イマドキ若者が支持する“SNSインフルエンサー”の意外な特徴6
プレジデントオンライン / 2020年3月4日 9時15分
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宮本 恵理子さん/早稲田大学3年生。女性
丹羽 明日香さん/早稲田大学3年生。女性
須藤 志央里さん/立教大学4年生。女性
長谷川 優真さん/早稲田大学3年生。女性
赤峰 沙枝さん/法政大学1年生。沙都さんの姉。女性
赤峰 沙都さん/法政大学国際高等学校1年生。女性
八巻 彼方くん/日本体育大学4年生。男性
森 孝史くん/埼玉大学2年生。男性
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■「かわいいカフェにいる自分」には食傷ぎみ
【原田】今の若者にとって、インスタやTwitterで大きな影響力を持つ「インフルエンサー」は誰なんだろう。日常の発信がうまい人、自己ブランディングに成功していると思う人を挙げてくれるかな。
【宮本さん】私はぶっちゃけ系女子が好きなので、普通は言いにくいことまで発信している「Rちゃん」。整形や脱毛経験も詳しく書いていて、美人なのに飾らない、包み隠さないところが好感度高いです。「森田由乃」ちゃんも自己ブランディングが上手。清楚系で売っていたのが、政治家とのスキャンダルをきっかけにイメチェンして、今はSNSで“パパ活女子”の素顔をさらけ出しています。
![今回の座談会メンバー/後列左から赤峰沙枝さん、赤峰沙都さん、丹羽明日香さん、長谷川優真さん、須藤志央里さん、宮本恵理子さん、前列左から八巻彼方くん、森孝史くん](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/c/4/300/img_c4c247ed6725f78508e0cf963a6fc139168800.jpg)
【原田】整形やパパ活も自己ブランディングなの? どっちも女子ウケは悪そうだけど、隠さずにさらけ出しているところが逆に魅力なのかな。
【宮本さん】かわいいカフェでお茶している自分の姿とか、今はありふれているじゃないですか。その点、この2人は他の人とは違う発信をしてくれるので、ちょいワルを目指す女子にウケているんですよ。隠さないところも、見ていてスカッとするし面白いです。
【須藤さん】私もぶっちゃけ系の人が好き。「てきと〜なゆうこす。」は、アイドルの「ゆうこす」ちゃんの裏垢(公にしていない裏の顔用アカウント)なんですけど、表垢と違って言葉づかいも感情表現も素っぽくて面白い。裏の顔を知ることができるのってうれしいし、親しみがわいて表も応援したくなります。だから、私は裏垢っぽいものをフォローすることが多いですね。
■インフルエンサーのすさまじい巻き込み力
【森くん】僕は、バンド「King Gnu(キングヌー)」の井口理さんのツイートに親近感を感じます。すでに人気バンドなのに、いまだに有名人に「宣伝してくれ」って頼むことがあるんですよ。こうした行動って迷惑だと思われることが多いのに。でも、常に上を目指し続けている姿にも見えて、僕はかっこいいと思います。
【丹羽さん】有名人では、素の自分を出している人のほか、ファンとのコミュニケーションがうまい人もウケていますよね。特にAV女優の「深田えいみ」ちゃんは上手。投稿が全部彼氏に向けて発信している感じなので、彼氏目線で楽しめるんですよ。男子だけじゃなくて女子にも「あざとさが逆にかわいい」って人気です。一般人にも気取らずにリプ(リプライ=返信)してくれるし。
【赤峰沙都さん】私の周りでは、俳優の佐藤健くんの公式LINE「佐藤健とLINE」が人気です。出演情報だけじゃなくて「ご飯行ってくる」とか、プライベート感のあるLINEも流れてくるので、恋人になった気分が味わえるって女子ウケしています。
![女子高校生の間で「佐藤健とLINE」が流行っているという赤峰さん。](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/8/250/img_08fd0e25bc10e2dd8854bb1a0caa989e312589.jpg)
【赤峰沙枝さん】YouTuberでインスタグラマーの「ももち」ちゃんも、ファンサービスが上手ですね。友達と芸能人の間っていうキャラを確立していて、投稿している服やメイクも真似(まね)しやすいものばかり。しかも、限定品や完売品じゃなくて、今すぐ買えるかどうかを確認してから紹介してくれるんです。ハッシュタグの使い方も上手で、ファンを巻き込んで拡散を促す工夫がすごい。彼女を応援するファンは「#ももち芸人」ってハッシュタグをつけて投稿しています。
【森くん】ファンを巻き込むっていう点では、キングコングの西野亮廣さんも上手です。彼は有料のオンラインサロンを運営していて、そこでつくった作品や製作過程をSNSで発信しているんですよ。これを見て「サロンでは何をどうつくっているんだろう」「西野さんってどんな人なんだろう」って興味がわいた人も多いんじゃないかな。僕も会員になったことがあります。
■応援したくなるインフルエンサーとは
【原田】ぶっちゃけ系、親近感系、ファン巻き込み系などさまざまなタイプが挙がったね。深田えいみさんやももちさんには、ファンをもてなそうというホスピタリティーも感じるな。SNSで人気の人は、強い個性があって、かつフォロワーへのサービスにも独自の工夫があるようだね。
【須藤さん】「応援したくなる系」っていうのもありそうです。ホテルプロデューサーの龍崎翔子さんはビジョンのあるツイートが魅力。若者にとってTwitterって、ポジティブなことは言いづらい空間なんですよ。でも彼女は「こんな夢がある」って公言していて、うまくいかない状況もシェアしてくれるから応援したくなります。YouTuberのあさぎーにょちゃんも同じ。夢を公言していて「がんばれ!」って言いたくなります。
■“おじさんくさいコスメ紹介”がなぜか人気
【原田】確かに、Twitterは愚痴や文句をつぶやく人も多いよね。そこに、堂々とポジティブなツイートをする人がいると、応援したくなるのもわかる気がするよ。ほかに「〜系」と言えそうなインフルエンサーはいるかな?
![「おじさんキャラでコスメを紹介する謎の人物が“高田智弘”が気になる」長谷川さん。](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/7/1/250/img_715702940208eeadec49fb0472dd23fb208713.jpg)
【長谷川さん】「なりきり系」と言えそうなのが「高田智弘」さん。ほぼ毎日、自分が使ったコスメを紹介しているんですが、文章や写真がすごくおじさんっぽいんですよ。芸能人とか女の子に半角で「チャン」ってつけたり、写真に影が映り込んでいたりフィルターを使っていなかったり……。でも正体はまったくの謎。私は、女性か女装好きの人があえておじさんに成りきっているんじゃないかと思っています。
【須藤さん】その人私も知ってる! 確かに面白いんだけど、フォロワーが2万7000人もいなかったらあやしくてフォローしないよね。
【長谷川さん】それはそうかも。ツイートだけ見たらただのおじさんだから(笑)。あと「イエローベースの孫悟空」さんも面白いです。コスメをすごく詳しく紹介してくれるんですが、語り口調が全部『ドラゴンボール』の孫悟空。笑えるうえにコスメ情報としても役に立つので、よくチェックしています。
■斬新すぎる生き方を提案
【八巻くん】「生き方系」としては「プロ奢ラレヤー」さんが話題です。「他人のカネで生きていく」をモットーに、他人に奢られて生きているので、それ自体がネタとして面白い。彼の投稿を見て実際に奢る人も増えていて、ダルビッシュ有さんも「奢りたい」ってツイートしていました。特徴的なのは、奢ってくれた人のことも話題にして、相手の知名度アップに貢献していること。縛られない生き方にも憧れます。
【森くん】SNS上で出会った他人を推すっていいですよね。漫画情報サイトを運営している「けんすう」さんもその一人。自分の好きな作品を見つけると、クラウドファンディングを募って広めようとするんです。その過程もツイートしてくれるので、他人を応援する行動が可視化されている。応援行動の最先端として人気が集まっています。
【原田】なりきり系は、相手のリアルな姿が見えないSNSならではの楽しみかたと言えそうだね。生き方系も面白い。「プロ奢ラレヤー」さんは、働き方が多様化している今、若者の憧れの一つにもなりそうだと思ったよ。また、応援行動が人気を集めているのも意外だったな。誰かを応援したくても方法がわからない、そんな若者たちのいい手引きになりそうだね。
今回の座談会では、若者たちが「SNSで成功していると思う人」の例として14ものアカウントが挙がりました。見ていて面白い人だけでなく、親しみや共感を覚える人、応援したくなる人などが支持を集めているようです。ここから考えると、今の若者たちはSNSをただ第三者的に眺めているだけではないように思えます。真似できる部分がある、感情を動かしてくれる、一緒に盛り上がれる、そんな対象を求めているのかもしれません。ただ、こうした対象は移り変わりも早いもの。その変遷に、今後も注目していきたいと思います。
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マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。
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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 写真=iStock.com)
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