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「今週末もダラダラしちゃった」の罪悪感から解放される方法

プレジデントオンライン / 2020年3月22日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/laflor

「今週末も無駄に過ごしてしまった」と後悔したことはないだろうか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「ダラダラしたことを後悔すると、自律神経のバランスが崩れて、疲れが取れないまま月曜を迎えることになる。むしろダラダラすることを目的にしたほうがいい」という——。

※本稿は、小林弘幸『不摂生でも病気にならない人の習慣』(小学館新書)の一部を再編集したものです。

■「今日1日、ダラダラしよう!」と決める

あなたの「休日」です。どうぞ自分自身の休日をお過ごしください。ダラダラ過ごしたって、ひたすらSNSやゲームをしていたって、それで構いません。

ただ、ここで注意しておきたいのは、

「ああ、俺はなんて無駄な1日を過ごしてしまったんだ……」

と後悔しないことです。

なぜなら、「ダラダラ過ごしたことを後悔し、嫌な気分になること」で、自律神経が乱れてしまうからです。嫌な気分で1日を終えると、自律神経のバランスを崩したまま、就寝することになります。当然、睡眠の質は下がり、疲労が抜け切れないまま、月曜日が始まる、ということになりかねません。仕事のパフォーマンスは落ち、そのことを引きずってまた次の日も……と、悪循環が続いてしまいます。

ではどうしたら、気分良くダラダラできるのでしょうか。

それは「ダラダラする」ことを目的化してしまえばいいのです。

「今日1日、ダラダラしよう」

こう決めてしまえばいい。すると、「ダラダラする」ことが目的なわけですから、ダラダラした1日を終えたとしても、目的が達成されたことで、それほど悔いがありません。

■なぜ「仕事の始まる月曜日」は憂鬱なのか

さらに絶対に後悔しないようにするためには、「ゆるやかな計画性」を持つことです。ほんのちょっとだけ、アクションを計画するのです。

例えば、「明日は昼まで寝て、午後、ちょっと買い物に行こう」でもいいのです。「今日は朝から晩まで、ゲーム三昧だ!」でもいい。「30分間だけ部屋を掃除して、あとはダラける」でもいい。

「予定通りのダラダラした日」を終えれば、後悔どころか、達成感を覚えます。こうすると、いい気分のまま睡眠できますので、睡眠の質も上がり、翌朝のコンディションも整っているでしょう。

さらに、自身のコンディションを整えたいのなら、「平日と休日は同じ」という感覚を持っていたほうがいいでしょう。

「サザエさん症候群」という言葉がありますよね? 実は私も、気づかないうちに罹(かか)ってしまっていたことがあるのですが、日曜の夕方になると憂鬱になり、下手をすると倦怠感や体調不良に繋(つな)がる症状を指します。欧米圏にも「ブルー・マンデー」という言葉があり、仕事が始まる憂鬱な月曜日のことを、こう呼びます。

■「サザエさん症候群」を防ぐ3原則

ではなぜ「サザエさん症候群」になってしまうかというと、休日に休みモードに入りすぎることがひとつの原因だと考えられます。なぜならば、休息をとりすぎると、副交感神経が上がりすぎてしまい、モチベーションが下がってしまうのです。最も自律神経のバランスを崩しやすいのは、「行動しすぎて疲れるのが嫌だから、休日は行動を控える」というパターンだと思ってください。

私が考える「休日の過ごし方3原則」です。

1.休日も、平日と同じ時間に起床し、1日の基本ペースを崩さない
2.副交感神経の上がりすぎに注意する
3.平日にはできない予定を入れる

最近は「睡眠負債」という言葉も登場しました。毎日の睡眠不足が、まるで借金のようにちょっとずつ積み重なり、心身のダメージが蓄積してしまっている状態のことを指します。睡眠不足状態が続けば、免疫力が低下しますので、風邪などの病気に罹りやすくなります。

また、脳機能も低下しますので、仕事でのケアレスミスも増えてしまうでしょう。

■「寝だめ」で、疲れは取れない

だからこそ、「週末に寝だめ」という考え方も出てくるのですが、結論から言うと、寝だめで睡眠不足は解決しません。むしろ、寝すぎることで副交感神経が上がってしまい、自律神経が乱れてしまいます。

長すぎる睡眠はかえって体に疲労を蓄積させ、倦怠(けんたい)感が増します。体内時計もずれてしまいますので、夜の寝付きが悪くなり、次の日の朝、気持ち良く起床することができません。寝だめすることで、自分で「時差ボケ」状態を作り出してしまっているのです。「睡眠負債」は、入浴を工夫するなど、1日ずつ返していくのがいいのです。

大事なのは、副交感神経と交感神経のバランスを崩さないこと。言い換えれば、平日と休日の生活バランスを同じにすることなのです。

とはいえ、休日まで、平日のように過ごしたくありませんよね? だからこそ、「平日にはできない予定を入れる」といいのです。

例えば映画やコンサート、美術館に行く。読書三昧というのもいいでしょう。部屋の片付けもお勧めです。きちきちのスケジュールを決めず、「今日はこのひとつ」という予定を決め、それを楽しむのです。

平日にできないことをしたことで、充実感と達成感が得られます。「ゆるやかな計画」であれば、「スケジュールをこなさないといけない」という心的圧迫もありません。行動しているので寝付きも良くなり、月曜の朝の目覚めも爽快でしょう。

■「2時間の早起き」が休息になる

日々、忙しくても、短時間で効果的な休息をとれたとしたら、助かりますよね。そういう時は休息をとる時間帯を変えてみてください。

思い切って早起きしてみるのはどうでしょうか。

1日のはじまりの2時間を「自分の時間」にするのです。

普段6時に起きているなら、朝4時に起きてみる。8時起きなら6時、夜勤で午後4時まで寝ているなら午後2時といった具合に、「いつもより2時間早く起きる」のです。

もちろん、毎日は難しいでしょう。普段6時起きの私は、週1日と決めて、朝4時に起きています。

これは格別な2時間です。

冬だとまだ外は真っ暗で、車も滅多に通りません。家人もまだ起きてきません。たったひとり、丁寧に入れたコーヒーをゆっくり味わいます。

誰にも邪魔されない自分だけの時間です。何をしても構いません。その日の予定を確認するのもいいでしょう。読みたかった本を読むのもいい。休日の計画を立ててみるのも楽しいかもしれません。

体験してみると、まるで丸1日休んだかのようなリフレッシュ感を味わうことができます。「十分な休息をとれた気がしない」という不満は、雲散霧消するでしょう。

■江戸時代からの名残り「3時のおやつ」

ロンドンの病院で働いていた時のことです。

イギリスには、午後にお茶を楽しむ習慣があります。

「アフタヌーン・ティー」という言葉があるくらいで、午後3時から4時頃の間に、紅茶とお菓子をいただきます。

ちなみに日本でも「3時のおやつ」という言い方がありますが、あれは江戸時代からの名残です。

江戸時代の寛永頃までは朝夕2食が普通で、八つ時(今の午後3時頃)に間食をとっていたそうです。

江戸の後期には社会も安定し、1日3食になったのですが、八つ時の間食習慣が残りました。八つ時に食べるから「お八つ(おやつ)」というわけです。

とはいえ、ビジネスパーソンで「3時のおやつ」を実践している方は多くないでしょう。常に忙しい病院などその代表で、ゆったりとおやつを食べるなんてもってのほかだと思っていました。

■ロンドンの病院は「アフタヌーン・ティー」をする

ところが、ロンドンの病院では、「アフタヌーン・ティー」が実践されていたのです! これには驚きました。

しかもさらに驚いたことに、同僚の医師からこう言われたのです。

「君は日本人だから、アフタヌーン・ティーの文化はないだろ? 無理につきあわなくていいよ」

この病院に勤めた日本人は私が初めてではありません。きっと、前任者は、アフタヌーン・ティーを断って仕事にいそしんでいたのでしょう。「日本人の勤勉さ」を象徴する行動です。

しかし、本当にこれでいいのでしょうか?

日頃、「十分な休息をとれた気がしない」と感じてしまうのも、1日中、緊張を強いられているから、と考えることもできるのです。張り詰めた精神は、疲労を蓄積させてしまいます。

たしかに、何かをやり遂げる際には、適度な緊張が必要です。緊張すると交感神経が刺激されますので、やる気がアップします。

しかし、交感神経が活発になりすぎると、自律神経のバランスが大きく崩れてしまうので、適度に休息をとり、リラックスすることで緊張を緩め、副交感神経を働かせる必要があるのです。

■ゆったりした方が、仕事の効率は上がる

「アフタヌーン・ティー」も「3時のおやつ」も、自律神経を整える知恵だと言えます。休息をとらずに仕事をし続けるよりも、適度な休息を挟んだほうが、自律神経が乱れないので、最終的に仕事の効率も上がるのです。

『不摂生でも病気にならない人の習慣』
小林弘幸『不摂生でも病気にならない人の習慣』(小学館新書)

イギリス人のアフタヌーン・ティーの文化とは何でしょうか。

私は「余裕」という言葉に置き換えることができると思います。

一方、日本のビジネスパーソンの多くは、駅でも急ぎ、エスカレーターでも急ぐ。そして、誰かがエスカレーターを堰(せ)き止めていたら、舌打ちをする。横断歩道も早歩き、オフィスの中でも早歩き。1分1秒を争って、皆が焦っています。

急げば急ぐほど、自律神経は乱れ、イライラや疲労が募ります。いったい、急ぐ意味はあったのでしょうか。

ビジネスパーソンは、アフタヌーン・ティーの精神で、もっと余裕を持ってもいいのではないか。私はそう考えます。

ゆったりした気持ちは、疲労を解消する最高の処方箋なのです。

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小林 弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授
1960年、埼玉県生まれ。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。

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(順天堂大学医学部教授 小林 弘幸)

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