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橋下徹「新型コロナ疑惑の僕が『自主隔離』を決めたレッドライン」

プレジデントオンライン / 2020年4月1日 11時15分

※写真はイメージです。 - 写真=iStock.com/Toa55

新型コロナ肺炎が世界中で猛威を振るうなか、橋下徹氏が体調を崩し、当面の仕事をすべてキャンセルしたというニュースがプレジデント編集部に飛び込んできた。それから1週間経ったいま、橋下氏自身が「自主隔離」中の大阪府内の自宅から現在の体調と自主隔離を決めた経緯を明かす。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(3月31日配信)から抜粋記事をお届けします。

(略)

■3月24日、僕が「自主隔離」を決めたレッドライン

僕は3月24日(火)の朝7時に37度3分の熱が出たことによって、自主的に自宅で療養することにし(自主隔離)、現在に至っている。現状、熱は平常に戻り、その他の体調不良もない。また本日現在、僕の家族も誰一人不調を感じていない。ただ自宅隔離をやることによって、こりゃ大変だわ、ということを痛感した。

(略)

発熱する3月24日に至るまでの週は、特にテレビの仕事も多く、東京・大阪間の移動が多かった。

(略)

まあこの程度のスケジュールは、フル回転で働いている人にとってはどうってことないことだろうし、ビジネスマンでもテレビタレントでも、もっとハードなスケジュールをこなしている人は山ほどいる。世界を飛び回っている人など、僕なんかよりもはるかに身体に負担がかかっているだろう。

(略)

僕は、新型コロナ肺炎が騒動になってから、毎日、起床時と就寝時、そして各仕事前には体温計で体温を測っていた。特にテレビの仕事は、室内のスタジオで、共演者と非常に近接距離で、しかも大声で(笑)討論する番組が多いから、自分はともかく他者にうつしたらまずいという思いで、体温チェックしていた。

そうしたら3月24日(火)朝7時に、37度3分の熱。中途半端!(笑)

その日は朝から新幹線で東京に向かう予定だった。

(略)

これまでの僕だったら、風邪薬を飲んで、そのまま仕事をやっていた。確かに、だるさはあると言えばある。喉の痛みもある。でも、これから続く仕事のスケジュールのことを考えれば、休んでなんかはいられない。

僕の場合には、休めば収入は0。どこからも保障はされない。だから極端な言い方をすれば、自分が倒れるまでやらないとしょうがない、という感じで、これまでの人生を走ってきた。

(略)

まあ体力に任せて無茶をやってきたから、37度3分の熱なんて、これまでだったら屁とも思わなかった。

でも今は違う。単なる体力的な問題だけでなく、感染症の場合には他者にうつし、他者の命を奪う危険性が高くなる。

(略)

そこで、朝8時30分に新大阪に集合のところ、7時にマネジメント会社の取締役に電話して、37度3分の熱が出たので、仕事を全部キャンセルしたい旨伝えた。

取締役もすぐに同意してくれて、そこから関係各所への連絡調整と、この事態の公表の準備に入った。

ここは悩んでいても仕方がない。

そのあとの仕事関係者には大変な迷惑がかかるし、場合によっては違約金が発生することもある。

こういうときには、あーだこーだ悩まないように自分であらかじめレッドラインを引いておくべきだ。そのレッドラインを越えたら、自動的に仕事はキャンセルするというように。僕は「体温37度」にレッドラインを引いていた。

無理して仕事に出てそこで多くの人に感染させてしまった場合と、仕事のキャンセル。当然前者の方がダメージが大きい。

(略)

ということで、何の迷いもなく、その後の仕事をすべてキャンセルして、その旨を公表した。

■感染者は極悪人か? 公表を阻む社会風潮が感染拡大を招いてしまう

僕みたいな性格でなければ、これは確かに悩む事態だと思う。

まず仕事のキャンセル。収入は大幅に減る。しかし日々の経費は出ていく。

そして何よりも、それまで共演していた人に不安を抱かせてしまって申し訳ないという気持ち。

(略)

それに加えて、家族。

家族も完全に自宅に閉じ込めなければならない。うちには子供が7人いて、学生はまあ何とかなるにしても、社会人の長女が問題だ。

すぐに会社と協議してもらって、ここは本当にありがたかったんだけど、会社がテレワークを認めてくれた。

とにかく、今の社会的風潮では、体調不良を簡単には名乗り出ることができない。感染者は極悪人扱いされるからね。

それでみんな、無理して仕事を続けてるんじゃないかな。そしてそうやって結局感染を拡大して、高齢者や基礎疾患者の命を奪っていく。

■どうやって仕事に復帰するかが大問題

(略)

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)
橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

さあ、ここから自宅隔離だ。

これが本当に大変。

まず院内感染を避けるために、近くのかかりつけ医に行くことは止めた。日本プライマリー・ケア連合学会がまとめた「新型コロナ感染症初診の手引き」が非常にわかりやすかったので、それを参照しながら、自分のなすべき行動を決めた。

その手引きによると、最初の4日間は、普通の風邪と新型コロナ感染の区別がつかないので、家で様子を見るしかない、とのことだった。

(略)

そして4日を超えて、風邪の症状が続くようなら、いよいよ新型コロナ感染を疑うべきことになると手引きに書いてある。普通の風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの胃腸炎なら3日をピークに軽快していく、と。

そこで僕は自宅の一番奥の寝室に閉じこもった。

ここからが大変だ。普通の風邪やインフルエンザで家族にうつしちゃいけないと注意するのとは大違い。

まあ僕は最悪、元気な子供はみんな感染して抗体を持った方がいい、その方がこれから新型コロナを恐れなくてよくなる、まあ生ワクチンを打つようなものだ、と思ってたんだけど、妻がそれを許さない。これが母の子供に対する気持ちというものか。

(略)

僕はトイレに行ったり、洗面所に行ったりするたびに、アルコール入りの霧吹きを持って、とにかく自分の触ったところにアルコールをふりかけていた。どこまで効果があるのかわからないけど、とにかくシュッシュ、シュッシュとやっていた。

(略)

あとはひたすら部屋に閉じこもり、ベッドの上でご飯を食べる。たまにリビングに出かけては、リビングの扉のガラス越しから、家族が楽しく談笑する姿をしばらく見て、そのまま部屋に引っ込む。

家族は常に手洗い。体温の計測。

いや、自宅隔離って、ほんま大変やで!

でも僕には、結構いい生活だった。好きなだけ寝れる。眠たくなったらそのときに寝る。新聞読みもゆっくりのペースでできる。自由気ままに気になった本を読んだり、動画を見たりすることができる。原稿もゆっくりのペースでとりかかれる。番組出演のために、詰め込んで勉強する必要もない。

普段は外食が多いけど、ご飯は妻がおいしく作ってくれる。

あれ? この生活いいやんか、と感じたね。

(略)

それで一応4日間で軽快状態。

初診の手引きによれば普通の風邪の分類。ただこの時期に風邪なんて引いたことがないし、熱の割には喉の痛みや倦怠感が強かったような気もする。そこは普通の風邪なのか、新型コロナ感染症なのかは分からない。

さあ次は、この状態でどうやって仕事に復帰するかが大問題だ。

(略)

(ここまでリード文を除き約2700字、メールマガジン全文は約1万9700字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.193(3月31日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【新型コロナ重大局面】37度超の発熱! 僕の「自主隔離」体験記》特集です。

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橋下 徹(はしもと・とおる)
元大阪市長・元大阪府知事
1969年東京都生まれ。大阪府立北野高校、早稲田大学政治経済学部卒業。弁護士。2008年から大阪府知事、大阪市長として府市政の改革に尽力。15年12月、政界引退。

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(元大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹)

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