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亡くなった父が遺した大量のコレクション、あなたならどう処分しますか

プレジデントオンライン / 2020年3月20日 11時15分

「遺品整理ネクスト」の倉庫で家具・家電を預かる。

■買い取り価格はまず期待はずれ

遺品整理と言っても、廃品・不用品の回収をメインとする業者が多いんです。現場を見て大雑把な見積もりをして、引き取れないものがあると、廃棄費用などを加算していく。昨今は処理費が高騰しているので、それでお客様の支払う料金が増大していきます。

弊社の場合、物量を確認して見積もりを出し、仕分けから清掃、廃棄物処理、仏壇の合同供養、リサイクル品の買い取りなどを一括して行ったうえで、基本的に立ち会い時の見積金額のままお引き受けします。ただ、そうした遺品整理業者はまだ少ないのが現状です。

一般に、家財の処分で業者が買い取るのは、リサイクル品として商品価値があるものだけです。実際は廃棄物となる家財のほうが圧倒的に多いので、運搬や処理費などの廃棄費用と買い取り分を相殺して、家財処分の費用が決まります。

家電品や家具は、リサイクル市場に数多いので、買い取りではそこそこの値がつくだろうと思われがちですが、なかなか期待どおりとはいきません。家電品で値がつくのは一般に、購入から5年以内で正常に動作し、傷や汚れの少ないもの。相場は、2~3年落ちで市販価格の10分の1程度。20万円で買ったテレビならば2万円ほどですが、そこから劣化の度合いによって値引きされていくようです。

家具も似たようなもので、一般的なレベルの整理ダンスやチェスト、食器棚などで、買い取り価格は2000円から5000円程度となるケースが多いとか。ベッドは人が使ったものには値がつかないこともあるようです。

ただ、家具でも高級ブランドものや、アンティークものは、買い取り価格が高くなります。なかでも骨董・工芸品的な価値がありそうな家具調度は、ほかのものとは別に、専門の業者に査定を依頼したほうがいいと思います。小道具には、思わぬ値がつくこともあります。

家電でも、オーディオの高級機器や古くても名機とされているものは、高い市場性があります。これも専門業者か、しっかりと査定のできる遺品整理業者に見てもらいましょう。

それから、家電・家具などの家財を処分するときは、タンス、食器棚、冷蔵庫などの中身は出しておくようにすると、追加の整理費用を請求されるなどのトラブルを、ある程度は避けられます。

納戸や戸袋など、収納に残されたものも見ておきましょう。ごくまれですが、床下収納に宝飾品が納められていたり、札束がぎっしり詰められた煎餅の空き缶が出てきた例が弊社でもありました。

■遺品整理では、信頼のおける業者を選ぶことが大切

ともあれ、家財の処分で費用の上乗せが度重なる事態は避けたいもの。遺品整理では、信頼のおける業者を選ぶことが大切です。複数の業者から見積もりを取り、納得のいく業者を選びましょう。

5~6年前には捨てられていたレコードは近年人気が復活(写真左)。ごくまれに歴史的な遺品に出合うこともあるという(同右)。
(写真左)5~6年前には捨てられていたレコードは近年人気が復活(PIXTA=写真)。(同右)ごくまれに歴史的な遺品に出合うこともあるという。

遺族が扱いに戸惑う遺品に、故人のコレクションがあります。蔵書、レコード、ミニカーやプラモデル、鉄道グッズ、切手・古銭、陶磁器といったものです。なかには、カメラや車のビンテージもの、宝飾品といった高額で購入したと思われるものでも、見切りをつけて、あっさりと廃棄される方もいますが、故人が長年大切にしてきたものですから、大半の方はどうしたものかと迷われます。しかし、そうしたコレクションにも愛好家はいますから、市場性はあります。処分するつもりなら、その前に専門の業者に査定してもらったほうがいいと思います。

ただ、コレクションには、時代によって流行り廃りがあります。切手・古銭は、かつて収集ブームがありました。切手なら1948年の「見返り美人」に数万円の値がついた時期もあったようですが、今は数千円に下がっています。逆にレコードは、5~6年前までは値がつかず、廃棄されることが多かったのですが、今は人気が復活し、名盤・珍盤、希少盤が高値で取引されるようになっています。

■まだ持っていたほうがいいコレクションとは

書籍や雑誌の類は、保存状態のよい希少本や全集ものならともかく、ほとんどは値がつきません。陶磁器も江戸時代以前の名品か、高名な作家の作品以外は同様です。遺品整理では着物が多く出るのですが、今は需要が少ないので、購入時の50万円、100万円が数万円まで下がることもあると聞きます。一方、昨今の日本刀ブームから、刀剣類は買い取り需要が高まってもいます。

コレクションとは少し違いますが、非常に珍しいものが出ることも。海軍中将の名が墨書された日章旗など、戦時中の物品を遺品として弊社で扱ったこともあります。市場性の有無はともかく、文化・歴史的な価値があると思われるものもあります。そうした古物の査定は、遺品整理業者や不用品回収業者では難しく、専門家に依頼して調べてもらうことになります。

ことほどさように、コレクションの需要は変動します。言い換えれば、今は評価が低くても、いずれ評価が高まる時期が訪れるかもしれません。ですから弊社では、今は買い取り値がつかなくても、保存状態がよく、保管が可能であれば、そのまま持っておいてはとお勧めすることもよくあります。

遺品整理は、遺族にとっては大変な作業です。特に別居していた一人暮らしの親が亡くなった場合など、整理に手をつけたものの途中でくじけ、業者に依頼する例が少なくありません。しかし、業者に任せっきりにしたり、言いなりになるのは避けたいものです。

故人の生前の趣味や大切にしていたものは、遺族ならわかるはず。どう扱うかをあらかじめ業者とよく打ち合わせておくとよいと思います。

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佐倉 賢次郎(さくら・けんじろう)
ネクスト社長
1965年生まれ。不動産売却や解体時の残置物撤去から遺品整理・特殊清掃業へ参入。2019年より現職。

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(ネクスト社長 佐倉 賢次郎 構成=高橋盛男、池垣 完 撮影=荻原浩人)

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