新型コロナショックのさなか、五反田の中華エステで濃厚接触してみた
プレジデントオンライン / 2020年3月5日 17時15分
■1万円で「最後マデ」股間まさぐる中国人
新型コロナ旋風が日本列島、いや全世界で吹き荒れるなか“もっとも身近な中国人”は、どう過ごしているのか。異論はあるだろうが、日本人男性の多くにとってもっとも身近な中国人というと、繁華街の路上で客引きをしている中国人マッサージ嬢であろう。
「オニーサン、マサージドオ?」
帰路を急ぐなか、行く手に立ちはだかるように迫ってくる彼女たちに辟易した経験がある人は少なくないはずだ。
ある週末の夜、“チャイナエステの聖地”と称される東京・五反田の風俗街を歩いてみると、人通りはまばら。わざわざこの時期に遊びに来る者など、あまりいないのだろう。
「オニーサン、何シタイ? 40分イチ万円、最後マデデキル」
30代ぐらいの中国人女性から早速、声をかけられた。逡巡した態度を見せていると、まくし立てるように「最後マデ」を連呼してくる。
「因為有病毒、最近客人不多吧?(ウイルスのせいで客は少ないよね?)」
私は中国に在住歴があり、あえて中国語で応答すると、驚いた様子でこう返された。
「オニーサン中国いたの? いつ?」
一歩後ずさりして、明らかに警戒した様子を見せる。今は日本在住だと伝えると安心した表情を浮かべ、距離感が元に戻った。日本語と中国語をチャンポンにして、会話を続ける。
■ウイルス、私たちも怖いよ
「ウイルス、私たちも怖いよ。一番怖い。だから女の子もずっと日本いるコだけ。中国行ったコは、店入れないよ」
“濃厚接触”に対するリスクや不安は、彼女たちのほうが当然大きい。写真を見るだけでもいいというので、ついていくことにした。だが、歩き始めると真顔でこう忠告された。
「店行ったら、中国語は使わないほうがいい。中国人と思われて、ヤヤコシくなる。あと、生炮(シェンパオ)(避妊具を使わない性行為を意味するスラング)はダメ」
薄汚い雑居ビルの一室に入ると、いくつかのカーテンで仕切られた空間がピンク色のライトで照らされており、妖艶な雰囲気。受付カウンターに座る50代ほどの男性にウイルスの影響について聞くと、かすかに眉をひそめた。
「うちは人気店だから、特に影響ないですよ。女のコ、日本人と変わらないよ。遊んでいったら? 1万円だよ」
誘いを固辞して踵を返したが“日本人と変わらない”という言葉が、耳に残った。中国人への風当たりの強さを、敏感に感じているがゆえかもしれない。
階段を下りると、さっきの客引きがまだいた。“普通のマッサージ”を受けたいと伝えると、別の店に連れていかれた。明るく清潔な空間だったが、客はゼロ。40代女性に30分2500円で足腰を揉まれながらコロナ対策について聞くと、女性はこう断言した。
「中国人観光客は、うちの店には入れてません。もし来たら入店を断ります」
しばらく前に「コロナウイルスをばらまく中国人は入店を禁止する」との看板を掲げた箱根の駄菓子店が問題になっていたが、中国人観光客への忌避感情は、誰よりも日本在住の中国人が強く抱いているようだ。同胞であるため、表現に遠慮がない。
さらに別の店へ。こちらは「リンパ5000円」と称して意味深な笑みを浮かべながら股関節に触れてきたが、リンパは固辞。通常のマッサージを受けつつ20代女性に話を聞いた。湖北省出身者かと問うと
「とんでもない。このへんは中国東北部の出身ばかりで湖北省の人はいない」
と即座に否定。だが、これまでに出会った中国人たちのコロナに対する警戒心の強さを思うと、仮に湖北省出身であっても、正直に申告するとは思えなかった。そういえば、新宿・歌舞伎町では明らかに中国大陸と思われる特徴的な巻き舌で「私は台湾人」と称する客引きもいた。身分証を出せとは言えないので真偽は不明だが、「台湾人」と言われるとつい安心してしまう日本人が多いのは、事実なのだろう。
「日本人も病気うつされて可哀想。中国人観光客も、病気なら日本に来なければいい。今日の客はあなたで2人目。ウイルスで、お客さん半分以下」。チャイエス嬢は、力なくボヤいた。
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フリーライター
1981年、神奈川県生まれ。早稲田大学社会科学部卒。地方新聞の記者を経て、フリーランスとして活動。2009年に上海に移住、2015年まで現地から中国の現状をレポートした。主な著書に『この手紙、とどけ! 106歳の日本人教師歳の台湾人生徒と再会するまで』『中国人は雑巾と布巾の区別ができない』『上海裏の歩き方』、訳書に『台湾レトロ建築案内』など。
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(フリーライター 西谷 格 撮影=西谷 格)
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