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あなたvs花粉症「漢方薬と柑橘類が症状緩和に役立つ」

プレジデントオンライン / 2020年3月19日 9時15分

PIXTA=写真

■ポタポタの鼻水には早く効く漢方薬を

鼻水が止まらない、くしゃみが出そう、目がかゆい……花粉症に悩む人にとって、この時期は憂鬱に違いない。花粉が飛び始めるのはだいたい2月中旬以降。その本格的に飛び始める前から医師に薬を処方してもらうと、症状緩和に役立つとされている。また近年、「舌下免疫療法」といって、体にスギ花粉の抗原を入れて慣れさせることでアレルギー反応が起きないようにする免疫療法も注目されている。しかし、これは花粉シーズン前に治療を開始しなければならない。

なんとか今、つらい症状が少しでもラクになる方法はないものか。今回は花粉症に対抗する「薬と食」を紹介しよう。

アレルギー性鼻炎を抑える薬として西洋薬では抗ヒスタミン薬が有名だが、人によっては眠気などの副作用が出たり、効きにくい場合がある。そんなときに試してほしいのが漢方薬だ。

日高徳洲会病院院長の井齋偉矢医師は「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」を挙げる。透明な鼻水がポタポタと流れ出る、くしゃみが出るなどのときに効果テキメンという。医師の処方箋のほか、薬局やドラッグストアなどで手に入る市販の漢方薬だ。

「花粉症(軽度~中程度)とアレルギー性鼻炎の人が安心して服用できます。鼻炎の症状は一日のうちで朝起きたときに最も症状が強く出ます。これをモーニングアタックというんですね。これに対処するにはとにかく朝起きたらすぐに小青竜湯を一包飲むことです」

漢方では、透明な鼻水がポタポタするのは“体が冷えた状態”に多いとされる。小青竜湯を飲むと、気道や肺が温められ、体にたまった余分な水分が取れ、10~15分ほどで症状が改善されることが多い。

そんなに早く効くの? と思う人もいるに違いない。そう、実は漢方薬には小青竜湯のように、西洋薬を上回る即効性を持つものがあるのだ。服用後10分程度で吸収が始まり、1時間ほどで血中濃度がピークになる成分を含むものが少なくない。

井齋医師によると「漢方薬はもともと急性期の熱性疾患を標的に開発されたもの」という。井齋医師は日本外科学会認定登録医という西洋医の立場でありつつ、日本東洋医学会専門医・指導医で漢方薬を科学的にシンプルに利用する方法を推進している。

ただし注意点として小青竜湯に含まれる生薬(麻黄)はエフェドリンという成分を含み、動悸や血圧上昇などの副作用が起きる可能性がある。高血圧症や不整脈があったり、狭心症、心筋梗塞の病歴がある人は気をつけたほうがいい。修琴堂大塚医院院長の渡辺賢治医師は代わりに「小青竜湯に比べて副作用が少ないものとして『麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)』、エフェドリン(麻黄)を含まない漢方薬としては『苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)』」を挙げる。どちらも小青竜湯よりはやや劣ってマイルドな効き目ではあるものの、胃腸にも優しい。

また、花粉症で目がかゆくなったり痛くなったりして、目を開けて作業ができないときは「越婢加朮湯(えっぴかじゅっとう)」を。

「越婢加朮湯は、初期の関節リウマチのような熱を持つ関節の炎症や、膝から下のむくみを訴える人によく処方されますが、花粉症で目が真っ赤に充血している状態にも効果を発揮します」(井齋医師)

■近年、効果に期待大!“酸っぱい”もの

さて次に、食べものの話。最近、「じゃばら」という果実が花粉症の症状緩和に効果があるといわれている。じゃばらは和歌山県の北山村が原産で、ゆずやカボスの仲間という。岐阜大学の調査によると、花粉症の症状がある男女15人に、じゃばら果汁5ミリリットルを朝、夕2回、2~4週間にわたって摂取してもらったところ症状が改善したと報告されている。

鍵となるのが、じゃばらに含まれる「ナリルチン」という成分。フラボノイド(ポリフェノール)の一種で、“抗炎症”作用がある成分だ。管理栄養士の望月理恵子氏に詳しく聞いた。

「ナリルチンはヒスタミンの分泌を抑制し、アレルギー症状を緩和するようです。グレープフルーツやゆず、すだち、伊予柑など多くの柑橘類に含まれますが、圧倒的に豊富なのはじゃばら。特に皮に多く含まれるので、皮ごとの摂取がお勧めです。皮を刻んでサラダに加える、お刺し身を食べる際の醤油や、紅茶に皮をすって入れるなどするといいでしょう。子供の場合は皮ごとすりおろし、ジュースにして甘みを足すと飲みやすいと思います」

■柑橘類は全般的に花粉症の症状緩和が期待できる

沖縄特産として知られる柑橘類「シークワーサー」に豊富なヘスペリジンやノビレチンも花粉症の症状を抑える。ヘスペリジンはほかに青みかんやレモンなどの柑橘類、ノビレチンはぽんかんやカボスに含まれる。つまりは柑橘類は全般的に花粉症の症状緩和が期待できるということだ。ほかに「酢酸菌と乳酸菌」を一緒に取ると、鼻づまりの不快感を改善するという。

「一般的なお酢は、ろ過される過程で酢酸菌がほとんど失われています。黒酢や香酢、にごり酢、バルサミコ酢などならOK。これらのお酢で酢の物を作ったり、ヨーグルトで乳酸菌を取るといいでしょう」(同)

最後に、風邪をひいた際の漢方薬についてふれておきたい。新型肺炎やインフルエンザも恐ろしいが、春は一日の気温差が激しく、体調を崩しやすい時季。漢方薬はその人の体力に応じて選べるのがメリットだ。

普段胃腸が丈夫でたまたま風邪をひいてしまったという「体力がある人」は葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)、しょっちゅう風邪をひくような虚弱タイプは桂枝湯(けいしとう)や香蘇散(こうそさん)が適している。香蘇散は精神的に抑うつ傾向がある人や、「風邪かも?」というごく初期の段階にも効果がある。前出の渡辺医師が説明する。

「体力の有無は、熱が出るときに汗をかくかどうかでも判断できます。汗をかかずに熱が上がるタイプなら麻黄湯や葛根湯を、じんわり汗をかくなら桂枝湯です。どの漢方薬も3日飲んで効果が得られなければ、その薬が合っていないと考えましょう」

寒けが長引き、熱が出ない風邪の場合はトリカブト(附子)入りの麻黄附子細辛湯で体温を上げる方法もある。熱が下がっても咳などが残る場合は小紫胡湯(しょうさいことう)(体力がない人は柴胡桂枝湯(さいこけいしとう))に切り替えよう。病後や少し疲れたときには補中益気湯(ほちゅうえっきとう)がお薦め。井齋医師は「インフルエンザの予防薬として利用している」という。免疫力を引き上げたいときに使える薬と覚えておこう。のどの痛みが強いときには桔梗湯(ききょうとう)や桔梗入りのトローチがいい。

風邪に使える漢方薬は免疫力を高めたり、過剰な炎症を抑える働きがある。逆にいえば、よく風邪をひく人はこの2つが弱まっていると自覚したい。

アレルギー性鼻炎&花粉症に効く漢方薬

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笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)など。

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(ジャーナリスト 笹井 恵里子 写真=PIXTA)

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