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「年収900万円なのに貯金が増えない」高齢出産妻が夫の金遣いを調べた結果

プレジデントオンライン / 2020年3月19日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BrianAJackson

世帯年収900万円なのに貯金が増えない。妻は「夫が浪費か浮気をしているに違いない」と疑い、夫の金遣いを問い質した。その結果、意外な支出理由が明らかになった。ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは「お互いの出費を『ムダ遣いだ!』と攻撃すると夫婦関係は悪くなる一方になる」とアドバイスする――。

■貯金できない年収900万円世帯「元凶は、夫の浮気か浪費です」

「収入があるのにお金が貯まらないのは、夫がお金を使いすぎているからなんです」

都内在住のパート主婦Eさん(44)は夫(47)に対して大きな不満を抱いていました。夫の収入はボーナス込みで年収850万円ほどあります。自分もパート収入があり世帯年収900万円弱。8年前にマンションを購入してローン返済(月11万3000円)しているとはいえ、子供(6)はひとりだけだから、もう少し貯金が増えてもいいのに、ほとんど増えない。その元凶は、家計管理をしている夫にある、とEさんはにらんでいるようです。

Eさん宅では、以前から夫が収入の柱であり、家計管理の責任者。あまり口出しをしない妻の収入(月3.2万円)は日々の暮らしの補填で使うことが多い。よって家計は赤字になったことはないのですが、預貯金が230万円と40代夫婦としてはやや心もとない……。ひょっとしたら、夫が浪費しているか不貞行為をしているのではないかと探りをいれたと言います。

■夫の疑いが晴れても、お金の心配が尽きない高齢出産妻の心情

ある日、Eさんは勇気を出して「浮気しているのか、それともギャンブルにつぎこんでいるのか」と夫を問いただすと、「繰り上げ返済していただけだよ」と。実は、毎月の返済額のほかに夫は無理して繰り上げ返済をしていたのです。一触即発の事態でしたが、Eさんの杞憂でした。

実は夫は住宅ローンを長期間抱えたままでいることが嫌で、せっせと繰り上げ返済をしました。その原資は年間150~180万円ほど支給されるボーナス。夫は「家計には迷惑をかけていなかったはずだよ」と反論したそうです。

MBS カルキュレーターです。家にボタン。不動産の概念です。
写真=iStock.com/Bet_Noire
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Bet_Noire

妻のほうは高齢出産だった影響で子供がまだ幼稚園児。夫が定年した後も必要となる教育費(大学の授業料など)や、自分たち夫婦の老後資金の準備もしたい。自分も子供が小学生になったらパートの仕事量を増やして収入を増やすつもりですが、園への送迎が必要な今はそれができず、焦りを感じていました。

■夫は娘を大学に進学させるための算段もきちんとつけていた

この教育費に関して、夫はいろいろと計画していました。2019年10月から幼児教育無償化となり保育料がかからなくなったこと、また進学予定の公立小学校でかかる費用は給食費程度。よって、毎月3万円は貯金できると考えていました。

繰り上げ返済した後のボーナスの残りを貯金に回し、また、これまでも使わずに貯めてきた児童手当(児童を養育している世帯に、中学校卒業まで子供一人あたり月額1万~1万5000円支給)を貯め続ければ、計500万円以上になり大学進学費用もまかなえると思っていたそうです。

ここまで聞くと、確かに毎月の家計はギリギリ黒字(+6000円)ですが、家計管理者である夫の判断と計画の結果だということがわかりました。

しかし、Eさんの不安は収まりません。

それは老後資金不足になるのではないかという気持ちが強かったからでした。一方、夫は「たぶん退職金が2000万円ほど出るし、企業年金でも500万円くらいできるから、心配はないよ」と楽観視していました。どうやら老後にどのような生活を送り、いくらを準備するべきか、具体的に考えたことはないようです。

■230万円しかない貯金「1000万円到達作戦」は叶うのか

老後資金は現役時代に準備する必要があります。しかも老後には予期せぬ出費はつきものです。時には旅行をしたり、家電を買い替えたり、リフォームをしたり、夫婦どちらかが病気になったり介護状態になったりする恐れもあります。そのため、生活費の補填費用とは別に1000万円程度を準備しておきたいものです。

Eさん宅の場合、現状のまま月日が流れれば、ローンを完済し、娘を大学に行かせた場合、1000万円を貯金できるか微妙なところです。

さらに私が一番問題だと感じたのは、ご夫婦のコミュニケーション不足でした。夫の教育資金作りの計画や、妻の老後資金に対する不安を、お互いが全く知らない。そのことでとりわけ妻の不安が膨らみ、今回の相談に至ったのだとわかりました。

Eさん宅の唯一の懸案はどのように老後資金を作るかです。これはボーナスから捻出する必要もありますが、基本的には毎月の家計余剰金からコツコツ貯めていくことが理想的です。

■家計黒字を一気に月5万円に増やすことに成功した理由

そこで支出を見直すことに。

メタボ家計BEFORE→AFTER

まず、食材を意識しすぎて高くなっていた食費は、こだわり部分を控え、無駄のない食材の使い方を意識します(9万3000円→7万8000円)。月に一度程度、冷蔵庫の中身を一度出して、無駄になりそうな食材はないかをチェックすることを習慣化することにしました。

通信費は、通話はあまり使わず、夫が仕事中の時は会社の携帯を使うので個人用は簡易なプランで十分であるとのことでした。そこで夫婦ともにこれまでなんとなく敬遠していた格安スマホを選択しました(2万3000円→1万2000円)。

また、水道光熱費の無駄をなくし(月2000円減)、日用品も無駄をなくす(月2000円減)。交際費や娯楽費も見直しました(順番に月5000円減、月2000円減)。なんとなく複数契約していた動画配信のサブスクリプション契約も廃止(月4000円減)。総額4万1000円の支出削減できることになり、毎月の家計の黒字額は5万円に。

■お金会議を開かない夫婦は関係がギクシャクする

現状、貯金が少ない状態ですので、当面は貯金を増やすことが目標ですが、夫婦は40代のため、老後資金作りを貯金だけで意識するよりは、運用も視野に入れたほうが良いとアドバイスしました。

夫がすでに会社で企業型DC(企業型確定拠出型年金)をしており、規約でiDeCoの併用を認めていないため、つみたてNISAを始めることにしました。具体的には毎月の黒字額5万円のうち、3万円を貯金し、2万円を運用する形で取り組んでいきます。夫が会社のDCで運用の経験があったため、基本的な家計の延長線上で取り組む運用の仕方についてはお伝えし、それに沿って夫を中心に運用を進めます。

お金の成長 お金を節約します。成長ビジネスの概念を示す上の木のコイン
写真=iStock.com/sarayut
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sarayut

このような取り組みの中で、これまで夫婦がお金について十分話し合いができず、それが夫婦関係がギクシャクする原因だったことにも気がついたようです。

元々の家計自体は大きな問題はなかったのですが、しっかり話し合うことで、無駄がなく、貯めやすい仕組みを作ることができたのではないかと思います。

現在、読者の中に、Eさん宅のようにお金の話ができないという家庭があれば、毎年、子供の学年が上がるタイミングであり、会社での異動・転勤などが多い時期でもある春に、「わが家のお金会議」を実施できるといいでしょう。

その際、お互いの出費を「ムダ遣いだ!」と攻撃するのではなく、例えば「このお金、どうやって貯める?」などと前向きに声をかけてみてください。

■【メタボ家計 コストカット額ランキング】

1位 -1.5万円 食費
食材へのこだわりを控え、食材の無駄がないように取り組む
2位 -1.1万円 通信費
これまで抵抗感のあった格安スマホに思い切って切り替え
3位 -0.5万円 交際費
必要な付き合いかどうかを考慮した
4位 -0.4万円 その他
動画配信のサブスク契約を見直した
5位 -0.2万円 水道光熱費
マメにスイッチオフするなど節約を意識した
5位 -0.2万円 日用品代
適量を考え、意識して購入量を減らした
5位 -0.2万円 娯楽費
「遊びだからいいか」と気軽にしていた支出を見直し

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横山 光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万3000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は60万部突破の『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は120冊、累計330万部となる。個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭)

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