのやりとりはメルカリの取引画面、インスタライブに送るメッセージ、YouTubeのコメント欄、SNSのDMぐらいですね。その際は相手を不快な気持ちにさせない、顔文字を使いすぎない、冷たく見えないようになど、自分なりに心がけています。
【長谷川さん】私はほとんどしたことがないですが、友達には趣味垢やマッチングアプリでならやりとりするという人もいます。
【赤峰沙枝さん】私も、趣味垢なら共通の趣味があるので、面識のない人とも気軽にやりとりしています。でもリア垢では、友達以外とつながることはほとんどありません。
■企業発の情報より個人発の情報を重視
【原田】皆、意外に慎重なんだね。もっと気軽に知らない人とやりとりしているのかと思ったよ。その点で、森くんの使い方はSNSならではの長所をうまく生かしているね。ただ、趣味垢がある人を除けば、多くの若者はSNSを友達との交流や情報収集のために使っているようだね。
SNSは基本的に交流ツールとして発展してきましたが、今の若者は交流の輪を広げることにはそれほど熱心ではないようです。一方、情報収集ツールとしては大いに活用している様子。企業がPRのために発信している情報やニュースサイトよりも、芸能人や一般人による「個人的な体験」を綴(つづ)った情報のほうが信頼できるという意見も出ました。前者には何らかのバイアスがかかっていると感じているのかもしれません。若者が情報ソースを選ぶ基準は、リアルさや信頼性が感じられるかどうか、そしてほしい情報が探しやすいかどうかにあると言えそうです。
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マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。
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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 写真=iStock.com)
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