え!2021年開始の"大学入学共通テスト"は、ほぼセンターと変わらないの!?
プレジデントオンライン / 2020年4月27日 15時15分
■最後の大学入試センター試験が実施
2020年1月、最後の大学入試センター試験(以下、センター)が実施されました。この前身にあたる大学共通第一次学力試験(以下、共通一次)がスタートしたのは1979年です。
それまで国立大は一期校・二期校に分けられ、一期校の試験後に二期校の試験を実施。つまり、難関校が集まる一期校が第一志望で、二期校は滑り止めとして考えられていたのです。これが“二期校コンプレックス”を生むと批判され、この制度は廃止。国立大は1校しか受験できなくなります。
しかし今度は1校しか受験できないことがデメリットとなり、共通一次の受験者数が減少。国立大は試験日程を分け2校受験できるようにし、89年には京大が試験を前期と後期に分ける「分離・分割方式」を実施。97年に国立大入試はこの方式に統一されました。
90年に共通一次はセンターに変更され、私大もセンターを入試に利用できるようになりました。
バブル崩壊期の92年は受験者数が121万人と史上最高に。第二次ベビーブームの受験期にあたり競争は激化。受験生の3~4人に1人が浪人するという「大浪人時代」でした。
しかし、激しい競争を勝ち抜いて入学しても93年には就職氷河期に突入。2000年には大卒の求人倍率が1を下回り、ロスジェネ世代が誕生します。
就職氷河期は、少子化で受験者数が激減した時代でもありました。大学側は生き残りをかけて、試験日程の増加、地方試験の実施など入試改革を断行。センターを利用する私大も増えました。
さらに、00年以降はAO・推薦入試の枠が増え、07年には私大の一般試験入学者が5割を切ることに。学部再編が進み、“カタカナ学部”が増えたのもこのころからです。
■2021年の入試はどう変わる?
大学入試の傾向は、経済に連動しますが、影響が大きかったのは08年のリーマンショックです。その後、第二次就職氷河期となり、就活サポートに力を入れる大学が増えていきました。就職への不安は学部選びにも影響します。リーマンショック後は、資格が取れる理系学部に人気が集まり、リケジョブームが始まりました。
しかし、14年に就職率が上向いたのをきっかけに、15年には文系人気が復活。その後も好調な就職率を受け、学部人気は文高理低で落ち着いています。
![主な大学入試の動き](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/0/450/img_40e7fbdd1976b37095c4ae8064ba8c2f2606206.jpg)
16年より、大都市圏の私大の定員厳格化が始まりました。これは大都市圏への学生集中を避けるのが狙いだと言われています。それを受け、大都市圏の人気私大はAO・推薦入試枠を増やし、一般入試での合格者を絞るように。その結果、私大の一般入試は難化傾向にあります。こういった流れのなかで、最近は浪人を避けるため、チャレンジ校ではなく、ランクを落として安全校を受ける傾向が強まっています。
しかし一方で、仮面浪人が増加傾向にあるのです。19年の過年度卒業生のセンター受験者は10万人。そのうち浪人生は5万人。つまり残りの5万人はほぼどこかの大学に在籍している学生だと言えるでしょう。
近年は、私大の9割がセンターを実施しています。手軽に受けられるセンターが、他大学への再チャレンジをしやすくしていると言えます。
さて、センターに代わって21年からスタートする大学入学共通テスト(以下、共通テスト)。19年末に、入試改革の目玉とされた英語の外部試験活用・記述式問題導入の延期が発表されました。つまり、21年の共通テストはほぼセンターと変わらない内容になるでしょう。数年はその状態が続くと思われます。
少子化により、国公立大・私大ともに統廃合が進んでいます。大学はキャンパスを郊外から都心に移す、施設・設備を整備する、キャリアセンターを充実させるなど生き残りに必死です。
しかし、大切なのは教育改革。立命館アジア太平洋大や国際教養大など、新しいコンセプトで人気を集めている大学もあります。今後は、常識にとらわれない大胆な改革が求められるでしょう。
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大学通信 常務取締役
早稲田大学政治経済学部卒業後、大学通信入社。中学受験から大学受験まで教育関連の情報を発信している。
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(大学通信 常務取締役 安田 賢治 構成=松本 史 写真=PIXTA)
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