お金のプロが「借金で困ってもネット検索してはいけない」と警告する理由
プレジデントオンライン / 2020年3月27日 9時15分
■駆け込むべきはネット検索ではない
僕たちは、何かの疑問やトラブルにぶち当たったとき、たいていの解決策がネット上にあると考えがちです。
しかし、インターネット上の情報の中には、何かしらの商品を買わせることを目的につくられた広告主体のサイトが、けっこうな割合を占めています。ニキビのお悩みサイトは、洗顔ソープや塗り薬の広告、ダイエット情報がまとめられたサイトはジムやサプリメントの広告、といった具合に、アクセスしてきたお客さんに広告を流すことを目的としてつくられているサイトもあるということですね。
こうしたインターネット上の広告のことを「アフィリエイト」と呼びますが、アフィリエイトサイトでは、まるで第三者による客観的な口コミであるかのように商品がオススメされているため、このサイトを見たユーザーは、それが広告であるということに気づかないうちに、「人気商品なんだ」「いいレビューがついてる」と思い込んで、商品を買わされてしまうのです。
■報酬目的のサイトの煽りには注意が必要
検索エンジンの発達によって、あからさまなアフィリエイトサイトはだんだんと排除されてきてはいますが、ネット上の情報サイトは慈善事業ではなく、広告収益を目的としてつくられているものがほとんどなので、なくなることはまずないでしょう。
そんな前提を踏まえた上で、借金の解決策について考えてみます。検索エンジンで借金の解決策を検索すると、そのほとんどが「カードローンの新規契約」もしくは弁護士事務所等の「債務整理」「自己破産」を勧めるものに行き当たります。中には「手遅れになる前に、大至急債務整理を!」というふうに危機感をあおるサイトもあります。
このようなサイトから問い合わせが発生すると、ウェブサイトの管理者には広告収入が入りますし、弁護士事務所は新規の顧客を獲得できるわけです。アフィリエイトサイトの広告要項を見ると、債務整理は問い合わせ1件獲得で1万円以上、カードローン・キャッシングも成約1件で5000円以上もらえるという超高単価の広告案件になっており、そのような報酬目的でつくられるサイトが後を絶たないのです。
カードローンは、新たに契約して金利が安くなればいいですが、それは審査次第ですし、現実的にはあまり変わらないことが多いです。金利は貸す相手の信用度で決定されるため、同じ人間に対しての金利は、会社を変えても、だいたい同じくらいの水準に落ち着きます。
債務整理も、手段の1つとして決して間違いではありませんが、高い手数料(着手金+減額分の10%ほど)がかかってしまうので、その前にほかの手段を講じるべきと思います。
■何よりも大事なのは「現状把握」
まずは、毎月の収入と支出をまずはいったん整理してみることです。毎月の手取りの収入がいくらで、それが何に消えているのか、項目別に整理してみると、削れそうな項目・節約したほうがよさそうな点がわかってきます。借金の返済があるにもかかわらず、飲み会や外食などで毎月赤字になっていては、絶対に借金は減りません。
切り詰められるコストがないか分解して考えて、本当に返済ができないのかを検討します。
■利子の支払いをなるべく抑え、元金を減らす
借金において、金利はとにかく凶悪な働きをします。高金利の借金となると、毎月の返済のほとんどを利子が占めるため、なかなか元金が減らずに返済が長びきます。そのため、なるべく利子の支払いを抑え、元金が減るよう返済していく必要があります。
利子の支払いを抑えるには、
【1】金利を下げる
【2】返済を「元利均等」→「元金均等」に切り替える
【3】元金の繰り上げ返済をする
といった方法が考えられます。
【1】は、消費者金融などで借りている場合は、信用金庫や銀行の多目的ローンやおまとめローンを検討してみるのがいいと思います。カードローンなどATMで自由に何回も使えるローン(「極度型ローン」と言います)に比べ、一回一回契約書を交わしてまとまった金額を借りるローン(「証書ローン」と言います)は金利が低い傾向にあります。
【2】は、毎月の返済額における元金部分の割合を増やす方法ですが、商品によってはできないこともありますので借入先に確認してみましょう。
【3】は、手元のお金に余裕が出てきたら、繰り上げ返済で元金を減らし、ムダな利子が発生しないようにすることです。とにかく総大将である元金をたたくことに集中するのが、借金返済を早く終わらせるコツです。
■家族に相談して「家庭内レバレッジ」
もうひとつ、「家庭内レバレッジ」があります。
レバレッジとは、英語で「てこ」のことを意味し、小さな力で大きなものを動かすしくみのことを指しますが、お金の用語として使われるときは、だいたい「借金」のことを意味します。1000万円の自己資金を用意し、4000万円を借金して、5000万円のマンションを買う。これを「レバレッジを効かせて物件を買う」というふうに言います。
「家庭内レバレッジ」とは、このレバレッジを文字どおり家庭内で行うことです。まぁ、言い換えると「家族に借りること」ですね。
借りたものを返すのは人として当然ですが、赤の他人や利益目的の金融機関に借りるよりは、どう考えても優しい対応をしてもらえるでしょう。あなたが借金で困ったときにまず相談すべきは、何をさしおいてもご両親です。「親にだけは心配をかけたくない」という気持ちもわからなくはないですが、借金が膨らみ、なりふり構わず金策をするのであれば、まずは勇気を出して家族に相談してみるべきです。これは両親だけでなく、配偶者の方に内緒でつくってしまった借金においても同様です。
筆者の友人のメリルさんという方は、現役銀行員でありながら、ギャンブルによって1000万円の借金を抱えてしまいました。彼がそこから完済にいたるまでの過程「銀行員が借金1,000万円に堕ちて這い上がる話」は、2019年にネットに公開され、大きな話題になりました。まだ読んでいない方は、ぜひ読んでみてください。借金を抱えていない方も必読の内容です。
こういった生の事例を見ても、ご家族が大きな支えとなってくれていることがわかります。たとえ直接的な金銭的支援が得られなかったとしても、必ずあなたの力になってくれることと思います。まずは身近で信頼できる人に相談をしましょう。
■無料相談窓口に行く
毎月の生活コストを最適化しても返済が苦しく、家庭内レバレッジも頼れない。そんな場合は、法的な整理(任意整理・自己破産など)を検討することになります。
実は法的整理においても、各地域にたくさんの無料相談窓口があります。複数の窓口を利用して、いろいろなプロの意見を聞いてみるのもいいでしょう。
まずは、以下のような公共の無料相談窓口を活用するのがいいのではないかと思います。
国民生活センター
弁護士会
司法書士会
日本司法支援センター(愛称:法テラス)
財務支局
日本クレジットカウンセリング協会
対面だけでなく電話相談なども用意しているところもありますので、参考にしてみてください。
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都市銀行で10年勤めた後、ベンチャー企業経営者を経て個人独立。経営者として事業を軌道に乗せる過程で、サラリーマン時代には知らなかったお金や社会のルールが多く存在することに衝撃を受け、独立した2018年より、ブログ・Twitter・ネットラジオVoicyにて情報発信を開始。現在は、不動産賃貸業をはじめとする複数事業を手がけている。Twitter:@orogongon/ブログ:http://banker-escape.com/
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(オロゴン)
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