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イヤでも止まらない「ネガティブ思考」を断ち切る魔法の小ワザ2つ

プレジデントオンライン / 2020年3月8日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/recep‐bg)

つい物事を悪いほうにばかり考えて自分が嫌になる……。直したいと思ってもなかなか直らない欠点、だれしも一つはあるのではないでしょうか。言語学・心理学・脳科学など様々な視点からコミュニケーションを研究する堀田秀吾教授が諦めていた欠点を科学的に解決する方法を教えてくれます。

※本稿は堀田秀吾『科学的に自分を変える39の方法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■「ポジティブになろう!」とするのは逆効果

「もっと前向きに生きたらいいんだよ」「ポジティブな思考に切り替えれば人生が変わる」といった当たり前なアドバイスをもらったところでまったく腹落ちしない、そんな経験はありませんか?

それもそのはず、思考のクセを変えるのはなかなか単純ではありません。オスロ大学のロイサムらによる50~65才の1516組の双子(746組の一卵性双生児と680組の二卵性双生児)を対象にした調査では、3割程度が遺伝的要因で人生の満足度が説明でき、そのうち65%が遺伝的な性格によって決まっているとわかりました。つまり、ポジティブ思考かネガティブ思考かということは遺伝である程度決まっているということです。

さらに、ミシガン州立大学のモーザーらの実験では、ネガティブ思考の人に「前向きに考えなさい」と指示すると、脳が混乱して感情を司る部位が活性化し、余計に悲観的になってしまう! ということがわかっています。元からネガティブな人が「ネガティブをやめよう! ポジティブになろう!」と気合を入れたところで、逆効果ということですね。

■イヤなことがあった日は寝る前にひと工夫を

では、ネガティプな自分を変えたい人は一体どうしたらよいのでしょうか?

まずは短期的な解決策から。ネガティブな考えが拭えないとき、気晴らしにヤケ酒したり、モノに当たったり、ふて寝したりする人も多いと思います。でも実は、これらの行為はよくありません。

北京師範大学の柳昀哲らの研究では、3回にわたる実験で合計73人に、動物の死骸や拳銃を向けられるシーンなどの、嫌悪感を与える写真52枚とそれに関連づけられた男女の表情の写真を2日間見せて覚えさせ、睡眠が記憶に与える影響を調査しました

①30分後にイヤな写真のことをどれだけ覚えているかテストしたグループ
②写真を見終わった後、そのまま睡眠を取り翌日テストしたグループ
③写真を見終わった後、美しい女性の写真を見るなどの気分転換を行い、その10分後にイヤな写真をどれだけ覚えているかテストしたグループ
④同じく気分転換を行った後、睡眠を取り、翌日テストしたグループ

に分けて実験したところ、①と②との間に違いはなかったのに、③と比べて④はイヤな記憶が3分の1に減っていた、という興味深い結果が出たのです。

■記憶は睡眠によって定着する

そう、記憶は睡眠によって定着するため、ネガティプな気持ちのまま寝てしまうのは、イヤなことを忘れるどころかむしろ記憶として強く定着してしまい、逆効果というわけです。ですから、職場で上司に嫌味を言われたら、恋人や家族とケンカしたら、イヤな気持ちのまま眠りにつかず、なにか楽しいこと、うれしい気持ちになることに触れてから眠ることが大切です。

なお、ふて寝はもちろん、ヤケ酒にもイヤな記憶を強化する働きがあるのでおすすめしません。とにかく、気分を切り替えて、好きなお笑いのDVDや動画でも見て、楽しい気持ちになってから眠りましょう

■「ネガティブを紙に書きだすこと」がよく効く!

さて、次に長期的な解決策をご紹介します。

物事を悪く考えてしまう、悲観的で心配症、マイナス思考な自分を変えるには? その方法はとてもシンプル、「書くこと」です。

堀田秀吾『科学的に自分を変える39の方法』(クロスメディア・パブリッシング)
堀田秀吾『科学的に自分を変える39の方法』(クロスメディア・パブリッシング)

テキサス州にある南メソジスト大学のペネベーカーらの実験によると、「1日15分、ネガディブな感情について筆記すること」を4日間続けると、(筆記直後にはネガティブな感情が強まるものの、)長期的にはポジティブになることが示されています。

実験から4カ月後、「自分の感情について書いた被験者」と「部屋の様子など、表面的な事柄だけを書いた被験者」を比べると、前者は気分感情の改善が認められ、更に体調不良の日数や健康センターへの訪問回数が明らかに少なくなっていたのです。体にまでよい影響があるんですね。

また筆記の際、「洞察語」つまり「思う·感じる·わかる」などの思考や理解に関する語を多く用いるほど、ネガティブ感情が軽減されることもわかっています。自分の考えや感情をより深く掘り下げて書くことが重要なようです。

もし、思考がマイナスに傾きがちなことにお悩みなら、感情を紙に書き出すことを習慣にしてみてはいかがでしょうか? ただし、寝る前に行う場合には、気分転換をして楽しい気持ちになってから眠るのを忘れずに!

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堀田 秀吾(ほった・しゅうご)
明治大学教授、言語学博士
熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を融合した研究を展開。熱血指導と画期的な授業スタイルが支持され、「明治一受けたい授業」にも選出される。研究の一方で「学びとエンターテインメントの融合」をライフワークとし、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書等を多数執筆、テレビ番組「ワイド! スクランブル」のレギュラー・コメンテーター、「世界一受けたい授業」「Rの法則」などにも出演する等、多岐にわたる活動を展開している。

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(明治大学教授、言語学博士 堀田 秀吾 写真=iStock.com)

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