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2個のテニスボールだけで頑固な腰痛を治す方法

プレジデントオンライン / 2020年4月5日 11時15分

デスクワークが多い日本のビジネスパーソン。腰痛の最大の原因は毎日の「座りすぎ」が原因かも(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kuppa_rock

アメリカで発表されたある調査では「世界20カ国で座っている時間が最も長いのは日本人」だった。柔道整復師の酒井慎太郎氏は「『座ったままで動かない』生活スタイルは、疲労からうつに至るまで、多種多様な不調につながる。改善には2個のテニスボールを使ったストレッチが有効だ」という――。

※本稿は酒井慎太郎『絶対に疲れない体をつくる関節ストレッチ』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■データが証明する“座りすぎ大国”ニッポン

「座ったままで動かない」生活スタイルは、疲労からうつに至るまで、多種多様な不調につながります。私は「デスクワーク症候群」と名づけて注意を呼びかけています。

そもそも、日本人は座りすぎです。2011年にアメリカで発表された調査結果では、世界20カ国のうち、日本はサウジアラビアと並び「座っている時間」が最長です。日本人の1日の総座位時間は、中央値で420分=7時間。20カ国を合わせた中央値は300分=5時間ですから、大きな開きがあります。そのうえ、この調査で最も長く座っていた日本人の座位時間は、なんと1日に600分=10時間であることが判明しています。

この調査は2002~04年の間で行われ、20カ国の18~65歳、約5万人のデータを元に発表されたものなので、信用度は高いと感じています。大規模な調査で、こうした結果が出ているのですから、日本は“座りすぎ大国”と言っていいでしょう。

■「座り病」という言葉も登場

座りすぎによる健康面への悪影響に注目する動きは、海外でも出てきています。アメリカの栄養誌『Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics』では、「What Is Sedentarism?/セデンタリズム(動かない生活)とはなにか」というレビューを2012年に掲載。デスクワーク症候群と同様に、「sedentarism/セデンタリズム」という“新しい言葉”を使いつつ、職場や家庭で長時間座り続ける人が今後も増えていくことに警鐘を鳴らしていました。また、「sitting disease(座り病)」という言葉も使われるようになってきました。

座りすぎな国の人間であれば、こうして世界的にも注目されている内容に、じゅうぶんに気を配りたいものです。

■イスに座るだけで腰の関節に負担

デスクワーク症候群にまつわる研究・調査の結果は、海外で頻繁に発表されています。非常に関連が深く、世界的にも有名なのが、スウェーデンの腰痛研究の権威、アルフ・ナッケムソン氏による発表です。

その内容とは、「生きた人間の腰の関節=第3腰椎と第4腰椎の間」の椎間板に電極を直接挿入し、椎間板にかかる圧が姿勢によってどのように変化するのかを測定したものです。その結果、自然に立っているときにかかる圧を100とすると、イスに座っただけで140に、座って前かがみになると185にまで跳ね上がると判明しています。

これはまさに、関節疲労を後押ししてしまう話と言えるでしょう。座って前かがみになる体勢は、椎間板への圧力を大幅に高めるだけでなく、お話ししてきたように、ストレートネックを悪化させたり、仙腸関節を固まらせたりする最大要因です。

そのうえ、圧が高まっている椎間板自体には、神経が通っていません。“いつもどおりの姿勢”で楽にイスに座っていると思っても、関節へのダメージは確実に加わり続けているのが実態なのです。

■1日中座っている人は死亡リスクが40%アップ

また、オーストラリアのシドニー大学が中心になって行われた研究では、同国内の45歳以上の男女22万人を約3年間追跡し、「1日に座っている時間」と死亡率の関係が調べられました。そして、「1日に座る時間が4時間未満の人たち」と「11時間以上の人たち」を比較すると、後者のほうが死亡リスクは40%も高まることがわかりました。座っている時間が長ければ長いほど、死亡リスクは高まるという結果が出ているのです。

念のために言っておくと、私はこうした調査データの類いを、普段から重視しているわけではありません。何万人、何十万人と接してきた患者さんたちの中には、当然ながらデータから導かれる結果や、いわゆる“教科書的なセオリー”では太刀打ちできないケースが多数存在します。

それでも、間違いなく今後も日本人の関節に襲いかかるデスクワーク症候群という危機を認識していただくためには、こうしたデータの提示も必要な手段の1つと考えています。

■オフィスワーカーだけの話ではない

「デスクワーク症候群」という言葉の文字を見ると、“オフィスワーカーだけの話”と捉えられてしまうことが多いのですが、まったく違います。

酒井慎太郎『絶対に疲れない体をつくる関節ストレッチ』(KADOKAWA)
酒井慎太郎『絶対に疲れない体をつくる関節ストレッチ』(KADOKAWA)

デスクワークをしている人たちには、「前かがみの悪い姿勢で座り、関節を動かさない姿勢を長時間続ける傾向がある」ため、便宜上「デスクワーク」という言葉を使ったということです。実際、デスクに向かわなくても、こうした仕事のスタイルで働いている人は、たくさんいると思います。

例えば、次のような人たちです。タクシー・バス・トラックなどの運転手を筆頭に、マンションや駐車場の管理人、銀行や公共施設などの窓口の人。あるいは、美術館の館内にいる学芸員、宝くじ売場の販売員など。こうした業務は、私が普段見かける範囲でも「座っている時間が長いだろうな」と考えられる仕事です。

専業主婦や仕事を引退した人なども、日中のオンタイムに座っている時間は長い傾向がある気がします。仮に、ソファやじゅうたんに寝転がって、同じ姿勢でテレビを見続けているとなれば、結局は関節を動かしていないのですから、デスクワーク症候群とほぼ同じ状態なのです。さらに言うと、反対に「立ちっぱなし」であっても、関節を動かさないケースはかなりあるはずです。

そうしたケースに自分が当てはまると感じたら、デスクワーク症候群とほぼ同じと考え、関節疲労に注意していただきたいと思います。

■テニスボールを使ったストレッチで疲れ解消!

そこで、お勧めしたいストレッチが「腰のテニスボールストレッチ」です。ポイントになる関節は、腰にある仙腸関節です。この関節は、全身にあるすべての関節の中で最も重要なレベルに属します。それにもかかわらず、動きの幅が非常に小さく、カギをロックしたかのように固まって動かなくなることさえある関節です。

だからこそ、「腰のテニスボールストレッチ」を習慣化し、万全の疲労対策を取っていただきたいと思います。

■腰のポイントに当てて横になるだけ

効果を大幅に高める“秘密兵器”と言えるテニスボールは、その大きさ・硬さ・弾力性が関節ケアに最適。テニスボールをポイントに当てて横になるだけで、私が患者さんたちに普段行っている治療法「関節包内矯正」に限りなく近い作用を生み出します。

2個のテニスボールをくっつけた状態で、ガムテープなどで巻いて固定
図版提供=KADOKAWA
2個のテニスボールをくっつけた状態で、ガムテープなどで巻いて固定。お尻の割れ目の上の尾骨の出っ張りに拳を当て、その上にボールを左右対称に乗せる。ボールの位置を保ったまま、畳や床に仰向けに寝そべる。(1回3分、1日3回以内) - 図版提供=KADOKAWA

テニスボールは、2個のボールをくっつけた状態で使用します。おかげで、このストレッチは、腰の左右に2つある仙腸関節へいっぺんにアプローチ可能。たとえガチガチに固まった状態だとしても、適切な刺激で緩められます。それが、腰~下半身にかけての疲労を解消し、全身の疲れも除去する第一歩になるのです。

腰周りの軽度の疲れなら、これだけでグッと楽になるはずです。長年の腰痛持ちの人にも、特にお勧めしたいストレッチです。ぜひ、試してみてください。

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酒井 慎太郎(さかい・しんたろう)
さかいクリニックグループ代表
柔道整復師。中央医療学園特別講師。千葉ロッテマリーンズ公式メディカルアドバイザー、中央医療学園特別講師、TBSラジオ『大沢悠里のゆうゆうワイド 土曜日版』レギュラーコメンター。腰痛やスポーツ障害の疾患およびパフォーマンス向上のための施術を得意とする。解剖実習をもとに考案した「関節包内矯正」を中心に、100万人に及ぶ治療実績。著書は100冊以上に及び、「神の手を持つ治療家」として紹介されるなど、マスコミ出演も多数。

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(さかいクリニックグループ代表 酒井 慎太郎)

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